1)定義
ここでは、テクニシャンとエンジニアの違いの一般化を試みます。
1-1)2種類の論文
識別のキーワードは、「解かれた問題」です。
科学技術論文では、論文を2種類に分類します。
第1は、新しい仮説や新しい検証です。
この「新しい」を英語では、something newといいます。
論文が提示した仮説が、今までにない(something new)仮説である場合には、その論文には、オリジナリティがあります。
第2は、既に提示された仮説に関係する論文です。
仮説は、求められた問題を解く意図をもって提出されます。
しかし、仮説が問題を解くことができたか否かは、検証の結果によります。
1-2)一般化
以上の分類に従えば、新しい仮説や新しい検証を目的に、活動する人を、エンジニア’(サイエンティスト)と呼ぶことにします。
既に提示された仮説(問題の解決法)を目的に、活動する人を、テクニシャンと呼ぶことにします。
職人は、親方のテクニックを盗みます。これは、親方の問題の解決法をコピーする学習法なので、テクニシャンの学習法になります。
親方がその道の権威である場合には、テクニシャンの学習法は、権威の方法が通用するとい前提で構成されています。
これは、プラグマティズムの公準で判断すれば、科学の方法ではありません。
ある大企業のCEOは、次のように言っています。
「かって、日本は、他国の長所を取り入れるのが得意だった」
「海外の要人を招いて、助言を求めるべきだ」
これは、前例主義(固執の方法)と要人の権威主義で、プラグマティズムの公準で判断すれば、科学の方法ではありません。
つまり、日本企業のCEOには、テクニシャンが多いことになります。
スティーブ・ジョブズ氏は、エンジニアでした。
アップルの新製品は、前例のない方法で問題を解決しました。
ジョブス氏が、「他の企業の長所を取り入れ」たり、権威者の助言を求めていれば、アップルの成長はありませんでした。
一般化をすれば、すべての人間は、エンジニアとテクニシャンに分類できます。
そこでは、文系と理系の違いを無視できます。
マスコミは、問題があると識者の意見を求めます。
これは、権威の方法で、プラグマティズムの公準で判断すれば、科学の方法ではありません。
前⽥裕之氏の講演「経済学はどこに向かうのか」から、図を引用します。
<< 引用文献
経済学はどこに向かうのか 前⽥裕之
https://www.mof.go.jp/pri/research/seminar/fy2023/lm20231102.pdf
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個人の経験や専門家のエビデンス(データ)に基づかない意見は、最も、信頼性が低くなります。
会話をする相手を選ぶことが重要です。
エンジニア(サイエンティスト)に通じ得る話は、テクニシャンには通じません。
エンジニアとテクニシャンはメンタルモデルの共有ができません。
そこには、バカの壁が存在します。