SUMMILUX25mmF1.4のMTFについて、パナソニックのHPから図を引用して補足しておきます。
図1は、SUMMILUX25mmF1.4のMTFです。
MTFは基本的には、線が100%に近い方が性能が良いです。
キヤノンは、レンズの性能はMTFだけではないので、60%を越えていれば問題はないといっています。
しかし、同じ画角とF値のレンズが、改良されるごとに、MTFは100%に近づいていきますので、100%に近い方が、解像度が高いことは間違いないと思います。
MTFは、測定する時につかうカメラで変化しますので、細かな違いは論じても意味はありませんが、大まかな傾向については、新旧比較は可能であると考えます。
図1の20Sと20Mは、太い線の解像度を、40Sと40Mは細い線の解像度を表します。
横軸はレンズの中心からの距離を表します。右に進むと曲線が下がっている場合には、レンズの周囲の性能が悪くなっていることを示します。
基本的には、20Sと20Mの線を100%に近づけて、解像度を確保します。
40Sと40Mの線は100%に近づけるより、解像度を落とす方法が一般的です。
なお、メーカー公開のMTFは、絞り開放が原則なので、絞り開放のMTF曲線は100%より低くとも、絞った場合のMTF曲線は100%に近づくことが多いです。
図1をみると、レンズの周辺にむけて、若干解像度が落ちています。
図2には、安価で人気のあるキヤノンの50mmF1.8のMTFです。
このMTFでは、解像度はレンズの周囲に近づくと急速に劣化しています。
つまり、周囲に解像度が必要であれば、F5.6以上に絞って使うことになります。
図2のレンズの基本設計は古く、古典的なレンズのMTFとも言えます。
図3は、パナソニックの25mmF1.7です。
図1と図3を比べれば、MTF曲線は、安価な図3の方がよいです。
図3と比較するのであれば、図1ではなく、25mmF1.4 のレンズをF1.7まで絞った場合のMTF曲線で行うべきですが、そのMTFが公開されていません。
レンズのテストレポートを見ると、解像度はほぼ同等になるようです。
25mmF1.4 も、25mmF1.7 も、F5.6まで絞らなくとも、解像度が高いこと、レンズ周辺での解像度の低下が小さいです。これは、50mmF1.8 に比べれば、モダンな設計のレンズと言えます。モダンなレンズは、非球面レンズやFDレンズの投入、コンピュータ設計によって実現されています。
モダンなレンズでは、開放絞りでも、20Sと20Mの線を100%に近づけることは可能です。
実際には、25mmF1.7 の20Sと20Mの線は、90%を越えています。
しかし、25mmF1.4 のパナライカのレンズでは、開放絞りでは、解像度を上げない設計になっています。
MFTでも、オリンパスのレンズは、開放絞りでも、20Sと20Mの線を100%に近づけることが多いです。この場合には、絞っても解像度は上がりません。
一方、40Sと40Mはあまり100%に近づけない設計が多いです。
ボケは、40Sと40Mはあまり100%に近づけない設計と、20Sと20Mはあまり100%に近づけない設計の片方を使う場合の、片方と双方を使う場合があることになります。
ボケを重視すると、MTFが下がって、解像度が落ちます。
パナライカのレンズは、一般には、絞り開放では、解像度は低く、1段絞ると、解像度が上がるタイプが原則です。
例外は、図4の200㎜F2.8です。
これを見ると、本当に、ボケのために、MTFを犠牲にする価値があるのか、考えてしまいます。
このように、高価なレンズの解像度が高く、安価なレンズの解像度が低ければ、わかりやすいのですが、非球面レンズやFDレンズの原価が劇的に下がってしまったので、安価で解像度の高いレンズが作れるようになっています。
10年たっても、価格を下げないレンズや、逆に価格をあげているレンズもありますが、特殊レンズの原価は、大きく下がっていると思われます。