4)中抜き経済の連続条件
荒川和久氏は、児童手当などの給付と税金や社会保険料など国民負担金額を比較しています。
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世帯主が34歳以下と35から44歳の2人以上世帯において、児童手当などの給付と、税金や社会保険料など収入から引かれる国民負担金額と、差し引き額の推移を分析しています。
34歳以下の世帯では、2020年以降、給付よりも負担のほうが上回っています。
35から44歳世帯では、2015年以降、給付以上に負担のほうが大きくなり、差額は、34歳以下の世帯より大きくなっています。
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だから日本の若者は結婚も子供も望まなくなった…子育て支援策は3倍に増えたのに出生数は30%も減った理由 2025/03/26 President 荒川和久
https://president.jp/articles/-/93520?page=1
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給付と国民負担金額の間には、次の連続条件があります。
給付=国民負担金額ー手数料 (中抜き経済の連続条件)
この手数料は、行政経費であり、公務員の給与と組織を維持するための経費になります。
公務員の世界は、市場経済ではなく、中抜き経済です。
公務員にとっては、手数料が多い方が、経済的に豊かになれます。
国債を発行したり、部門間の予算が変動することで、荒川和久氏が分析した「給付<国民負担金額」という不等式は一時的になりたたないこともあります。また、インフレなどがあれば、単純な金額の数字では連続条件がなりたたなくなりますので、「給付<国民負担金額」という不等式が見えにくくなります。しかし、こうしたズレを補正すれば、「中抜き経済の連続条件」は、かならず成り立っているはずです。
政府は、防災庁を作る計画です。
最近、政府は、デジタル庁(2021年)、こども家庭庁(2023年)、観光庁(2008年)などの新しい組織を作りました。年功型雇用では、給与は、ポストについています。つまり、新しい省庁をつくると、手数料が増えます。
デジタル庁は、AIソフトウェアを開発しません。
こども家庭庁は、保育をしません。
観光庁は、観光ホテルを経営しません。
防災庁は、災害現場で働きません。
政府の組織が増えると、手数料が増え、実際に使える金額が、差額分(=給付ー国民負担金額)だけ減少します。
中抜き経済の連続条件には、例外があります。
戦後の復興では、建設関係の省庁は、重機とオペレータを持っていました。
林野庁は、国有林を管理するための作業員を職員にしていました。
建設関係の省庁の変化は、次のようなものです。
戦後、大学を卒業して技官となった公務員は、施設を自ら設計をしました。場合によっては、卒業設計といって、卒業論文の図面にしたがって、施設を建設します。そのころには、建設のオペレータも一部は公務員でした。
1990年頃までに、多くの仕事はアウトソーシングされ、最後に残った公務員の直営の仕事は、施工管理でした。建設の途中で、手抜きを点検する仕事です。しかし、実際に、建設に携わっていない人間には、施工のポイント毎の難易度が理解できません。なので、公務員による施工管理が不可能です。その結果、責任施工といって、公務員による施工管理を省略するようになりました。これで、アウトソーシングが100%完了しました。
デジタル庁を作っても、マイナンバーカードは、システムの施工不良になっています。建前(法律)上は、デジタル庁が、管理指導するのですが、大規模ソフトウエアを実際に施工した経験がない人には、それは、不可能です。
公正取引委員会は2025年4月15日、IT大手の米グーグルに対し、独占禁止法違反で排除措置命令を行いました。しかし、公正取引委員に、Google検索のような大規模システムの設計と施工のノウハウがあるとは思えません。そもそも、公正取引委員会が、判断の基準につかったデータは、Googleの扱っている全データの0.1%以下であり、サンプリングバイアスがある可能性が高いです。
筆者は、公正取引委員会が間違っていると言いたいのではありません。科学的に見て、判断の基準になる十分なデータを分析するプロトコルがないと思われるというシステムの問題を指摘しています。
