日銀の「第139回事業年度(令和5年度)決算等について」には、次のように書かれています。
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(2)損益の状況
令和5年度の損益の状況についてみると、経常利益は、前年度比1兆4,092億円増益の4兆6,399億円となった。これは、経常収入が国債利息を中心に増収となったことや、為替円安に伴い外国為替関係損益の益超幅が拡大したこと等によるものである。
特別損益は、収益の振幅を平準化する観点から、債券取引損失引当金の積立てを行ったほか、外国為替関係損益が益超となったことを受け、外国為替等取引損失引当金の積立てを行ったこと等から、▲マイナス1兆5,698億円となった。
以上の結果、税引前当期剰余金は、前年度比6,584億円増加の3兆701億円となり、法人税、住民税及び事業税を差し引いた後の当期剰余金は、前年度比1,996億円増加の2兆2,872億円となった。
(3)剰余金処分の状況
剰余金の処分については、日本銀行法第53条第1項に基づき、法定準備金を1,143億円(当期剰余金の5%)積み立てたほか、同条第4項に基づき、財務大臣の認可を受け、配当金(500万円、払込出資金額の年5%の割合)を支払うこととし、この結果、残余の2兆1,728億円を国庫に納付することとした。
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<< 引用文献
第139回事業年度(令和5年度)決算等について
https://www.boj.or.jp/about/account/zai2405a.htm
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高橋洋一氏は、2025年2月10日、自身のYouTubeチャンネルで次のようにいっています。
以下は、デイリー(神戸新聞社)の記事の筆者要約です。
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元財務官僚で経済学者の高橋洋一氏が2025年2月10日、自身のYouTubeチャンネルで、日本銀行が政策金利を上げた裏で行った施策の問題を指摘しています。
日銀が、利上げした1月24日に、日銀の当座預金の金利も0.5%に引き上げています。普通の企業が銀行に持っている当座預金の金利はゼロです。一方、銀行が日銀に当座預金を持つと、0.5%付きます。今までは0.25%で、それもおかしいけれど、0.5%に引き上げました。
そもそも日銀当座預金の金利はゼロでした。政策金利引き上げにともない、銀行の預金金利や貸出金利も上がっている状況では、当座預金の金利は上げてはいけません。銀行から見たら、当座預金の金利は、美味しいお小遣いです。銀行の日銀に対する当座預金は全体で500兆円くらいあります。その0.5%は2兆5000億円です。
それを国会審議をへないで決めていることは「とんでもない話です」。
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<< 引用文献
高橋洋一氏「とんでもない話」利上げの裏で行った日銀の施策に「これは酷い」国会審議なしで銀行に「おいしいお小遣い」2025/02/11 デイリー
https://nordot.app/1261857579537072321?c=724086615123804160
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読者は、2つの記事の組み合わせが理解できましたでしょうか。
高橋洋一氏は、日銀から、銀行に2兆5000億円の所得移転が起きているといいます。
この半分の1兆2500億円は、1月24日以降に増えたものです。
令和5年の当期剰余金は、2兆2,872億円でした。この95%が、2兆1,728億円で、国庫納付金になります。
令和6年の数字は出ていません。
令和7年の日銀の事業収支に大きな変化がなければ、令和7年の国庫納付金は、1兆2500億円減って、9228億円になります。
同様に考えれば、平成5年度の当座預金の金利が、0.0%であった場合には、国庫納付金は、1兆2500億円増えて、3兆4,228億円になっていたはずです。
高橋洋一氏が指摘するように、日銀から、銀行に2兆5000億円の所得移転が起きているとすれば、仮に、当座預金の金利が、0.0%であった場合には、2兆5000億円が、国庫納付金を通じて歳入になります。
つまり、防衛費の増税相当分をつけ回していることになります。あるいは、2兆5000億円相当の減税ができます。
2兆5000億円の美味しいお小遣いを銀行に払えば、銀行は、喜んで天下りを受け入れます。これが、均衡財政主義の正体です。
お小遣いがなければ生活できない銀行には、国際競争力がありません。お小遣い依存症には、短期的(戦術)なメリットしかありません。お小遣い依存症になると技術開発ができなくなります。リスクが取れなくなります。結局、国際競争力がなくなり、中期的(戦術)なメリットはありません。
これは、銀行だけでなく、日本の産業界全般に伝染している病気です。
その背景には、法度体制があります。
ある経済学者は、<森永卓郎氏の「財務省が国民を洗脳」というメッセージは、国民を愚弄している>といいます。
筆者には、森永卓郎氏の主張の正否はわかりません。
しかし、高橋洋一氏が指摘するように、利害関係者が、国会審議をへないで、税金を自由に采配することは、ジョン・ロック流に言えば、財産権の侵害であり、民主主義の敵です。これは、三権分立ではありません。有権者は、三権分立ができる法律をつくる議員を選出すべきです。
経済学者の多くは、法度体制に組み込まれた利害関係者です。
<森永卓郎氏の「財務省が国民を洗脳」というメッセージは、国民を愚弄している>といキーセンテンスの正しさは、日銀が、2兆5000億円を国庫ではなく、銀行に払っているというファクトとの整合性で議論されるべきです。
これが、パラグラフの表現です。
法度体制に組み込まれた利害関係者の発言は、段落の表現であって、パラグラフの表現に、必須のバックデータがありませんので、この点に注目すれば、見破ることができます。