(1)因果推論のパターン
「思考のパターン」あるいは、「メンタルモデル」は、世界をみるレンズです。
単純に、ベーコン流の帰納法を用いると原因を1つ見つけると満足してしまいます。
しかし、因果モデルで考えれば、原因が1つである単純な場合は例外です。
複数の原因(交絡因子)を考えだすと疑心暗鬼になって、RCT以外は信じられなくなります。
しかし、データは、ノイズを含みますので、原因の候補を増やし続けると収集がつかなくなります。完全を期さないのであれば、原因を1つに限定することを放棄して、原因を増やして、2つか3つ程度に拡充するだけで、見えてくる世界があります。
1)必要原因と十分原因
良い家を建てるときには、良い設計図と資金が必要です。
資金があれば、必ず家が建ちますので、資金は十分原因です。
しかし、資金があっても、設計図が悪ければ、良い家にはなりません。
この場合の設計図は、必要原因になります。
因果推論が実現するためには、必要原因と十分原因が満たされる必要があります。
アップルがIPhoneをつくる場合には、iPhoneや、クラウドサービスの設計図が必要条件です。水平分業は、十分条件です。
水平分業ができている企業は、アップル以外にもありますが、iPhoneレベルのスマホを製造販売できている企業はありません。
十分原因と必要原因の2つが必要で、一方がかけた場合には、十分な成果(結果)が生まれません。
2)十分原因
(a)鈴木宗男氏の考える政治家の要件
自民党の総裁選挙に関連して、鈴木宗男氏は次のように発言しています。
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日本は議院内閣制で、国会議員が総理大臣を決めるわけですから、他の議員から信頼される、彼らを束ねる力がある、こうした人間力があるかないかが勝負ですね。
どんなに良い政策を考えても人を動かせなければ実現しない
私の言う頭の良さとは、人の心を捕まえるのがうまいこと。また、弱い人に寄り添ったり困った人に情けをかけたりできること。田中先生にはそうした人間力があったから、逮捕されようが批判されようが、待望論が尽きないんです。
普段から、ラーメンとギョーザでもいいし屋台でもいいから、一杯飲んだりしてバカ話をするときに、信頼関係は深まるものです。何より、人をいたわる気持ちや思いやる気持ちは、そうやって鍛えて身に付くものです。それこそ、田中先生が大切にしていたことです。
政治家は山賊、海賊の集まりです。「俺が、俺が」と思っている人ばかりですから、「我(が)」の世界です。特に自民党の政治家は大半が、一度は総理になりたいと思っているでしょう。誰でもなれるものじゃない、ということが分からないからです。
そんな「我」の世界をまとめ上げるには、人一倍の人間力、広い心、情、思いやり、信念を持ち、腹が据わっていることが必要です。自分の考えに合わない人を遠ざけるようではいけません。何万もの有権者に名前を書いてもらって国会へ出て来ている人なら、誰でもそれなりの能力があるものです。それをうまく引き出して使うのが、リーダーの大切な要件です。
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<< 引用文献
鈴木宗男が総裁選候補を辛口採点!「人間としての深みを増した」議員、「国民を軽く見た」議員 2024/09/25 Diamond 鈴木宗男
https://diamond.jp/articles/-/350959
>>
鈴木宗男氏は政策を実現するための十分原因についてかたっています。
鈴木宗男氏はよい政策を実現するための必要原因については、語っていません。
田中角栄氏の政策(日本列島改造、必要原因)は、良く言えば、弱者救済、悪く言えば、利権の政治でした。そして、この利権の構造に、土地の開発が含まれ、その結果、土地利用計画が崩壊して、土地バブルをまねていています。
日本列島を災害に弱くした原因がここにあります。
また、経済合理性を無視した政策を実施しましたので、農村から、都市への人口移動が停止して、高度経済成長が終っています。
鈴木宗男氏のように、田中角栄氏を政治家のモデルに考えている政治家も多いですが、日本列島改造は、地方への公共投資の偏重と、産業間労働移動を停止する政策でした。
つまり政治的に地方への公共投資を偏重するために作成された「地方再生」というキーワードと労働生産性の停滞のルーツは、田中角栄氏の政治モデルにあります。
