12)ケンセット「ジョージ湖」(1869)
12-1) 略歴
1840年に画家仲間のジョン・ウィリアム・カシリア、アッシャー・ブラウン・デュランド、トーマス・ロシターとヨーロッパに留学し、7年間、ロンドン、パリ、ドイツ、アイス、イタリアを旅行しています。
1847年にニューヨークに戻り、。ニューヨークにスタジオを持ち、アメリカ各地で風景画を描いています。
ケンセットの作品はニューヨークの美術愛好家の団体(American Art-Union)に買い上げられ、スミリー(James Smillie)によって版画にされて会員に頒布されたことなどによって画家として経済的に成功しています。
ジョン・フレデリック・ケンセットの風景画は、写真のように写実的に、穏やかな自然の風景を描いてます。劇的なコールとビアスタットとは対照的です。
12-2)ルミズム
ウィキペディアは、次のように説明しています。
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ルミニズム(英:Luminism)は1850年代から1870年代のアメリカ絵画の様式で、光や大気の微妙なニュアンスを意識して描いた風景画で、近くを明確に描き遠くを不明瞭かつ沈んだ彩度で描く「空気遠近法」や筆触を残さない滑らかな光の効果を利用した画法によって特徴づけられその作品は概して動きのない静かな情景であり、水平線が強調され、滑らかな光に包まれていることが多い。
ルミニズムは、光の効果を強調するという点では印象派と共通している。しかし、対象を詳細に描くが筆触を残さない手法をとるルミニズムに対して、印象派は対象の詳細の欠如と筆跡を残す描法を特徴としており、二つのスタイルは著しく異なっている。 ルミニズムは印象派に先行しており、ルミニズムのスタイルで描いた画家は印象派の影響を受けないようにした。
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なお、ルミズムという単語は、ジョン・バウアーが1954年に使ったのが最初と言われ、後付けの用語です。
ルミニストスタイルの最も重要な画家は、John Frederick Kensett、Fitz Hugh Lane、およびMartin Johnson Headeと言われています。
13-3)「ジョージ湖」
「ジョージ湖」は、ケンセットが1869年に書いた油絵(112.1 x 168.6 cm)です。
現在は、METに展示されています。
METの説明は以下の通りです。
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ケンセットは何度もアディロンダック川のジョージ湖を訪れ、この地域について多くの調査を行いました。この絵は、ケンセットがこの湖を主題として扱った最大かつ最も完成度の高い作品であり、彼の成熟したスタイルの好例です。彼は作品を構成する際に地形をかなり自由に扱っていますが、場所を特定することができます。主題の場所は、西岸のボルトン・ランディング沖のクラウン島で、北東の湖を渡ってナロウズの方を見ていました。表現では距離が大幅に短縮され、一部の島は省略され、他の島は海岸に追いやられています。
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写真1が、「ジョージ湖」です。
遠景は空気遠近法によりかすんでいます。
遠景のコントラストは弱いです。
しかし、遠景の彩度が落ちている訳ではありません。
印象派のように、微妙な色のパッチが、画面を明るくしています。
この部分は、写真の編集にコピーしづらい技法です。
暗い所は彩度を落とし、明るい所は彩度があがっていますが、霞(遠近の空気)がのっているためその彩度は目立たないように押さえられ、全体が、上品な仕上がりになっています。
コールとビアスタットのように、明暗のメリハリをつけて、明るい部分に視線を誘導はしていません。その結果、全体が穏やかになっていますが、主題は分散して見えにくくなっています。
また、遠景、中景、近景の区別も曖昧で、全体の構図は写真を連想させるものになっています。
構図は、写真と代わり映えしませんが、色合いが異なっています。
File:Kensett John F Lake George.jpg
https://en.wikipedia.org/wiki/File:Kensett_John_F_Lake_George.jpg
Lake George
https://www.metmuseum.org/art/collection/search/11311
ハドソン・リバー派
ルミニズム
https://artsandculture.google.com/entity/%E3%83%AB%E3%83%9F%E3%83%8B%E3%82%BA%E3%83%A0/m08cvxr?hl=ja
ジョン・フレデリック・ケンセット
https://artsandculture.google.com/entity/m046j85?hl=ja
13-4)「ジョージ湖」の技法
写真2の左が元の画像、右が、技法を真似ています。
右では、水平線の少し下の部分に、グラデーションフィルタ―を設定しています。
遠景はボカシて彩度をあげ、近景は。彩度を落として、シャープにしています。
写真3では、遠景の部分に3DLUTを使って色を替えています。
「ジョージ湖」の技法は、写真の技法に近いので、かえって、模倣しにくくなります。