トランプ関税で、株価が下がっています。
日米首脳会談を振り返ります。
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石破茂首相とトランプ米大統領は2025年2月7日午前(日本時間8日未明)、ワシントンのホワイトハウスで初の日米首脳会談に臨んだ。
会談後、両首脳は共同会見を開きました。共同会見の最後に、米国側の記者から石破首相に「トランプ大統領は『関税男』で知られる。米国がもし日本に関税をかけるとすれば、報復関税を行うか」との質問がでました。 石破首相はこれに対し「仮定の質問にはお答えしかねます、というのが、日本のだいたいの、定番の国会答弁でございます」と答えました。
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トランプ米大統領、石破首相に「ベリー・グッド・アンサー」連発し大ウケ 日米首脳共同会見 2025/0/2/08 日刊スポーツ
https://news.yahoo.co.jp/articles/e6b10b581feda7be92ef6ac67f43c9532c02ef54
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これは、パラグラフの論理でいえば、米国の関税に対する対応策は考えていない、つまり、関税をかけてもかまわないという答弁になります。
そして、事態は予測されたとおりになりましたので、アメリカは、日本は事態(関税)を受け入れると考えています。
トランプ関税には、2つの目的があります。
最1は、関税における不平等の解消です。
日本のコメの関税は、アメリカのコメの関税に対して、非対称なので、是正すべきであるとなります。税率700%は、単にわかりやすいたとえであって、税率が問題ではなく、関税の非対称性が問題になっています。
第2には、製造業と軍事力の維持あるいは、復活です。
遠藤誉氏は、アメリカには、造船能力と製鉄がないので、海軍は崩壊しているといいます。
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「米国の500倍の生産力を持つ中国の造船業」PartⅡ 中国の造船力はなぜ成長したのか?海軍力に影響 2025/03/15 中国グローバル問題研究所 遠藤誉
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これは、アメリカの軍事力が維持不可能になっていることを示しています。
解決策のシナリオは次の2つです。
第1は、維持不可能なので、最小限のアメリカの国防にかかわる部門以外から撤退します。
これには、NATOからの撤退も含まれます。
第2には、造船業、鉄鋼業など軍事の基礎となる産業を国内で、維持することです。
第2の目的は、経済合理性とは相いれません。
トランプ氏は、一時的な株価の下落を受け入れても、軍事の基礎となる産業(製造業)を国内で維持する必要があると考えています。
つまり、トランプ関税政策は、ウォール街とは相いれません。
製造業は、金融のように、秒の単位で利益を生むことはありません。
つまり、利益率優先のウォール街は、製造業を重視しません。
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アメリカのトランプ大統領は2025年4月3日、市場の反応について「予想されたことだ」と話した上で、アメリカ経済を重病の患者、相互関税を手術に例えて、「手術は終了し、今は静養させているところだ」と説明。今後、アメリカが好景気になるという見方を強調しました。
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「手術は終了 アメリカ好景気に」トランプ大統領が関税政策を正当化 NY株価大幅下落も強気姿勢崩さず フランス「残酷で根拠がない」カナダ「古い関係は終わった」2025/04/04 TBS News
https://news.yahoo.co.jp/articles/3b54d312b7f294d267826f15a68e06135b841007
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トランプ関税の要点は、第2の製造業を復活させて、軍事力を維持することにあります。
エマニュエル・トッド氏は、次のように言います。
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私は基本的に保護主義に賛成です。ですから、第一次トランプ政権の保護主義に(全面的な賛同ではありませんが)肯定的でした。しかし実際、保護主義政策はトランプが始めたものではなく、オバマ政権時にまで遡れますし、バイデン政権も保護主義政策を引き継ぎました。自国の産業を守るには、ある程度の保護主義が必要なのです。
しかし問題は、保護主義政策が効果をもつには、輸入品に関税を課すだけでは不十分であることです。「優秀で能力があり勤勉な労働人口」が必要なのです。私が見るに、米国はすでに手遅れです。この本では、米国のエンジニア不足を指摘していますが、問題の一部にすぎません。技術者や質の高い労働者も不足しています。トランプの高関税から実際に「利益」を引き出すには優秀な労働力が必要なのに、今日の米国はこうした労働力を欠いているのです。すると、トランプの高関税は、実際には供給の困難、生活水準の低下、インフレの悪化など、さまざまな問題を引き起こすだけでしょう。私はこの分野の専門家ではありませんが、労働力の劣化がもはや不可逆な状態にある以上、トランプの保護主義は失敗するだろうと見ています。
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〈トランプの保護主義は正しい。しかし…〉トッドが語る米国産業が復活できない理由「優秀で勤勉な労働者の不足はすでに手遅れ」2024/12/27 文芸春秋 エマニュエル・トッド
https://bunshun.jp/articles/-/75809
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トッド氏は、「米国はすでに手遅れ」であるといいます。
この「米国はすでに手遅れ」を受け入れることは、アメリカが、軍事大国でなくなることです。
言い換えれば、ヘゲモニーは、中国の手にわたります。
トッド氏は、中国は、人口が減少するので、脅威ではないといいます。
2025年現在、世界の人口は減少に転じています。
今後の人口増加が期待できるのは、移民の多いアメリカとインドだけと思われます。
アメリカは、人口増加では、中国よりよいポジションにありますが、製造業がなくなって、軍事崩壊が近付いています。
トッド氏の指摘するように、アメリカの製造業の復活は、茨の道です。
しかし、現在のアメリカは、茨の道の成功に賭ける以外の手段を持たないのです。
アメリカの軍事力は崩壊しつつありますが、日本は、さらにその先をいっています。
大船渡の山林火災では、衛星画像とドローンを使えば、被害実態を把握することは容易でした。
しかし、自衛隊には、そのような情報戦ができませんでした。
戦争にくらべれば、山火事は、演習問題のレベルです。
大船渡の山林火災は、日本の軍事情報戦の能力を明らかにしています。
アメリカは膨大な軍事費を使っていますが、予算規模の小さな中国に勝てなくなっています。
大阪万博は、日本の技術では、空飛ぶクルマを作れないことを明らかにしました。
トランプ大統領は、こうした日本の実力を見ながら発言しています。