プロセスの発見(3)

3-1)マイナンバーカードの間違い

 

紙の保険証の廃止とマイナンバーカードへの切り替えがもめています。

 

紙の保険証は、医療保険に入っていることを確認するプロセスです。

 

マイナンバーカードは、ファクトであってプロセスではありません。

 

この2つは、重量と体積のように、次元が異なりますので、比較は不可能です。

 

現在のマイナンバーカードには、プロセスがありませんので、これから、マイナンバーカードのプロセスが作られるはずです。

 

まだ出来ていないプロセスを論じることは出来ません。

 

問題が発生している原因は、プロセスがないので、処理ができなくなっているためです。



3-2)紙の保険証のプロセス

 

紙の保険証による認証プロセスは、病院の受付で、保険証を目視で確認します。

 

初診の場合には、病院の受付は、患者に面識はないので、保険証を目視で確認することが、唯一の患者の確認プロセスになります。

 

この時に、患者が他人の保険証を持参しても、チェックするプロセスはありません。

 

「患者が他人の保険証を持参しても、チェックする」プロセスがないので、当然、虚偽申請が発生します。しかし、点検プロセスがない(言葉がない)ので、その点検データは、存在しません。

 

データがないことと、ファクトがないことは別です。

 

病院では、個人の識別プロセスは、日常は、診察券で行います。

 

保険加入者の本人確認には、保険証は不要です。

 

病院では、常連になれば、診察券を忘れた場合でも、カルテから、診察券番号、保険証番号を調べて、対応してくれます。

 

この場合の被保険者の確認は、顔認証になっています。

 

つまり、本人確認プロセスのために、保険証が必要になるのは、初診のときだけです。

 

今まで、毎月1回保険証や薬局で、保険証の確認をしていました。

 

このプロセスの目的は、保険証が有効であることを確認することです。

 

保険証が有効であることを確認するために、このプロセスが必要になっている原因は、政府が、この方法を強制的に使うように指示しているためです。

 

クレジットカードをつかう場合には、カード番号を転送すれば、カード会社は、カード番号が有効か無効かの情報を返します。

 

同様に考えれば、保険証を使う場合に、医療機関が、保険証番号を転送し、政府が、保険証番号が有効か無効かの情報を返せば、保険証の有効期限のチェックは不要です。

 

これによって、膨大な人件費が節約できます。

 

整理しておきます。

 

紙の保険証やクレジットカードは、2つのプロセス(機能)から構成されています。

 

第1は、本人確認をするプロセスです。

 

第2は、支払い能力などを確認するプロセスです。

 

第2のプロセスのためには、ID番号があれば、ファクトとしてのカードは不要です。

 

運転免許証の場合には、第2は、支払い能力を担保していません。

 

しかし、運転免許証がないと運転できないので、運転免許証には希少性があります。

 

本人確認をするプロセスにカードをつかう場合には、そのカードが希少であること、できれば、金銭の担保能力を保証していることが必要になります。

 

3-3)運転免許証と救急車

 

運転免許証は、不携帯であれば、罰せられます。

 

しかし、大事故の場合には、運転免許証は燃えてなくなります。

 

これから、大事故の場合には、運転免許証で、本人確認していないことがわかります。

 

救急車で搬送されるときに、紙の保険証を持っていれば、本人確認できるが、マイナンバーカードではできないという人がいます。これに対して、マイナンバーの番号があれば、対応してくれるという人もいます。

 

しかし、この問題では、交通事故の場合と同じように、リアルタイムでは、本人確認をしていないように思われます。重病人の場合、保険に加入していることが確認できないので、救急車が救命活動を停止することはないと思われます。本人確認は後追いです。

 

交通事故や、救急車の場合には、ベストなリアルタイムの本人確認は、顔認証であると思います。

 

中国では、顔認証が使われています。

 

日本で、顔認証を導入する場合には、セキュリティの問題のクリアが必須になります。

 

政府は、利害関係者なので、セキュリティを担当できません。第3者機関が必要になります。

 

3-4)マイナンバーカードの欠陥

 

マイナンバーカードには、プロセスがありません。

 

マイナンバーカードには、支払い能力の担保がありません。

 

これは、医療機関が、個人認証として、マイナンバーカードをつかうメリットがないことを意味しています。

 

また、マイナンバーカードの個人認証能力は、他のカードより低いです。

 

スマホの上のバーチャルなカードであれば、顔認証や指紋認証などのより高い精度のツールが使えます。2段階認証にもなっています。

 

政府は、マイナンバーカードの個人認証能力のデータを公開していませんが、データを持っていない可能性もあります。

 

マイナンバーカードには、保険証にない第3のプロセスが使えます。

 

これは、他の情報とのリンク機能です。

 

現在、マイナンバーカードは、銀行口座と紐づけられつつあります。

 

マイナンバーカードは、株式や、不動産情報とのリンクも可能です。

 

マイナンバーカードでこれらの情報を、保険証の支払いデータと紐づければ、医療保険の支払いのデータをリンクさせることが可能です。

 

つまり、不労所得の多い人(富裕層)の医療保険の支払額を減らして、政府の医療費支出を減らすことが考えられます。

 

こうした使い方が将来必要になる、あるいは、望ましいのかは不明です。

 

しかし、政策の検討の幅が拡がることは、望ましい状態と考えられます。

 

現在、政府は、富裕層への課税の強化を検討すると主張しています。

 

しかし、現時点では、このようなマイナンバーカードに紐づけられたデータがないので、政府の「富裕層への課税」は、精度の非常に悪い政策であって、不平等なものです。

 

「富裕層」が、マインナンバーカードに紐つけられた不労所得にリンクできれば、課税の不平等はなくなります。徴税が、自動でできえらば、コストが縮減できます。

 

しかし、こうした紐づけをするのであれば、データのセキュリティの管理プロセスに関するルールが必要です。

 

政府は、利害関係者なので、セキュリティを担当できません。第3者機関が必要になります。

 

政府が、マイナンバーカードを課税の効率化に使うのであれば、マイナンバーカードを使えば、いくら減税ができますと説明すればよいことになります。

 

そうならない原因は、企業献金の廃止や政治資金の透明化に反対しているように、政府が、マイナンバーカードを課税の効率化に使うことを阻止しているからです。

 

保険証のように、マイナンバーカードが既存のプロセスに介入する場合、プロセスの効率が、以前より悪くなる可能性があります。

 

また、リンク付けされた情報が流出してしまえば、社会システムが破壊されて、銀行口座から、現金を引き出せないような事態が発生して、生活できなくなります。

 

現在では、事故対策は、全く検討されていません。

 

3-5)システム開発の基本手順

 

システム開発には、基本手順(プロセス)があります。

 

それは、パーツ(モジュール)の段階で、問題点を改善してから、全体を組み立てるという手順です。

 

マイナンバーカードには、モジュール設計とモジュール段階でのバクとりと改善がありませんので、かならず失敗します。

 

これは、システム開発プロセスの間違いです。

 

マイナンバーカードのシステム開発プロセスがまったく、議論されないことは、関係者には、プロセス思考ができる人材がいないことを示しています。

 

政府は、利害関係者なので、セキュリティを担当できません。第3者機関が必要になります。第3者機関は、セキュリティの確保に必要なプロセスの一部です。