Society 5.0は永久に来ない(14)

21-8)国際比較

 

政府は、国際比較のグラフが好きです。

 

国際比較のグラフを書いて、日本は遅れていると主張します。

 

しかし、この主張は、交絡因子を無視しているので、科学的な間違いです。

 

とはいえ、海外から学ぶことは、重要です。

 

日本は、鎖国状態にあるので、海外から学ぶことが封印されています。

 

政府は、医療費の増大を抑えるために、薬価基準を押さえています。

 

その結果、薬の生産不足が生じています。

 

法度体制で、医薬品を生産するのは、社会主義です。

 

計画経済の旧ソ連では、生活に必要な商品は、配給制でした。

 

デパートの商品の棚には、入荷待ちで、商品のない棚が多くありました。

 

政府は、医療費を抑制するために、薬価を押さえています。

 

これは、効果のわからない、あるいは、医薬品の品薄という副作用がある戦術です。

 

中国は、ウェアラブル端末とリンクしたAIによる医療診断によって、治療から予防にシフトすることで、医療費の抑制を図っていると思われます。

 

この方法は、戦略なので、短期的な成果は見込めません。

 

しかし、10年後には、中国と日本の医療水準が逆転している可能性があります。

 

治療中心の医療であれば、高額の医療機器が使える国の医療水準が高くなります。

 

しかし、予防中心の医療であれば、医療機器の金額と医療水準には、直接の関係はなくなります。

 

国民が、ウェアラブル端末を使っていて、医療研究者が、ウェアラブル端末のビッグデータから、病気のリスクを評価したり、生活指導するAIを開発していれば、高い医療水準が実現できます。

 

日本には、戦略はありません。医療AIを開発できる人材も不足しています。

 

自動車の輸出が止まってしまえば、デジタル赤字を補填することができなくなり、中国から、AI医療システムを購入する資金の調達もできなくなります。

 

 トヨタ自動車が2025年2月5日発表した2024年4から12月期決算(国際会計基準)は、本業のもうけを示す営業利益は前年同期比13.2%減の3兆6794億円でした。一方、売上高は4.9%増の35兆6735億円、最終的なもうけを示す純利益が3.9%増の4兆1003億円となり、この期間としては、ともに過去最高でした。

 

このニュースは、鎖国の視点で書かれています。

 

トヨタが生き残るためには、テスラ、BYDなどの競合企業に対して、優位である必要があります。しかし、そのような視点の報道はありません。

 

日経平均が4万円を超えるか否かの報道も同じです。アメリカのクワンツの評価は、S&P平均をどれだけ上回ったかです。株価の世界標準は、S&P平均です。日経平均が高くなっても、利回りが、S&P平均に及ばない場合には、資金の海外流出は止まりません。

 

法度体制の利害関係者にとっては、この評価基準は、不都合なので、タブーになっていますが、NISAに伴い、資金の海外流出が続いていることは、タブーを続けることはできなくなっている(法度体制が綻んでいる)ことを示しています。



22)規制の将来

 

最近、政府は、規制を次々に強化しています。

 

Society 5.0(AIの普及)を阻止して、法度体制を維持するために、政府は、規制を強化しています。

 

規制とは問題を単純化した定義に基づいた、エビデンスのない分類フィルターを追加することです。

 

その結果、経済はダメージを受けて、所得は減少します。

 

規制の目的は、法度体制を維持することです。

 

マスコミは、法度体制に組み込まれているため、規制に反対しません。

 

法度体制のミームは、日本では、ぼぼ潜在意識のレベルにまで浸透しています。

 

何か問題があったときに、その原因は、法度体制のミームかも知れないとクリティカルシンキングをしないとミームの洗脳から逃れられません。

 

最近、卒業後2年間の初期研修を終えると直接、美容医療業界に進む「直美」と呼ばれる医師が増えています。

 

東洋経済は、「直美」について、次のように書いています。

 

2018年に始まった新専門医制度では、専門医資格を取得するため、3から4年間の研修プログラムに進む必要があります。このとき、研修先の希望が都市部に集中しないよう、都市部では専門科ごとに定員の上限が設定されています。その結果、本人の希望にかかわらず、地方や僻地で勤務するケースも生じています。

 

大学病院の研修医の年間給与は400万円から500万円の間です。

 

これに対して、美容クリニックでは、1年目で年間給与が2000万円を超える例もあります。

これが若手が都市部の美容外科に就職する理由の1つになっています。

 

<< 引用文献

なぜ若手医師たちは「直美」のキャリアに走るのか 2024/11/28 東洋経済 兵頭輝夏

https://toyokeizai.net/articles/-/843108

>>

 

政府は、規制を強化する検討をしています。

 

しかし、「大学病院の研修医の年間給与は400万円から500万円」でわかるように、問題の発生源は、法度体制にあります。

 

規制を強化すれば、問題はこじれて解決不可能になります。

 

ひとつの問題を規制で制御しても、より多くの副作用が発生します。

 

