言葉とメンタルモデル(2)

厚生労働省は2024年11月15日、社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の年金部会で、パートなどの短時間労働者が厚生年金に加入した際に支払う保険料について、会社側の負担割合を増やせる特例制度の導入案を示しました。

<< 引用文献

厚労省「106万円の壁」見直し、保険料の会社負担増やす特例案…「従業員51人以上」も撤廃へ 2024/11/15 読売新聞

https://news.yahoo.co.jp/articles/2f4a60ece81e579de6f750429f8d2673831d735e

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実業家の堀江貴文氏は、2024年11月15日、自身のYouTubeチャンネルで、国民民主党が主張する「103万円の壁の引き上げ」について、次のように持論を述べました。(筆者要約)

 

「(手取りが)ちょっと増えても税額何千円とか1万円とか、せいぜそのぐらいのみみっちい話なんだよね」と指摘。103万円を超えても、さまざまな壁があり「ごちゃごちゃして、でも最大の問題は結局、社会保障費なんですよ。要は国家予算の中に含む社会保障費、プラス年金とか健康保険とか別会計でやってるから、めちゃくちゃややこしいんだけど、国家予算の規模超えてるんだよね」と話しました。

 

 2024年の国家予算は112.5兆円、厚生労働省によれば社会保障の給付金は137.8兆円と、確かに超えている。また、社会保障給付金は税収で5割、4割強は国債でまかなわれています。

<< 引用文献

堀江貴文氏 国民民主の「103万円の壁」論をバッサリ「みみっちい話 どうでもいい」手取り増求める声に具体的指南も 2024/11/16 デイリー

https://news.yahoo.co.jp/articles/f247911263fd7812b6c173f184754500d19bf97c

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堀江貴文氏の説明は、正論です。しかし、国債で、財源を確保して、補助をばら撒くスタイルは、1972年に完成しています。これが、政治主導のルーツです。

 

何か問題があった時には、政治献金をすれば、政治主導で政策決定の結果が変えられるというメンタルモデルです。

 

時事通信は、次のように伝えています。

日本原子力発電敦賀原発2号機(福井県敦賀市)の新規制基準への適合性審査について、原子力規制委員会は2024年11月13日、パブリックコメント(意見公募)を経て不適合とすると正式決定した。

 

焦点となっていた敷地内の断層について、「活断層であることを否定できない」と結論付けた。

 

 規制委は9年近くに及んだ審査を経て、新基準に適合しないとする審査書案を8月に了承。正式決定により敦賀2号機の再稼働は事実上不可能となるが、制度上は再申請が可能で、原電側は追加調査を行って再申請を目指す考えを示している。不適合は2012年の規制委発足後初。

 

 規制委の山中伸介委員長はこの日の記者会見で「大きな判断だった」とした上で、「科学的・技術的な観点から厳正に審査した点においては、これまでの許可判断と何ら変わらない」と述べた。

 

 一方、原電は「大変残念だ。当社として再申請、稼働に向けて取り組んでいく」とコメント。村松衛社長と剱田裕史副社長が役員報酬の50%を2カ月間自主返納すると発表した。

 

 事務方の原子力規制庁によると、30日間で282件の意見が寄せられ、うち67件を審査に関係するものとして取り上げた。地質学的な根拠を求める意見が多かった一方、「新たな科学的知見がない限り再申請を受理すべきではない」との意見もあった。規制委は「再申請があった場合には厳正に審査する」と回答した。

 

 東京電力福島第1原発事故後の13年にできた新規制基準では、活断層の上に原子炉建屋などの設置を認めていない。敦賀2号機の審査では、原子炉建屋近くの「K断層」について、将来動く可能性があるかという「活動性」と、建屋直下の断層とつながっているかの「連続性」が焦点となり、規制委はいずれも「否定できない」と判断。「(新基準に)適合しているとは認められない」とする審査書を取りまとめた。

<< 引用文献

敦賀2号機、「不適合」正式決定 再稼働、事実上不可能に 発足後初・規制委 2024/11/13 時事通信

https://news.yahoo.co.jp/articles/2e24d09fa22c0ab117e8784e401beb5d5687e010

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<焦点となっていた敷地内の断層について、「活断層であることを否定できない」>と書かれています。2重否定の分かりにくい表現です。分かりやすく書けば、「敷地内に活断層がある」となります。

 

つまり、「日本原子力発電敦賀原発2号機の敷地内に活断層がある。これは、活断層の上に原子炉建屋などの設置を認めない新規制基準で、稼働不可能になる」ということです。

 

原電は「大変残念だ。当社として再申請、稼働に向けて取り組んでいく」とコメントしています。しかし、この発言は、何が「大変残念」か、意味不明です。

 

この発言は、「敷地内に活断層がある」というエビデンスを無視しています。

 

活断層の上にある原発を無理して動かせば、地震があれば、福島第1原発と同じようにメルトダウンしてしまいます。原発には、その事故を保証する能力はありません。

 

「敷地内に活断層がある」場合には、稼働を停止するのが正しい判断です。すくなくとも、新基準はそのように考えています。

 

村松衛社長と剱田裕史副社長が役員報酬の50%を2カ月間自主返納する」という処置は、正しい判断を否定しています。

 

原発は、政治献金をすれば、政治主導で政策決定の結果が変えられるという古いメンタルモデルで動いています。

 

これに対して、パブリックコメントをした人と規制委は、地質学的な根拠(エビデンス)は、政治主導に優先するという科学のメンタルモデルで、動いています。

 

朝日新聞は、次のように伝えています。

公立学校の教員給与をめぐって、財務省が時間外勤務を減らすことを条件に段階的に引き上げる案を示したことに対し、阿部俊子文部科学相は2024年11月12日、「乱暴な議論だ」と批判した。文科省は同日、ホームページに財務省案への反論を掲載した。

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財務省案に「乱暴な議論」、阿部文科相 2024/11/12 朝日新聞

https://news.yahoo.co.jp/articles/6483ca747a15446820c978ea8fde1da05ceb90d5

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今まで、財務省の主張が閣議で了承されれば、実質的な国会審議なしに、政策が決定していました。

 

与党が過半数を割って、閣議で政策を決めることができなくなりました。

 

今までの文部科学相は、仮に、反対意見をもっていても、閣議で多数を得ることが出来なければ、意見が通らないので、反対意見を言わなかったと思います。

 

財務省の原案が、国会の予算委員会の討議に持ち込まれるのであれば、閣議では少数派の文部科学相の意見が政策に反映される可能性があります。

 

ここでも、メンタルモデルの大きな変化が起こっています。