解雇規制緩和を論ずる場合には、この点に戻って問題を整理する必要があります。
田中角栄氏の政治モデルでは、十分原因の資金調達は、建設国債でした。必要原因の政策の設計図は、政治献金に対応して、地方に公共事業を配分することでした。このモデルは、非公共部門への補助金によるキャッシュバックに拡充されています。
つまり、田中角栄氏の政治モデルでは、政策(設計図、必要原因)は、政治家が、政治献金を見ながら、采配する政治主導の場でした。
この方法では、土地利用計画は骨ぬきなので、災害リスクの高いエリアが開発され、住宅に提供されます。したがって、日本列島は、災害に弱くなります。
東京横浜エリアに、緑地や農地を残せば、洪水の安全度が劇的に向上できましたが、政治主導で、土地利用計画は無視されました。
田中角栄氏の政治モデルでは、政治主導と称して、政治家以外が、政策(設計図、必要原因)作成に関与することを排除しました。これを実現するために、政策評価は行なわれていません。
先進国で、政策評価の研究が行なわれない国は、日本だけです。
企業でも同様に、幹部以外が、経営方針(設計図、必要原因)作成に関与することを排除しました。
Aera.dotには、次のような記事があります。
<
<『社員旅行があります』ってメリットのように記載してる会社、若者からしたらそれが超デメリットなの分かってないのかな?>。8月、社員旅行に関するこんな投稿がXで8000件近くリツイートされ話題となった。
産労総合研究所の「社内イベント・社員旅行等に関する調査」によると、社員旅行を行う企業は1990年代には8割近くあったが、年々減少し、2020年にはコロナ禍の影響もあり27.8%まで落ち込んでいる。
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<< 引用文献
「社員旅行」はオワコンなのか? 行きたくなかった若者も満足させた「令和の社員旅行」の最前線 2024/09/23 Aera.dot 大谷百合絵
https://dot.asahi.com/articles/-/234355?page=1
>>
社員旅行は、鈴木宗男氏の「一杯飲んだりしてバカ話をするときに、信頼関係は深まるものです」に対応しています。
社員旅行は、十分原因に対応しています。
社員旅行は、必要原因に対応していません。
社員旅行をしても、画期的な新製品が生まれることはありません。
必要原因を考えれば、スキルを身につけたり、試作をを繰り返す必要があります。
(b)アベノミクス
元総務相で慶応大名誉教授の竹中平蔵氏が2024年9月22日放送の読売テレビ「そこまで言って委員会NP」に出演しました。番組では「アベノミクスの功罪」が議論されました。
竹中平蔵氏の発言を引用します。
<
前半は「物凄くいろんな改革をやって、国家戦略特区とか法律なんかも、半年かけないで通しちゃうわけですよ」と指摘した。
一方で「モリカケ問題が出てきた」として後半を「周りの人たちが総理を前面に出さないように、出さないようにした。改革というのは総理が前面に立たないと、大きな改革はできないので、後半は第3の矢が特に刺さらなかった」とした。
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<< 引用文献
竹中平蔵氏 アベノミクス功罪「一番残念だったのは」 安倍内閣後半「第3の矢刺さらなかった」要因指摘 2024/09/22 デイリー
https://www.daily.co.jp/gossip/2024/09/24/0018156669.shtml
>>
公益財団法人フォーリン・プレスセンターは、2015年12月8日に当時の<アベノミクス「新三本の矢」をめぐる是非>の議論を紹介しています。
<
第2次安倍政権が発足してからこの12月で3年。9月の自民党総裁選に再選されたあと、安倍晋三首相は、肝入りの経済政策であるアベノミクスの「第二ステージ」を打ち出した。これは、政権発足の際に打ち出した最初のアベノミクスの追加措置だ。しかし、日本経済は依然として不安定さを見せており、安倍政権の経済政策には常に賛否両論がつきまとう。『文藝春秋』12月号「『一億総活躍』わが真意」では、安倍晋三首相自らが日本経済の現状と新しい政策の意図について解説している。
