行政の継続性

(行政の継続性の間違いを考えます)

 

1)継続性と変化

 

行政の継続性が大切であるという主張があります。

 

しかし、これは、既得利権を温存する日本のローカルルールであり間違いです。

 

1年あたりの変化量をΔDとします。

 

継続性は、「ΔD = 0」であり、間違いです。

 

社会システムは、変動していますので、「ΔD > 0(変化あり)」でなければ、行政システムは、社会システムと乖離して、破綻します。

 

年功型雇用で、前例主義を採用すれば、「ΔD = 0」になって、行政システムは、社会システムから取り残されます。

 

政府は、行政の継続性が大切であるという主張を守ってきたので、マイナンバーの普及が遅れました。これは、マイナンバーであって、マイナンバーカードではありません。

 

マイナンバーはIDなので、出生届に対応した番号を付与する必要があります。

 

行政は、既に、出生届に対応した番号を付与している可能性があります。

 

この番号は、IDであって、連番である必要はありません。

 

出生届を受けた事務所番号(Z1)、出生届を受け付けた日(Z2)、その日の受付順(Z3)という番号があれば、ベクトル(Z1、Z2、Z3)で、マイナンバーは、定義できます。

 

失われた年金問題が話題になったことがあります。これは、マイナンバーがなければ、照合は不可能です。

 

話をマイナンバーカードに切り替えます。

 

マイナンバーカードの番号では、番号のない国民が発生するので、失われた年金問題が発生します。エラーは必ずおこりますが、エラーをチェックする方法がないのです。

 

マイナンバーカードの番号では、全ての脱税を阻止することはできません。

 

マイナンバーカードの普及のために税金を投入したり、保険証を唐突に中止する計画を出すことは、政府は、ΔDを制御する脳力がない(数学ができない)ことを意味します。

 

行政の継続性が大切であると言う説明では、マイナンバーカードは導入できなくなります。

 

政府は、マイナンバーカードの普及に熱心です。これは、利権がマイナンバーに移動した可能性を示しています。

 

変化には、「ΔD > 0」が必要な条件ですが、ΔDが余りに大きいと、社会混乱をまねきます。

 

この混乱をさけるために、1年あたりのΔDをあまり大きくしないこと、ロードマップを公開して、数年がかりで、ΔDを積み上げていくことが必要になります。

 

少子化対策では、出生数(D)の減少「 ΔD < 0 」が問題になります。

 

対策には、毎年のΔDの改善計画が必要ですが、ΔDの政策目標すらありません。

 

これは、政府は、ΔDの制御をする数学脳力がないことを示しています。

 

ΔDは、小さい方が、混乱は少なくなります。

 

しかし、DXのように、日本が圧倒的に遅れてしまっている分野では、ΔDは小さくとれません。

 

2)必要な条件

 

日本の1年当たりのDXの進展速度をΔDXJ、IT先進国のDXの進展速度をΔDXFと書くことにします。

 

現状では、ΔDXF>ΔDXJになっています。

 

ここで、今後、5年で、日本のDXが、IT先進国に追いつく目標をたてます。

 

5年は、大変なので、10年という考えもありますが、10年後まで、日本が持たない可能性があるので、ここでは、5年としました。

 

1年で、DXで日本がIT先進国に追いつく速度Vは、次式になります。

 

V = ΔDXJ ー ΔDXF

 

日本のDXは、IT先進国のDXより遅れていて、労働生産性が低く、賃金が低くなっています。

 

このDXのギャップ量をDXGで表わします。

 

そうすると、「今後、5年で、日本のDXが、IT先進国に追いつく」ための条件が計算できます。

 

DXG = 5 x V

 

式を変形します。

 

V = DXG/5

 

ΔDXJ ー ΔDXF =  DXG/5

 

ΔDXJ =   DXG/5 + ΔDXF

 

「今後、5年で、日本のDXが、IT先進国に追いつく」ための条件は、IT先進国のDXの進展速度(ΔDXF)に、DXのギャップ量を目標年数で割った値(DXG/5)を加えたものになります。

 

この条件が満たされなければ、デジタル輸出競争力がなくなり、日本経済は崩壊することになります。

 

この条件が満たされなければ、政策の効果はないと断言できます。

 

現状は、ΔDXJ=0(行政の継続性の確保)です。

 

政府は、「ΔDXJ > 0」を主張していますが、これでは、DXのギャップ量が拡大するので、問題外です。

 

必要な条件は、次式になります。

 

ΔDXJ >=   DXG/5 + ΔDXF



筆者には、デジタル庁が、この条件をみたした活動をしているようには見えません。

 

現状では、「 ΔDXJ < ΔDXF 」 DXのギャップは、拡大し続けているように見えます。

 

この条件は、デジタル教育でもあてはまります。

 

業界の利権を優先して、紙と互換性のあるデジタル教材に固執すれば、DXのギャップが拡大し続けます。

 

現在のデジタル教育の拡大速度(ΔDXJ)は、DXのギャップを拡大させています。

 

理系・文系の区分の廃止と数学の必修化、年功型雇用の廃止は必須になります。

 

行政の継続性という間違った利権優先の主張を繰り返して、「 ΔD = 0」を、続けた結果、DXのギャップ量(DXG)が膨大になってしまいました。

 

つまり、政府は、ΔDの制御をしてきませんでした。

 

その結果、ΔDXJ を小さくとるというソフトランディングによるΔDの制御の機会は失われています。

 

企業は、10年程度をかけて、年功型雇用を解消して、ジョブ型雇用に変えるチャンスがありました。しかし、このΔDの制御は行なわれず、希望退職者を募っています。



意味のない継続性(ΔD=0)を続けて、ΔDの制御を放棄すれば、第2、第3の希望退職者が発生します。クラウドサービスや、AIを使わなければ、第2、第3の希望退職者には、弁護士や、医師も含まれてきます。



多くの日本人は、過去の経験である「ΔD = 0」のミームに洗脳されています。



「ΔD > 0 (変化あり)」になれば、問題は解決すると考えています。

 

しかし、この考えは、数学的に間違いです。

 

「理系・文系の区分の廃止と数学の必修化、年功型雇用の廃止は必須」は、数学の条件から導びかれる結論です。

 

春闘の賃上げは、DXのように、生産性にリンクしていませんので、数学的には、ノイズのレベルか、意図的にスタグフレーションを引き起こす計画になります。

 

「今後、5年で、日本のDXが、IT先進国に追いつく」ための条件を無視して、春闘の賃上げに熱心になれば、DXは進みません。

 

数学的に不可能な解決方法は、実現不可能です。

 

永久機関のように不可能な解決方法を追求して、生産性の向上を無視すれば、経済は破綻します。

 

レイオフは痛みを伴いますが、日本経済が破綻する痛みよりは小さいです。

 

日本経済は、手術のような痛みを伴う治療法なしに、立ち直ることのできるステージを通り過ぎています。

 

ΔDの制御が課題になります。

 

帰納法を使って推論すると、過去の経験である「ΔD = 0」のミームに洗脳されています。

 

「ΔD > 0 (変化あり)」になれば、問題は解決すると考えて、問題解決が、全くできなくなります。



経験よりも、数学を優先する必要があります。