1500円の壁

石破首相は自民党総裁選時に、「2020年代に全国平均1,500円」に引き上げるという目標を掲げました。

 

2013年度 の最低賃金は、 東京都で 869円でした。

2024年度 の最低賃金は、 東京都で 1163円です。

 

2013年の円ドルレートは、97.5957円です。    

 

2024年の9月までの平均の円ドルレートは、151.1351円です。

 

2013年度の最低賃金は、 東京都で 8.9ドルでした。

2024年度の最低賃金は、 東京都で 7.7ドルです。

 

2029年に仮に、最低賃金が1500円になっていても、円ドルレートが168円であれば、最低賃金は、2013年度と同じ8.9ドルになってしまいます。

 

官房副⻑官は22⽇午前の会⾒で、為替相場が⽇本経済に与える影響について、⼀般論では輸⼊・輸出物価などを通じてプラス⾯、マイナス⾯両⽅の影響があるため「⼀概に述べることは困難だ」との考えを⽰しています。

 

これは破綻した論理です。

 

この論理が通るのであれば、地球温暖化には、プラス⾯、マイナス⾯両⽅の影響があるため「⼀概に述べることは困難だ」という結論になってしまいます。

 

プラス⾯、マイナス⾯両⽅の影響を計算してトータルを出す必要があります。

 

唐鎌大輔は、1ドル180円を想定しています。

 

「異次元緩和の罪と罰」は英訳されていませんが、この本を読むと、日本企業に投資することは正常でないように感じます。

 

経団連の十倉雅和会長は22日の定例記者会見で、衆院選で主要政党が「最低賃金1500円」への引き上げ目標を公約に掲げていることについて「(目標は)チャレンジングでもいいが、到底達成不可能だというのは混乱を招くだけだ」とくぎを刺しています。

 

しかし、為替レートを無視して、1500年を論じても意味がありません。

 

唐鎌大輔氏が、1ドル180円を想定している根拠は、デジタル赤字です。

 

日本には、まともな科学者とエンジニアが消滅しつつあります。

 

競争力指数とデジタル競争力指数は、その事実を示しています。

 

内閣も経団連も、衆議院に立候補している政治家も、科学的な推論ができません。

 

科学の方法では、解くべき問題を設定すること、解法のツールを共有することが前提になります。