まず安倍首相は、「……政権を奪還した私が真っ先に掲げたのが、〈デフレからの脱却〉であり、そのための武器として持ち出したのが、アベノミクスの〈三本の矢〉でした」と振り返る。批判の声も多い中で経済政策を進めた決断について、「……バブル崩壊後の二十年余り、あらゆる政権、あらゆる政策がデフレを解決できなかったのは厳然たる事実です。それはなぜか?二〇〇七年に最初の総理の座を辞してからこの問題を考え続けてきた私は、批判を恐れ、リスクを取って思い切った政策を実行してこなかったからだと結論付けていました」と述べ、「今まさに、日本経済は〈デフレ脱却〉までもう一息というところまで来ているのです」との見方を示している。
今後の経済運営で最大の難関と見られているのが、2017年4月からの消費税再引き上げである。今年10月の実施予定が、一度延期されている。中国経済の行方など不安定要因が増しているため再延期の議論も出ているが、これに対して安倍首相は、「……それには与しません。リーマンショックのようなことが起こらない限り、二〇一七年四月には消費税は間違いなく一〇%にします」と明言。そして「その時までに、何としても日本経済を上昇気流に乗せることが必要不可欠」「アベノミクス第二ステージの〈新・三本の矢〉はそのための手段」と述べる。
新・三本の矢は、2020年までにGDP600兆円達成を目指す「希望を生み出す強い経済」、2020年半ばまでに希望出生率1.8を目指す「夢をつむぐ子育て支援」、2020年初めごろまでに介護離職ゼロを目指す「安心につながる社会保障」をスローガンにしている。具体的には「……少子高齢化の流れに歯止めをかけることであり、そのためのメルクマール(指標)が〈五十年後も人口一億人維持〉」であるという。ただ人口を維持するだけではない。「一億人の一人一人が活躍する。家庭で、地域で、職場でやりたいことができる、それぞれの能力を発揮できる輝ける社会の仕組みを整備すること」を目指すのが「一億総活躍」であるという。
さらに、「単に金銭的な意味での〈一億総中流〉を私は志向しません。そうではなくて、若者もお年寄りも、女性も男性も、難病を抱えた人も障害がある人も、一度失敗した人も、みんなが活躍できる社会を作るために、それを阻むあらゆる制約を取り払いたい。そうした思いから生まれたのが〈一億総活躍〉なのです」と解説している。
・竹中平蔵「規制緩和 まだまだ足りない」『文藝春秋』12月号
小泉純一郎政権で経済財政担当大臣を務めた慶應義塾大学教授の竹中平蔵氏は、『文藝春秋』12月号「規制緩和 まだまだ足りない」のなかで、アベノミクスと安倍政権の成果について積極的な評価を示している。その一つが、今年10月5日の環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意である。交渉を極めて迅速にまとめた点と、メリットの大きさを高く評価しているといい、「……日本は大国アメリカを巻き込んだ一大経済圏を生み出すことに成功しました。……将来的には中国も加えたアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)実現を見据えた枠組み交渉を、日本とアメリカがリードしていく第一歩を踏み出したのです」と述べる。
さらにアベノミクスの新・三本の矢について、「一見すると旧来の三本の矢から様変わりした印象を受けますが、詳細に見ていけば、旧三本の矢のうち、達成できていないことを引き続き進めていこうと言っているのです」と説明。「アベノミクス第一ステージでは、第三の矢の〈成長戦略〉の達成が不十分だったため、これをより具体的に進めていこうというのが、新三本の矢の基本的な考え方でしょう」と位置付けている。そして2020年をめどにGDP600兆円を達成するという目標についても、大方針として非現実的な数字ではなく、「……最も重要なのは、一度掲げた旗をぶれずに掲げ続けること」であると指摘する。その方策として、元米財務長官のローレンス・サマーズ氏の世界長期停滞打開策を引用し、「一つは規制緩和。もう一つは積極的なインフラ投資」であると主張。カジノの設置など、日本にはまだまだやれることが数多くあると主張している。
・田村秀男「消費増税10%でアベノミクスは終わる」『正論』12月号
