段落の論理(2)

2)データの問題

 

毎日新聞は次のように伝えています。

 

 首相は自民の衆院1期生15人に3日配った1人10万円分の商品券について、「私自身のポケットマネー(私費)で用意した」と説明してきた。この日の予算委では立憲民主党の杉尾秀哉氏が「官房機密費を使った疑いが出ている」として、商品券に関する支出を記した首相の銀行口座の記録や事務所の帳簿を見せるよう求めた。

 

 これに対し、首相は「ポケットマネーについて記録はない」と答弁。一方で「こういうこと(商品券配布)に官房機密費は使うものではない」と強調した。官房機密費の出納を管理する林芳正官房長官は、首相に商品券配布を進言したのか問われ「そのようなことはない」と否定した。

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石破首相、ポケットマネーで購入「記録はない」 商品券の原資巡り 2025/03/22  毎日新聞

https://news.yahoo.co.jp/articles/c5b5ff4646dc476998442b9b01b0fdb6ebc2b832

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林芳正官房長官は、利害関係者ですから、コメントは無意味です。

 

パラグラフの論理で言えば、衆院1期生15人に3日配った1人10万円分の商品券が、私自身のポケットマネー(私費)であるというファクト(データ)はありません。官房機密費を使った可能性は否定できません。

 

毎日新聞に、岩井奉信・日大名誉教授は次のように発言しています。

 ―石破首相側が、新人議員に10万円ずつ商品券を渡したことは政治資金規正法に抵触しませんか。

 

 商品券の原資が何なのかによって変わります。仮に官房機密費であれば、使途に関する規定がないので、(法的には)問題がなくなります。過去には選挙応援や、議員の海外出張時の餞別(せんべつ)などに使われています。

 

 一方で、今回は形式的に見ると、政治家個人への寄付を禁じた政治資金規正法に違反する可能性はあります。

 

仮に、今回の商品券が石破首相の政治団体から、相手側の政治団体に入り、収支報告がなされていれば問題はないことになります。ただし、収支報告書が提出されるのは11月以降になりますので、今の段階で(適正に)処理しているのか、処理していないのかは分かりません。

 

 外形的に見ると政治家個人に渡しているので、違法性を疑われてもしかたがないのではないでしょうか。10万円というのは、社会通念的に土産として通用する話ではありません。

 

 やはり政治資金規正法上の処理がなされなければならないだろうと思います。

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裏金問題のさなか… 首相側の商品券配布、専門家が疑う「感覚」 2025/03/12 毎日新聞

https://mainichi.jp/articles/20250313/k00/00m/010/335000c?inb=ys

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岩井氏の発言はわかりにくいので、筆者の理解を述べます。

 

「官房機密費であれば、使途に関する規定がないので、(法的には)問題がなくなります」は、官房機密費の使い方として問題がないと言っているように読めます。

 

しかし、官房機密費には、問題となる使い方が存在しません。なので、この発言の主旨はよく理解できません。

 

「(法的には)問題がなくなります」の法を、「政治資金規正法」とみなす解釈も可能です。しかし、「過去には選挙応援や、議員の海外出張時の餞別(せんべつ)などに使われています」をみると、この解釈には、無理があります。

 

「収支報告書が提出されるのは11月以降になりますので、今の段階で(適正に)処理しているのか、処理していないのかは分かりません」は、法治主義であって、法の支配ではありません。

 

法の支配とは、法律の文言より、実際の法(人権、憲法)の順守を優先するという考えです。

 

首相が、実際に、法の支配に従っているのであれば、収支報告書に記載予定の領収証を事前に公開することができます。それは、法治主義の義務ではありませんが、法の支配に従っているのであれば推奨される活動です。

 

首相は「ポケットマネーについて記録はない」と答弁していますので、収支報告書に記載されることはありません。

 

つまり、収支報告書に記載されなければ、「政治資金規正法」(法治主義)では、法の支配が実現できないことになります。

 

弁護士JPニュースは、<石破首相の「商品券プレゼント」は“合法だが不適切>であるといいます。

 

これは、法治主義(合法)をクリアしているが、法の支配がないことを指します。

 

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石破首相の「商品券プレゼント」は“合法だが不適切”? “法的問題”を元議員秘書の弁護士が解説 2025/03/22 弁護士JPニュース

https://news.yahoo.co.jp/articles/ae27b1bd83ffb1ec1a4f76ea8a5386442934b0d6?page=1

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これは、「政治資金規正法」が、法の支配に合わない憲法違反である事実を示しています。

 

法の支配では、個別法より憲法を優先します。憲法よりも、人権を優先します。

 

