因果ダイアグラムの外科手術(3)

7)バカの壁

 

バカの壁は、メンタルモデルの共有ができていない状態を示します。

 

メンタルモデルは、因果ダイアグラムで、表現することができます。

 

つまり、因果ダイアグラムの共有ができれば、バカの壁が解消できます。

 

「話せばわかる」は、因果ダイアグラムを共有する方法ではありませんので、実現不可能です。

 

8)段落の論理とパラグラフの論理の因果ダイアグラム

 

段落の論理とパラグラフの論理の因果ダイアグラムを考えてみます。

 

トランプ大統領の関税政策で、株価が下がっています。

 

2025年4月11日、 アメリカの「相互関税」を巡り、石破総理大臣が省庁を横断したチームを立ち上げ、交渉担当にあたる閣僚に赤沢経済再生担当大臣を正式に任命しました。

 

しかし、この発言は、段落の論理でできています。

 

エコノミストの中には、日本政府は、交渉カードをもっていないと主張する人もいます。

 

この主張は、パラグラフの論理です。

 

政府は、問題がおこると、チームを立ち上げます。

 

そのチームは、かならず大臣で構成され、裏方に、事務次官をトップとする各省庁がついています。

 

つまり、チームは、パラグラフの論理でできていません。

 

問題点と解決方法が特定されていれば、このように、どの問題に対しても、ほぼ同じメンバーでチームを作ることはありません。

 

ここには、ポストが高ければ、単純に能力が高いという法度制度の論理があります。

 

法度制度の論理では、チームの作業は、ひたすら、都合のよいデータを探してくることになります。

 

しかし、条件にあったデータの検索については、生成AIの方が、人間より能力が高いので、チームは無駄な作業をしていることになります。

 

なによりも、トランプ大統領アメリカ政府は、パラグラフの論理で動いています。

 

渡邉雅子氏の「論理的思考とは何か」の説明では、段落の論理には、意味の制約がありません。段落とは、文章の改行の形でしかありません。

 

渡邉雅子氏は、段落の論理とは、共感であるといいます。

 

水林章氏は、法度体制は、日本語によって支えられていると主張しています。

 

筆者は、この日本語とは、段落の論理ではないかと考えます。

 

「段落の論理とは、共感である」という主張は、綴り方教室にルーツがあります。

 

綴り方教室とは生徒の作文の中から、共感を呼ぶものを抽出する作業です。

 

しかし、ここには、落とし穴があります。

 

生徒の作文の中から、共感を呼ぶものを抽出する作業は、教員が行っています。

 

単純に考えて、生徒の間から、自発的に、共感をよぶものを抽出させれば、その内容は、流行している漫画の題材になるはずです。もちろん、生徒が漫画評論に熱中して、登場人物の押しの話を続ければ、国語の授業が崩壊します。

 

こう考えると、「段落の論理とは、共感である」という主張の実態は、「段落の論理とは、教師の意見を押しつける装置である」と言えます。

 

法度体制の中で考えれば、「段落の論理とは、法度体制の上位者の意見を押しつける装置である」といえます。

 

この装置が機能するためには、段落に、意味があるとまずいのです。

 

マスコミは、有識者(法度体制の上位者)に意見を伺います。

 

政府は、問題があれば、解決策の内容とは関係なく、有識者会議をひらけば、問題が解決する、あるいは、問題解決に対する責任を問われないといいます。

 

この場合の有識者会議とは、問題となっている専門については、政府より上位者であるという扱いになります。

 

有識者会議の実態は、政府の利害関係者であって、コンプライアンスに違反しているのですが、その点は問われません。

 

図5に、段落の論理とパラグラフの論理の因果ダイアグラムを示します。

 

段落の論理は、権威や流行によって、共感を選抜するシステムであり、因果ではないので、点線の矢印で書いています。

 

図5 段落の論理とパラグラフの論理 



 

 

フジテレビ問題の根底には、視聴率で、全てが判断されるという段落の論理があります。

段落の論理に入ってしまうと、ハラスメントなどの内容に関わる判断基準がなくなります。

 

これは、段落には、内容が含まれないためです。

 

段落の論理は、協調しないと村八分を生み出します。

 

刑法犯罪で、逮捕されたあとの有罪率が異常に高い理由も、図5の段落の論理で説明ができます。

 

9)AIの課題

 

AIの活用をパラグラフの論理で考えれば、基準は明確になります。

 

アクセス可能なデータがあれば、利用するデータの量について、人間は、AIには勝てません。

 

生成AIは、東京大学に、簡単に合格することができます。

 

アルゴリズムについても、多くの問題では、AIは人間を超えています。

 

数年前に、国立情報研究所で、AIの入学試験問題を解くプロジェクトをしていました。

 

そのときは、AIは入学試験には合格できず、AIは意味を理解できないので、試験に合格することはないという結論でした。

 

筆者は、この「意味を理解する」が何を意味しているか理解できませんでした。

 

図5のパラグラフの論理のメンタルモデルには、「意味を理解する」はありません。これが、筆者が、「意味を理解する」が何を意味しているか理解できない理由です。

 

図5をみれば、AIは、段落の論理を実現することはできません。

 

AIは、パラグラフの論理で出来ています。

 

現在、「AIは意味を理解できない」と同じように、「AIは倫理を理解できない」という主張をして、AIを封じ込める人が多数います。

 

AIが活躍すれば、段落の論理、つまり、法度体制は崩壊します。

 

なので、AIの封じ込めを画策している利害関係者が多数います。

 

しかし、こうした封じ込めは、生産性を低下させ、賃金を下げ、社会を破壊してしまいます。

 

AIの時代には、段落の論理は、破壊的な危険思想になります。