アベノミクス以外にも、安倍政権の経済政策の方針にさまざまな危惧の声が上がっている。そのもっとも大きなものが、2017年4月からの消費再増税のもたらす影響だ。産経新聞特別記者の田村秀男氏は、『正論』12月号の「消費増税10%でアベノミクスは終わる」のなかで、「消費税増税の経済破壊効果はすさまじく、1997年度はデフレ不況をもたらし、2014年度はアベノミクス効果を吹き飛ばした。にもかかわらず、国家として2度も重大な失敗を繰り返したという自覚が政官財と主流メディアにない。このまま増税論議におし流れるようだと、安倍晋三首相が打ち出した起死回生策、国内総生産(GDP)600兆円目標は画餅に終わるだろう」と警告している。経済成長が頭打ちの理由は、世界最大の債権大国である日本では、国内で資金が使われないためであり、田村氏はむしろ消費減税をすべきであり、企業の内部留保が増えるだけの法人税引き下げよりも、国内投資を呼び込むための国内投資減税を行うべきだと主張している。
>
<< 引用文献
アベノミクス「新三本の矢」をめぐる是非 2015/12/08 公益財団法人フォーリン・プレスセンター
https://fpcj.jp/j_views/magazine_articles/p=38088/
>>
新・三本の矢は、<2020年までにGDP600兆円達成を目指す「希望を生み出す強い経済」、2020年半ばまでに希望出生率1.8を目指す「夢をつむぐ子育て支援」、2020年初めごろまでに介護離職ゼロを目指す「安心につながる社会保障」をスローガン>にしていました。
もちろん、2024年現在、「希望を生み出す強い経済」も、「夢をつむぐ子育て支援」も、「安心につながる社会保障」も実現していません。
2024年の実質GDPの実額は558兆円と18年度以来、5年ぶりに過去最高を更新しました。名目の実額は597兆円で同じく過去最高となっています。しかし、この数字は、円安による水増しの結果です。
日本の2023年・1年間の名目のGDP=国内総生産が、ドル換算でドイツに抜かれて世界4位に転落しています。
「日本生産性本部」による2022年のドイツの労働生産性は1時間あたりで87.2ドルで、G7の2位です。一方、日本は1時間あたり52.3ドルで、G7で最下位です。
この数字から、筆者には、十分原因の社員旅行よりも、優先すべき必要原因があると思います。
田中角栄氏の政治モデルでは、必要原因は、生産性の無視にありますので、当然の結果です。
本来であれば、総裁選の候補者は、政策評価をして、政策が実現できなかった原因を分析して、問題点を取り除くべきです。
竹中平蔵氏は、「規制緩和 まだ足りない」といっていましたが、「規制緩和 」は、十分原因であって必要原因ではありませんので、竹中平蔵氏は、必要原因を無視しています。
田村秀男氏は、消費税を減税すべきという主張です。2024年時点では、円安と消費税のセットで、可処分所得がへってしまい内需主導の経済成長ができなくなっています。これから、消費税を減税した方が経済成長することがわかります。
田中角栄氏の政治モデルでは、政治主導と称して、政治家以外が、政策(設計図、必要原因)作成に関与することを排除しました。これを実現するために、政策評価は行なわれていません。
政策評価ができれば、効果のない政策は中止すれば、歳出を減らすことができます。効果のない政策は経済成長を阻止します。
3)必要原因
日本以外の国では、政策評価を行なって必要原因を政策に取り込んでいます。
台湾の例を引用します。
(a)成長戦略
<
台湾で成長戦略を担当する国家発展委員会の劉鏡清委員長(大臣に相当)が日本テレビの単独インタビューに応じた。
―外資系企業出身として、経験をいかして進めている成長戦略は?
頼政権では現在、半導体、AI、軍事産業、セキュリティー、次世代通信を5大産業と位置づけ、5大産業推進プランという産業制約を設定している。この5大産業推進プランを実行するにあたって、私は民間の経験を活用して今までとは異なるやり方でこの実行を進めている。
半導体について、現在台湾の強みはICの設計。弱みとしては設備と材料の部分。この世界トップではない設備と素材の部分のシェアを全て倍増するという計画を持っている。その目標を実現をするために、半導体サプライチェーン(供給網)強靱化計画というのを作って、弱い部分を強化していくという取り組みを進めている。
――次に世界でシェアを維持するにはAI産業の発展が不可欠だと思うが、台湾のAI産業発展戦略は?