憲法の改定ができるためには、憲法より上位の統治原理を前提にする必要があります。

 

人権がそれに該当します。

 

トランプ大統領は、かなり過激な政策を推進しています。

 

大統領令が、憲法違反の場合には、最高裁判所は、無効の判断を出しています。

 

トランプ大統領は、カナダとグリーンランドを併合するといっています。

 

日本のマスコミは、トランプ大統領は、傍若無人であるというキャンペーンを張っています。

 

しかし、アメリカには、日本より法の支配があります。

 

英語版のウィキペディアには、次のような見出しがあります。

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ドナルド・トランプ政権下のアメリカの拡張主義

American expansionism under Donald Trump   Wikipedia

 

カナダのアメリカ併合運動

Movements for the annexation of Canada to the United States

 

北米連合

North American Union

 

グリーンランドの米国による買収提案

Proposed United States acquisition of Greenland

 

米国の対外介入

Foreign interventions by the United States

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内容は省略しますが、トランプ大統領の主張には、背景があります。

 

一見、無謀にみえるトランプ大統領の発言には、過去の歴史があります。

 

もちろん、併合は、トランプ大統領の一存で決まる訳ではありません。上記の見出し記事には、住民アンケートの結果がのっています。つまり、住民の大半が併合に賛成になれば、トランプ大統領のシナリオが実現しますが、そうでないない場合は、実現しません。

 

また、法の支配がありますので、共和党の議員は、次のような法案を提出しています。

 

2025年レッド・ホワイト・ブルーランド法

 

2025年2月10日、共和党代表のバディ・カーターは、グリーンランドを「レッド・ホワイト・アンド・ブルーランド」に改名し、ドナルド・トランプ大統領がグリーンランドを「購入またはその他の方法で取得」できるようにする法案を提出した。

 

パナマ運河買戻し法

 

2025年1月9日、ダスティ・ジョンソン下院議員は、米国政府が米国に代わってパナマ運河地帯を取得することを認める法案を米国下院に提出した。提出時点で、この法案には16人の共同提案者がおり、米国下院外交委員会に審査のために付託されていた。

 

これに対抗して、民主党の議員も、法案を提出しています。

 

同盟国侵略禁止法

 

2025年3月6日、民主党代表セス・マガジナーは、ドナルド・トランプ大統領が議会の承認なしにカナダ、グリーンランドパナマと戦争することを阻止する法案を提出した。この法案はまた、議会の承認なしにアメリカ軍が連邦資金をカナダ、グリーンランドパナマへの侵攻に使用することを阻止する。

 

東京オリンピックは、コロナウイルスの問題があって、アンケートでは、開催反対が多かったにもかかわらず開催されました。

 

これは、法の支配を逸脱しています。

 

法の支配が確立していれば、東京オリンピックの開催を中止する法案を提出して議論すべきでした。開催中止法案が通るか、通らないかは問題ではありません。開催の意思決定は、閣議ではなく、国会が決めるべきだったのです。

 

こうした議論は、アンケートの結果といったファクト(データ)に基づいて議論される必要があります。パラグラフの論理なしに、法の支配はあり得ないのです。

 

補足:

 

ティムラズ・レジャバ氏は、日本には、「言葉の重み」があるといいます。

 

この「言葉の重み」は、ビジネスだけではなく政治の世界にも通じる。首脳の記者会見を比較してみると、その違いがよく分かるのではないだろうか。

 

日本の首相の記者会見では、質問は事前に通告され、それに対する回答も書面で準備されている。それに対して、ジョージアアメリカではジャーナリストが記者会見場でいっせいにさまざまな質問を投げかけ、その中から首脳が選んで即興で答える。

 

つまり問われているのは回答だけではなく、その場でどのように振る舞い、どう答えるかという「その場の対応力」だ。

 

しかし、日本では回答の中身だけではなく、「言葉の誠実さ」が重視されている。

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日本では起こりえなかった「交渉の決裂」...言葉に宿る責任感とは? 2025/03/21 Newsweek ティムラズ・レジャバ

https://www.newsweekjapan.jp/tokyoeye/2025/03/post-231_1.php

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筆者は、この意見には、賛成できません。

 

筆者には、レジャバ氏は、段落の論理を、パラグラフの論理で、読みみえているように思われます。

 

<回答の中身だけではなく、「言葉の誠実さ」が重視されている>と嬉しいですが、段落の論理には、「回答の中身(意味の構造)」はなく、共感(言葉の誠実さ)だけが問題にされていると思います。

 

レジャバ氏は、パラグラフの論理の世界で、教育をうけたので、「回答の中身(意味の構造)」のない発言をイメージできていないと思います。