自民党総裁選は27日、党本部で国会議員の投票が行われ、党員・党友票と合わせて即日開票されます。
日本では、過去の慣習は変えられないという先入観がありますが、前例には根拠はありませんので、ゼロクリアで考える必要があります。
1)選挙の公平性
国の選挙であれば、公職選挙法で、ルールが決まっています。
自民党総裁選のルールは、曖昧です。
9月26日の時点で、党員票に対して、利害関係者がマスコミを通じて、働きかけています。
こうした偏向報道に対する規制はまったくありません。
選挙の買収に対しても、どこまで取り締まれるか不明です。
高市氏のパンフレットがルール違反であるという主張がありますが、そもそも政党に選挙管理組織があって買収等をチェックしているようには、見えません。
議員票については、ほぼ、買収まがいの工作が横行しています。
大臣のポストを引き換えに、投票を要請することは、明らかに、買収ですが、歯止めはありません。
このような手順で大臣になれば、問題解決より、利権を優先する大臣になると思われます。
2)アメリカの場合
アメリカの大統領選挙では、週ごとに、党員集会または、予備選挙によって、代議員を選びます。この代議員の選出には、議員票は存在しません。
党員集会になるのか、予備選挙になるのかは州によって異なります。
朝日新聞によれば、次のルールになっています。
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予備選挙は、投票所に足を運んで投票し、通常の選挙に近い。政党登録した有権者だけが投票できる「closed」とよばれる方式と、登録していない無党派層も投票できる「open」とよばれる方式があり、これは州によって異なります。
一方、党員集会は複雑で、投票で決める所もあるが、注目を集めたアイオワ州の民主党の場合、地区ごとに住民が学校などに集まって議論をしながらそれぞれどの立候補予定者を支持するか確定していく。最終的な支持者数に応じてその地区に割り当てられた代議員数を配分する。それを州全体でまとめて順位が決まる。
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https://www.asahi.com/international/president/system.html
3)議員票の意味
これから、自民党には、議員の相互投票という密室で、総裁を選出したい人が多いとしても、驚くことではありません。
しかし、この問題の根は深いです。
立憲民主党代表選挙のルールは、次のとおりです。
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内訳は、衆参両院の副議長を含む136人の国会議員に1人2ポイントで272ポイント、98人いる国政選挙の公認候補予定者に1人1ポイントで98ポイントとなり、あわせて370ポイントとなります。
また、全国1236人の地方議員と、11万4792人の党員・サポーターには、それぞれ185ポイントが割り当てられます。
決選投票のポイントは以下です。国会議員1人2ポイント、候補予定者1人1ポイント、都道府県連1人1ポイント。
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<< 引用文献
立憲民主党代表選挙の仕組み ポイント・党員・サポーターとは
https://www3.nhk.or.jp/news/special/rikkentop_2024/structure/
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これは、立憲民主党も、議員の相互投票という密室で、総裁を選出したい人が多いことを示しています。
総裁選や代表選に、議員票をいれれば、民主主義でなくなります。
アメリカの<登録していない無党派層も投票できる「open」とよばれる方式>までいかないにしても、実質議員票で、総裁や代表が決まる方法は、民主主義ではありません。
4)補足
自民党総裁選に立候補した高市早苗経済安全保障相が党ルールに抵触する形で政策パンフレットを全国の党員ら約30万人に郵送した問題を受け、党総裁選挙管理委員会の逢沢一郎委員長は20日までに党ホームページに誤解や予断を持たずに投票に臨むよう呼びかける注意喚起の声明を掲載した。特定候補の行動を事実上戒めた格好で選挙戦さ中の対応としては異例です。
公職選挙法では、選挙違反があっても、選挙が終わるまで、取り締まりはしません。
これは、取り締まり情報で、選挙結果に影響がでることを避けるためです。
アメリカの大統領選挙では、ロシアがSNSで、フェイク情報を流した疑いがあります。
今回の「高市氏のパンフレットがルール違反」という主張は、自民党の内部から出てきた可能性があります。その場合には、自民党の議員には、公平な選挙というモラルがないことになります。つまり、自民党総裁選は金権選挙そのものになっています。
マスコミには、有識者が、どの代表の政策がよいかというコメントがでています。
マスコミに出て来る有識者は、データの根拠のない視聴率を稼ぐ予言をしています。
これらのコメントは、科学的には、間違いです。
間違いであると断言できる理由は、将来のことは、誰にも、わからないからです。
こうした場合には、現状に問題があれば、モニタリングしながら、新しいことを試してみて、上手くいった方法を継続することになります。
問題があっても、前例主義で現在の方法を続けることは最悪の選択になります。
アベノミクスは、インフレ目標を設定して、目標が達成されないのに、10年も同じ金融緩和を続けました。
緊急緩和の効果はありませんでした。
このことから、金融緩和政策が間違いであったことになります。
金融緩和は十分原因であって、必要原因のハイテク人材の育成、あるいは、ジョブ型雇用の確立が足りなかったのかも知れません。
因果推論では、十分原因だけを考えて、必要原因を無視した政策が失敗した場合、金融緩和(十分原因)で、インフレになるという仮説は間違いであると判断します。
このように、アベノミクスで、日本が貧しくなった原因は、政策の間違いを観測して、修正するメカニズムが存在しなかった点にあります。
間違いを観測して、修正するメカニズムが存在すれば、利権による予算配分は追放されてしまいます。
これが、科学的に間違った前例主義の根拠です。
仮説の間違いを観測して、修正するメカニズムは、科学の方法です。
利権の方法から、科学の方法に、政策決定プロセスを切り替えなければ、日本経済の墜落は止まらないと言えます。