アンセル・アダムスは、最も、有名は風景写真家です。
アダムスの活動を追いかけていくと、風景画のハドソンリバースクールに行きつきます。
アメリカで、風景画のビジネスモデルが確立したのは、ハドソンリバースクールからです。
ハドソンリバースクールは、アメリカの風景は美しいというモデルを確立し、居間の風景画を飾ることが流行します。
また、風景画の対象の自然を保護するために、自然保護運動が盛んになり、自然公園が整備されます。
風景画は、交通不便で、容易に近づけない風景を扱いましたが、交通手段の発達とともに、風景画のサイト訪れるツーリズムが盛んになります。
アダムスが自然公園の写真を撮影した場合には、その写真を見る人として想定した人は、ハドソンリバースクールの風景画の購入者と重複していたはずです。
つまり、ハドソンリバースクールの風景画のような写真のイメージがあったと思われます。
なぜなら、ハドソンスクールの風景画のような写真は、市場に受け入れられる可能性が高いからです。
さて、同様に考えると、日本人に受け入れられやすい風景を絵画に求めることが可能と思われます。
しかし、ハドソンリバースクールと同様に、絵が売れるビジネスモデルが確立したのは、江戸時代の浮世絵の風景画からであると思われます。
そう考えると、浮世絵の何が日本人の感性を訴えたのかが分かれば、良い風景写真が撮れると思われます。
ハドソンリバースクールの風景画については、膨大な研究があり、ネットでも、代表的な風景画や、画家の活動の情報を入手できます。
一方、江戸時代の浮世絵の風景画の情報は、ネットでは、ほとんど入手できません、
展覧会のポスター、文字ばかりのモノグラムがあるだけで、体系的な分析は見つかりません。
実は、江戸時代以前の日本の風景画の情報は、アメリカの方が多いです。
ボストン美術館は、「Hokusai's Landscapes The Complete Series」を出版しています。
その一部のサンプルはPDFで公開されています。
岡倉天心は、ボストン美術館中国・日本美術部の中心人物でした。この中には、岡倉天心の収集品もあるかも知れません。
スミソニアン博物館では、「The Arts of Japan」という小冊子が入手できます。
https://docent.asia.si.edu/wp-content/uploads/Arts-of-Japan.pdf
エール大学では、Louisa Cunningham氏の「THE SPIRIT OF PLACE Japanese Paintings and Prints of the Sixteenth through Nineteenth Centuries」が入手できます。
https://artgallery.yale.edu/sites/default/files/publication/pdfs/ag-doc-2150-0001-doc.pdf
メトロポリタン美術館では、「Japanese_Art_Selections_from_the_Mary_and_Jackson_Burke_Collection」は、検索にかかりました。
この「Mary and Jackson Burke Collection」の日本美術の分量には圧倒されます。
というわけで、「浮世絵の何が日本人の感性を訴えたのか」はまだわかりませんが、日美術の作品も、分析も圧倒的にアメリカの一人勝ちの状態であることが分かりました。
なお、「明治になって日本人が風景を発見した」と主張する人もいますが、筆者の分析は、ハドソンリバースクールの分析に準じているので、ポイントは、ビジネスとしての浮世絵の成立にあると考えます。
浮世絵の構図は、ヨーロッパの画家も参考にしています。
逆に、渡辺崋山のように、西洋絵画の影響があるといわれる日本字の画家もいます。
写真のミニマリズムには、禅や水墨画の影響があるとも思われます。