現在私たちがやろうとしているのは、業界をまたいで応用ができるようなシステムの開発だ。例えば、小売業のAI、製造業のAIなど、業界を跨いで使えるようなAIの仕組みを作ることが一つ。そうすることによって成功のチャンスは高くなると思っている。アメリカの企業が持っている強みと正面から競争する気はない。
>
<< 引用文献
"半導体強国"台湾の政府高官 今後の日本の半導体「世界をリードすることは難しい」 2024/09/21 日テレ
https://news.ntv.co.jp/category/economy/6c54a2ad8c1f4cd888f3f46ebe22167d
>>
(b)人口問題
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「TSMC」が象徴するようにデジタルで存在感を示す台湾。成長戦略をリードする国家発展委員会の劉鏡清委員長が日本テレビの単独インタビューに応じた。
――ファーストリテイリングの柳井会長が、人口減少で人手不足が進む中、海外から高度人材の受け入れを拡大し、労働生産性を上げていかないと“日本人は滅びる”と発言した。台湾でも少子高齢化を受けて海外からの労働者受け入れを拡大したが、日本の外国人労働者の受け入れや働き方をどう思うか?
台湾の方が日本よりもっと深刻だと思う。具体的には、2070年までに65歳以上の人口が249万人増えて、16歳から64歳の人口が972万人減るとみられている。その時、最も深刻な少子高齢化に直面するのは韓国と言われていて、次が台湾だ。日本も深刻ではあると思うが、台湾の方がもっと深刻だ。今でも、日本の出生率の方が台湾よりも高い。
各国がとっている政策と同じで、やはり台湾でも海外から労働力を得ている。日本と同じで、東南アジアの方々をターゲットに受け入れている。現在、世界中が東南アジアの人たちに注目している中で、東南アジア自体の経済も成長しているので、2034年頃には東南アジアから人が受け入れられなくなるということも言われている。一方で、世界の人口はまだ2083年まで増え続けるとされている。そうすると、今度は例えばインドやアフリカに目を向けるのだろうか。それでは、おそらく最終的な解決策にはならないと思う。
「産業のAI化」「AIの産業化」の両輪で生産性を高めつつ労働力への依存を減らす
そこで、私たちが角度を変えて最近定めた戦略というのが「台湾国家人材戦略」だ。この戦略の下で進めているのが、海外から労働者を受け入れるだけではなく、もっと台湾の一人当たりの生産性を高めていくことだ。つまり、一人当たりの生産性を高めることによって、人手への依存を減らしていこうという考えだ。
例えば、製品の検品をAIが取って変わることで、ベトナムの工場で392人の労働者を削減したという例がある。だから台湾の小規模な小売店80万店舗に無料のソフトを配ろうと思っている。それで小売店80万店で従業員を一人ずつ減らせれば、必要な人手を80万人分減らせることになる。
AIやロボットを活用することも労働力不足を解決する一つの重要策だ。世界にも新たなトレンドがあって、出生率が低い国ほど、ロボットの導入率が高いという傾向がある。そのため、台湾では5大産業推進プランで「産業のAI化」「AIの産業化」という政策を進めている。狙いは、台湾の生産性を高めると同時に、労働力に対する依存を減らそうということだ。
優秀な外国人材受け入れ政策も 将来を見据えた台湾の労働生産性向上
現在、台湾政府は優秀な外国人材に対して、就業ゴールドカード(※)を発行している。これによって優秀な人材が増えると税収も増えるという見込みから、「増えた税収で低所得の人を支援していく」ということを考えている。
※ビザや就労資格をまとめたもので、外国人材の呼び込みやつなぎとめを図る狙いがある。
2070年には、台湾の人口は現在の2300万人から1500万人まで減る見込みだ。私たちはそれだけ長いスパンで見ていて、すでに対策をスタートしている。
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<< 引用文献
ユニクロ柳井氏の“日本人滅びる”に台湾の政府高官が反応 日本より少子化深刻な台湾は 2024/09/22日テレ
https://news.ntv.co.jp/category/economy/9f14829fc9c14b9c902d847d9eae6348
>>
(c)まとめ
劉鏡清委員長は、必要原因を整理しています。
政策評価をして、必要原因を整理して議題にすれば、政治主導の利権はなくなります。
しかし、必要原因の検討なしに、問題が解決することはありません。