2)バカの壁の回避
前回のまとめは、言葉(名詞)に対して、「値(要素)」がない場合には、言語になっていないというものでした。
2-1)北朝鮮のミサイル
林芳正官房長官は30日の記者会見で、北朝鮮が来月にも大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射や7回目の核実験に踏み切る可能性について見解を述べました。
10月31日朝に北朝鮮は、ミサイルを発射しました。
飛行時間は過去最長の約86分間になった。
これまで北朝鮮が発射したICBMの飛行時間は、2023年7月のものが74分間で過去最長でした。
ここでは、言葉(名詞)は、北朝鮮のミサイルです。
この名詞に対応する「値(要素)」は、今のところ「飛行時間は約86分間」しかありません。
北朝鮮のミサイルは、次第に技術レベルが上がって、危険度が増加しているのでしょうか、
出力や制御の精度は上がっているのでしょうか、
「飛行時間」だけでは、ほとんど何も分かりません。
イスラエルは、ミサイルの撃墜システム(アイアインドーム)をもっています。
日本は、イスラエルより広いです。また、イスラエルほど、ミサイルの撃墜システムにお金をかけているとも思えません。
自衛隊は、北朝鮮のミサイルを撃墜する能力があるのでしょうか。
仮に、撃墜を試みるとしたら、どのような条件のときでしょうか。
スマホに、緊急警報を流しても、シェルターがありませんので、現実には、ほぼ、逃げることが不可能です。
防衛費を増やせば、北朝鮮のミサイルに対する安全性が増加するのでしょうか。
財務大臣は、円安には、プラスとマイナスの面があると、無責任な発言をしていました。
円の価値が3分の2になれば、防衛費も3分の2になります。
防衛費を増額して、そのために、増税をしても、1ドルが、180円になれば、防衛費を増額する前の水準の防衛能力しか持てなくなります、
北朝鮮のミサイルは、「値(要素)」が不十分で、言語になっていないようにみえます。
太平洋戦争の時には、特攻が行われました。作戦の費用対便益が計算されていれば、特攻は起きませんでした。
同様に、作戦の費用対便益が計算されていれば、インパール作戦も行われなかったといえます。
防衛費の費用対便益を考える上で、必要であれば、北朝鮮のミサイルをうち落とすという便益が生じるか否かは、重要なポイントになります。
「北朝鮮がミサイルを打ち上げました。飛行時間は過去最長の約86分間になりました。」では、防衛費を増額する意味がなくなります。
言語がないと、検討ができないのです。