米大統領選(5日投開票)は6日、共和党のドナルド・トランプ前大統領(78)が当選しました。
日本のマスコミは、圧倒的に反トランプが多かったです。
日本のマスコミは、政治はイデオロギーであると考えています。
これは、建前です。自由民主党の建前は、イデオロギーですが、実態は、利権の集合で、右も左もありません。そのことは、パーティ券問題で明らかになっています。
政策をみれば、野党と与党(自由民主党+公明党)の政策は同じです。
トランプ前大統領は、アメリカの政治を書き換えました。
それまでは、アメリカの政治も、日本の政治と同じように、本音と建前’(イデオロギー)がありました。
トランプ前大統領は、「政治には、建前は不要である。政治は、ディールである」と主張しました。
トランプ前大統領の政策には、統一的なイデオロギーはありません。大統領選挙の公約も、ディールの条件が変われば、変更すると思われます。
バイデン政権の経済政策と移民政策が成功していれば、ハリス氏にもチャンスがあったと思いますが、バイデン政権は、経済格差の是正と、移民問題に失敗しています。
トランプ前大統領は、前回の就任期間中に、輸入品に関税をかけました。いくつか、常識に反するような政策をしました。しかし、バイデン政権になっても、多くの政策は引き継がれました。トランプ前大統領の政策は、発言ほど無茶苦茶ではありません。それは、政策は、ディールを基準に判断するからです。輸入品に関税をかけることは、ディールとして、損になる場合には、簡単に政策を変更するはずです。
トランプ前大統領の発言は、過激です。しかし、これには、メリットもあります。
たとえば、移民の流入問題は、アメリカだけでなく、EUでも大問題になっています。
EUは、今まで、建前上は、人権問題に配慮して、移民を受け入れてきました。
しかし、本音は、移民の受け入れが、経済的利益になるという判断にあったと思われます。
現在は、移民の受け入れは、経済的、かつ政治の安定にマイナスで、EUは移民を受け入れたくなくなっています。
しかし、EUの従来の政党は、建前を崩しません。その結果、移民の流入が止まらないので、極右政党が台頭しています。ドイツでは、経済効率を無視して、環境優先の政党が台頭して、経済が崩壊しかかっています。
トランプ前大統領の主張は、ディールに有利であれば、イデオロギーは無視できるというものです。
移民の流入を防止できるのであれば、人権配慮の不足は気にしないという判断になります。
メキシコ経由の移民の流入は、今後かなり減少すると思われます。
そうなった場合には、EUでも、より人権配慮をしない移民の流入防止策がとられる可能性があります。
1960年ころに、アフリカの国が独立するまでは、帝国主義(植民地)は、健在でした。先進国の多くは、帝国主義の植民地からの実入りで、先進国になりました。
1960年頃に、世界的な規模で、農業から工業への産業シフトが起こります。先進国は、工業国になります。農業国の先進国であったアルゼンチンは、先進国から脱落します。日本は、先進国ではありませんでしたが、工業化に成功して、先進国になりました。
1990年頃から、デジタル社会へのレジームシフトが起こります。この時期には、海外移民が拡大しています。2024年時点では、中国、インド、インドネシアなどの巨大な人口をかかえる国からの大規模移民は発生していません。しかし、大規模移民が発生した場合には、人権思想は無視されるでしょう。
トランプ前大統領の主張は、時代の先を行っていると思われます。
仮に、こうした大規模移民が発生しない場合でも、AIが、大規模移民の代わりに、労働者の仕事を奪います。
DXと労働者の雇用のバランスをとるには、ディールで考えるしか、解決策はありません。
たとえば、円安になって、海外の工場が、日本に戻ることを期待する人がいます。
しかし、海外の工場が日本にもどっても、賃金は、海外の労働者と同じレベルに止まります。
10年もすれば、その労働者も、DXに置き換わっていなくなると思われます。
日本は、建て前を優先して、30年間の経済停滞にはいりました。
建て前には、問題を解決する力はありません。
なお、中絶問題は、トランプ前大統領の再選の大きな障害には、ならなかったと思います。
なぜなら、中絶問題が、ディールでマイナスであることが分かれば、トランプ前大統領は簡単に意見を変えるからです。
マスク氏が、トランプ支持になった理由も、ディールで政策変更が可能であるという判断に基づくと思われます。