経済学では、市場に過度に介入すれば、経済は制御不可能になると考えます。

 

「大学病院の研修医の年間給与は400万円から500万円」は、ここには、医師の労働市場がないことを意味しています。

 

憲法の人権(職業選択と能力発揮)に違反しています。

 

規制は、戦略ではなく、戦術です。

 

戦略を無視して、その場限りの戦術を繰り返す対処法には、太平洋戦争の連戦連敗と同じ構造があり、その原因は、法度体制にあります。

 

戦略は、無謬主義の否定につながり、法度体制の崩壊を受け入れることになります。

 

このため、法度体制が続く限り、戦略は無視され、戦術のみが行われます。

 

規制の追加がある場合には、その動機は、法度体制の維持にあり、Society 5.0(AIの普及)からの離脱にあります。

 

23)「学習指導要領」の性格

 

「型式指定」と「資格制度」は、法度体制を維持するための規制であり、科学的な根拠はありません。

 

2018年に始まった医師の新専門医制度は、法度体制になっています。新専門医制度には、医師のスキルアップにつながるという科学的な根拠はありません。

 

新専門医制には、制度の目的(願望)が描かれていると思いますが、制度の目的を書くことと、目的が実現することの間には、ギャップがあります。

 

「学習指導要領」にも、教育の目的は書かれていますが、目的を書くことと、目的が実現することの間には、ギャップがあります。

 

目的を実現するためには、「学習指導要領」には、どんなギャップがあり、ギャップを解消する方法が描かれている必要があります。

 

例えば、「学習指導要領」には、各学年で、習得すべき内容(教育の目的、目標)が、書かれています。しかし、実際には、1年が経過しても、習得すべき内容に到達しない生徒が出てきます。この生徒が、進級した場合、教師は、この生徒は、習得すべき内容が理解できていないというギャップ問題に対処する必要があります。「学習指導要領」には、このギャップを識別して、ギャップを解消する方法が描かれている必要があります。

 

これが描かれていない場合、「学習指導要領」は、目的の実現とは関係がない文書であると判断できます。

 

文部科学省は、習得主義ではなく、履修主義です。つまり、「学習指導要領」は、教育の目的を書くことと、目的が実現することの間には、ギャップがないと主張しています。これは、法度体制を維持するための無謬主義です。

 

「学習指導要領」で描かれている学校とは、法度体制そのものです。

 

法度体制では、上位者が下位者の指示を出し、下位者は上位者の隷属します。

 

指示の正しさは、内容とは関係ない指示を出した人のポストに基づきます。

 

この垂直構造が維持できなくなると、法度体制は崩壊します。

 

「学習指導要領」で描かれている学校は法度体制の学校です。

 

上位者である上級生は、下位者である下級生よりも偉いというルールです。

 

履修主義は、法度体制を維持するルールです。

 

習得主義では、上級生より、勉強ができる下級生を認めます。

 

これは、下剋上が普通の状態であることを認めることになります。

 

下剋上が普通の状態になってしまうと、文部科学省の「学習指導要領」は、出来の悪い上級生(文部科学省)は作った作文であると下級生(学校などの教育現場)から批判されて、通用しなくなります。こうなると官僚の天下りポストが消滅してしまいます。政治家には、企業献金が集まらなくなります。

 

「学習指導要領」は、法度体制を維持するための規制になっています。

 

教科書の検定は、法度体制を維持するための規制になります。

 

アメリカには、政府の「学習指導要領」はありませんが、それが、問題の原因にはなっていません。

 

情報が公開されれば、教育は市場原理で、レベルアップが、可能です。

 

学校は、多種多様な教科書を採択して、教育効果の高い教科書が生き残ります。

 

人間はかならず間違いを犯します。これは、将来何が起こるかわからないので、避けられない運命です。大切なことは、間違いに気づいて、早期にリカバーすることです。

 

「学習指導要領」と教科書検定は、間違いが起きないという無謬主義に基づいています。

 

教科書の検定に膨大な手間とコストをかけることで、一見すると間違いが回避できるように見えます。しかし、そこで点検されている内容は、戦術レベルにすぎません。

 

「学習指導要領」と教科書検定は、戦略レベルの間違いを繰り返しています。ロバートソン氏が、「理数系教育の世界的進歩から、日本は完全に取り残された」と言っています。この発言は、戦略レベルの間違いを指しています。

 

教科書検定は、キーワードを検閲していますが、メンタルモデルの構築を無視しています。教科書の価値は、キーワードでは測れません。

 

補足:

 

「Society 5.0は永久に来ない(9)」で、ニュージランドの大学のレベルが人口比で高いことを説明しました。

 

ニュージランドの大学の入学判定は、書類審査だけで、入学試験はありません。

 

これは、ニュージランドは、習得主義であって、履修主義ではないためです。

 

習得の評価は、「NCEA ( National Certificate of Educational Achievement)」という NZの高校で修得できる資格・単位を司る教育システムで行います。

