段落の論理の拡張(2)

3)パラグラフの論理

 

パラグラフの意味は、主題(トピックセンテンス)、データ、論理で構成されます。

 

ここには、因果の矢印の向きがありません。

 

ここでは、次の方向を考えます。



データ(原因)=>主題(結果)<=論理(原因)

 

この矢印の向きは重要です。原因が変われば、結果が変わります。

 

たとえば、AさんとBさんの主張(主題)が異なったとします。

 

この場合には、AさんとBさんのデータ(原因)と論理(原因)を付合わせて。異なっている点を点検します。原因に問題が見つかれば修正します。

 

修正によって、AさんとBさんのデータ(原因)と論理(原因)が、一致すれば、主張(主題、結論)が一致するはずです。

 

意見を調整して、一致を見る(合意する)ことができることは、民主主義の基本です。

 

したがって、パラグラフの論理を習得することは、民主主義国家の義務教育の基本になります。

 

4)大阪・関西万博の費用対効果

 

大阪・関西万博の費用対効果は、パラグラフの論理で書けば次になります。

 

費用対効果<=費用対効果の計算式+費用対効果のデータ

 

費用対効果分析は、経済学の手法です。

 

経済効果の基本は、with-withoutです。

 

つまり、大阪・関西万博の費用対効果とは、「大阪・関西万博があった場合(with)の費用対効果ー大阪・関西万博がなかった場合(without)の費用対効果」の差になります。

 

インフレは、見かけの金銭価値を増やしますが、実体経済には、影響しませんので、補正する必要があります。

 

外部経済と外部部不経済は内部化する必要があります。

 

たとえば、環境は市場では売買されていませんが、金銭換算する必要があります。

 

環境の試乗評価については、自然資本の経済学があり、例えば、グプタレポートが出ています。

 

環境は金銭では、評価できないという人もいます。

 

筆者は、その主張を否定はしませんが、その主張は、経済学のルールを否定しています。

 

費用対効果が問題になる理由は、多額の税金が投入されているために、経済学のルールで議論しようという問題提起ですから、経済学を無視した場外乱闘しても、それは論外ですよということになります。

 

パールは、「因果推論の科学」(p.66)で、「情報の獲得よりも、情報の表現の方が優先する」といいます。

 

「真に追求すべき効果は非金銭的な価値」であるというトンデモない主張をする人もいます。

 

「非金銭的な価値」には、「情報の表現」がありません。つまり、「情報の獲得」ができませんので、データがなく、議論はできません。

 

パール流に言えば、議論は、「非金銭的な価値」のデータをコンピュータにインプットしてから、スタートするというデータサイエンスの基本、あるいは、科学の基本を守るという点の無視になります。

 

議論がデータに基づかなければ、妖怪も怨念もありのカルトになってしまいます。

 

経済産業省は、物価高などにより、会場建設費や運営費などが上振れしたことから、経済効果が、2018年に試算した時と比べ4000億円ほど増加し、約2.9兆円になるといいます。

 

ここでは、インフレ補正をしていません。

 

また、チケットの売り上げが小さくなれば、効果は小さくなるはずですが、そうなっていません。

 

さらに、with-withouth比較ではなく、withoutを無視しています。

 

つまり、経済産業省の計算は、逆向き推論でできています。

 

逆向き推論は、次のように書くことができます。

 

データ(原因)<=主題(結果)=>論理(原因)

 

ここでの主題(結果)は、「大阪・関西万博には大きな経済効果がある」というものです。

 

この主張に合うように、データ(原因)と論理(原因)を作り上げています。

 

このデータ(原因)と論理(原因)は、前向き論理(因果推論)のデータ(原因)と論理(原因)とは一致しません。

 

この方法では、経済効果の計算はできません。

 

行政の無謬性を主張する人がいます。そのための根拠は、逆向き推論です。

 

因果推論の科学で言えば、そこには、介入と観察の区別がありません。

 

そこには、因果と相関の区別がありません。

 

推論の方法が間違っているのです。

 

段落の論理では、主題(結果)が、原因より優先します。

 

したがって、民主的で、科学的な点検が受け入れられることはありません。