観光庁を作っても、オーバーツーリズムの問題が深刻化しています。観光庁には、オーバーツーリズムに関するデータをリアルタイムで収集するシステムはありません。データがないので、観光庁が、オーバーツーリズム問題を解決できると考える根拠はありません。
建前(法律)で、公務員組織を肥大化させても、手数料が増えるだけで、問題は解決しません。
これが、マスコミが絶賛する司令塔の効果になります。
まとめれば、現在では、中抜き経済の連続条件の例外は、なくなったと言えます。
5)DOGEの定理
アメリカの雇用は、年功型雇用でなく、ジョブ型雇用です。
この違いは、公務員の能力に圧倒的な差を引き起こします。
たとえば、ジョブ型雇用では、マイナンバーカードのようなデジタルシステムの施工不良を点検できる人材を獲得することができます。
政府は、デジタル庁が出来たときに、中途採用を含めて、職員募集をしました。
しかし、ジョブ型雇用により、デジタルシステムの施工不良を点検できる人材をとっていません。
つまり、デジタル庁には、デジタルシステムの施工不良を点検できる人材はいません。
筆者は、デジタル庁は、デジタルシステムの施工不良を点検できる人材を募集するための募集要項を作成できないと考えています。公務員試験のようは広範な浅い知識では、歯が立ちません。特定の問題を解決できる能力が必要になります。
ジョブ型雇用で、必要な能力のある人材獲得のための募集要項を作成して、実際に採用試験をするためには、専門分野についての高い能力が必要です。
スマホのネットワークシステムは、日進月歩なので、高いスキルのある人材の数は限られています。
マイナンバーカードのようなデジタルシステムを構築する場合には、全体のジョブを分割して、複数のサブジョブにわけ、サブジョブ毎に、専門家を雇う必要があります。専門家の給与は高いので、システム構築が終われば、専門家は、解雇する契約になります。
マスク氏は、DOGEの活動で、公務員をレイオフしています。
契約は、5月までなので、恐らく、マスク氏は、5月中には、DOGEを離れると思われます。
マスク氏が、DOGEを離れても、DOGEの活動は、ソフトウェアが継続するはずです。
このように、人間の活動をソフトウェアに置き換えることで、手数料を引き下げる方法を、ここでは、DOGEの定理と呼ぶことにします。
日本の大手証券会社と新参のネット証券会社を比べれば、ネット証券会社の手数料が少なくなっています。これは、システムが、人間の代りをしているので、DOGEの定理で説明できます。
マスク氏は、X(旧ツイッター)の職員の8割近くを削減しました。
しかし、Xは、問題なく経営しています。これは、Xの活動の中心がソフトウェアで成り立っているからです。
AIの進展は、DOGEの定理を強化しています。
つまり、「人間の活動をソフトウェアに置き換えることで、手数料を引き下げる方法」をすすめないと、経済が破壊されてしまいます。
もちろん、DOGEの定理は、法度体制と衝突します。
DOGEの定理を受け入れることは、Xと同じように、職員の8割がレイオフされる世界を受け入れることです。
証券会社が、すべて、システムが人間の代わりになるネット証券会社になれば、天下り先は激減してしまいます。
公務員を退職した後で、第2、第3の職場で得られる所得はなくなります。
これは、不可避なので、公務員の希望者は激減しています。
Xのように、職員の8割をレイオフすれば、劇的なコストダウンが可能になります。
残った職員の給与を上げることができます。
価格競争で、競合する会社を追い落とすことができます。
BYDは、無人工場をつくって、DOGEの定理を実践しています。
日本の自動車会社は、春闘を論じています。
ホンダは、トランプ関税に対応して、アメリカ国内での製造を増やす計画です。
トランプ関税とDOGEの定理の関係は複雑です。
今回は、その先に分析はしません。
経済学には、効率性と平等性の2つの評価基準がある点に留意すべきです。
DOGEの定理は、効率性の評価基準の問題です。
トランプ関税は、平等性の評価基準の問題であり、効率性の評価基準の問題ではありません。
この2つのバランスをどこでとるかとういう問題に対しては、経済学者の間で、意見が一致していません。