 

NCEAと学校は切り離されています。

 

大学入試に必須のNCEAの認定は、リテラシー(論理的な読み書き)と数学です。

 

この2つのNCEA の認定資格がなければ、書類審査を通りません。認定資格は、レベル1(高1水準)、レベル2(高2水準)、レベル3(高3水準)です。学校の学年(年齢)と、レベルは、切り離されています。レベル2、レベル3の認定試験を受けるには、一つ下のレベルの認定資格を持っている必要があります。こうすることで、まぐれで認定試験に合格する確率が小さくなります。

 

高等学校3年年を終了しても、レベル3の資格が取得できない場合には、準備校(予備校)に通う人もいます。

 

民主主義の平等とは、機会の平等であって、結果の平等ではないので、これは、民主主義に沿っています。なお、高等学校の授業料は無償です。

 

ニュージーランドの大学生には、リテラシーがなく、数学のできない学生はいません。

 

このことが、大学のレベルを支えています。

 

最近、早稲田、慶応、上智大学の中で、早稲田大学が数学を入試の必修科目にしたそうです。

 

逆にいえば、慶応、上智大学は、数学のできない学生を受け入れていることになります。

 

アメリカの大学も、リテラシー(論理的な読み書き)と数学が、大学入学に、必須です。

 

英国、カナダ、オーストラリアは、調べていませんが、似たようなものであると推測しています。

 

なお、リテラシーは、論理的な文章の読み書きです。日本の国語の段落の教育ではありません。

 

1975年頃に、American field serviceで、日本からアメリカに高校留学した日本人をしっています。1975年頃の日本の数学のカリキュラムは、アメリカのカリキュラムより2年程度進んでいたので、留学生は、英語では苦労しましたが、数学の試験の点数は、州内で、ベスト10に入っている人も多くいました。

 

ニュージーランドの事例を調べて、驚愕の事実に気づきました。

 

ニュージーランドでは、レベル3(高3レベル)のリテラシーと数学の能力を習得できた学生の数を把握しています。全高校生の学力レベルのデータを持っています。

 

日本の文部科学省は、高校生の学力レベルのデータを持っていません。

 

高校生の学力レベルのデータがあれば、大学で何が教えられるか判断できます。

 

しかし、日本には、このデータは、ありません。

 

ニュージランドは、習得主義ですから、全学生の学力レベルのデータを持っています。

 

日本の文部科学省は、全学生の学力レベルのデータを持っていません。

 

データなしでカリキュラムをつくれば、教育はカルトになります。

 

OECD生徒の学習到達度調査(PISA)のデータは、3年毎にしかありません。

 

PISAのデータは、各国のカリキュラムの最大公約数になっているので、低レベルの問題になっています。

 

つまり、PISAのデータは、「学習指導要領」の到達度評価にはなりません。

 

2024年末のM-1グランプリで初の連覇を果たしたお笑いコンビ、令和ロマンの高比良くるま氏が、同大会で2位だったバッテリィズのエース氏、クイズプレーヤーの伊沢拓司氏と、2025年2月9日放送のフジテレビ「ボクらの時代」に出演して次のように言ってます。

(以下、原文のママ。敬称略)

 くるまは進学校の本郷中高から一浪して慶大文学部に進学したが、「僕が唯一解けるテストがM-1だった。勉強、めっちゃ苦手で。中高6年間、ずっと学年ビリでしたもん」と打ち明けた。

 

 驚くエースに、くるまは「慶応の文学部って3科目しかやらなくていいんですよ。英語と歴史と小論文」と話すと、東大経済学部出身の伊沢を差し、「東大なんて7科目くらいやるんですよ」と受験科目の違いを説明した。

 

 エースは「慶応と東大はエグい差があるの?」と超ストレートな質問をぶつけた。くるまは「エグい差があります」と断言。伊沢は「いや、そんなには…」と否定したが、くるまは「東大の人はこれ言わないんですけど、これはエグい差があります。というか、私立と国立にはエグい差があります」と強調した。

 

 エースが「野球にたとえると?」と聞くと「プロ野球メジャーリーグくらい違います。まず、スケールが違います。単純に考えたときに、高校生に戻って、7科目勉強したいか、3科目でいいか、と言われたら、3の方が楽だと思いません?」とくるま。

<< 引用文献

「東大と慶応にはエグい差がある?」令和ロマンくるまが即答した理由が明快すぎた!「メジャーとプロ野球くらい違う」2025/020/10 デイリー

https://news.yahoo.co.jp/articles/ef8c5037bced2392b3bb75247e6e865cab7aae0d

>>

 

7科目とは、国数英に加え社会2科目、理科2科目です。

 

なお、本郷高校は、偏差値66で、東大京大20人早慶200人合格の超難関と言われています。

 

大学の入学判定に使う科目は、多いほど良い訳ではありませんが、ニュージーランドを参考にすれば、「国数英」が必須でなければ、大学とは言えません。