日本のカメラの性能を考える

1)日本の貿易収支

 

 2022/11/13の東洋経済で、野口 悠紀雄氏が、2004年から2021年までの貿易収支の変化を分析しています。次が、要約になります。

 

(1)電気機械の貿易黒字縮小等によって、日本の貿易収支が756億ドル減少した。これは構造的な変化だ。

 

(2)鉱物性燃料の収支が496億ドル増加した。

 

(3)(1)(2)合計で、ドル建ての貿易収支が1252億ドル悪化した。

 

(4)円安の影響で、円建ての貿易収支赤字が拡大した。



電気機械の貿易黒字で言えば、この間に、日本製の白物家電、パソコンは、ほぼなくなりました。

 

一田和樹氏は、次のように指摘しています。

 

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多くのパソコンが中国企業に買収され、元のブランドのまま市場に流通している。中国企業レノボが、IBMからパソコン事業を買収し、ThinkPadのブランドを使っているのは比較的知られているが、NEC富士通のパソコンもレノボ傘下である。NECのパソコンのサイトを見ると、運営はNECパーソナルコンピュータ株式会社となっているが、さらにNECパーソナルコンピュータ株式会社のサイトを確認するとレノボグループの一員であることがわかる。同様に富士通のパソコンは富士通クライアントコンピューティング株式会社が販売しており、こちらもレノボの傘下だ。

 

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いまのところ、日本製品が強いと思われる分野は、自動車とカメラです。

 

自動車については、日本のメーカーは、中国メーカーにEVで遅れています。

 

カメラについては、日本のメーカーのブランドイメージが強いのですが、これも怪しくなってきました。

 

2)レンズの場合

 

2022年にパナソニックは、新しいライカブランドの単焦点レンズ「H-X09 LEICA DG SUMMILUX 9mm / F1.7 ASPH.」(実売54,846円 )を発売しました。

 

イカブランドのレンズなので、パナソニックのレンズとしては、トップランクの商品です。

 

このレンズのレビュー記事をみると、実売66,330円と若干高価になりますが、解像度では、LAOWA ラオワ 広角レンズ 10mm F2 Zero-D マイクロフォーサーズ LAO0097 「LAOWA ラオワ 広角レンズ 10mm F2 Zero-D マイクロフォーサーズ LAO0097 」の方が優れていると書かれています。

 

ラオワのレンズは、自動視点が使えないなどのハンディがありますので、パナソニックのレンズ以上に売れることはないと思いますが、レンズの性能と価格帯で、日本製品を超える中国製レンズが出てきていることがわかります。

 

3)カメラ用ジンバル

 

最近のカメラには、手ブレ防止機能がついていますが、これはもとは、映画などの動画の撮影用に開発された技術です。

 

日本のカメラメーカーでは、センサーサイズが小さくセンサーを移動させて手振れ防止を防ぐことが容易なオリンパスのカメラの手振れ防止に定評があります。

 

手振れ防止を単品で商品化したものがジンバルです。

 

ジンバルは、ドローンの振動を搭載カメラにつたえずに、安定した動画を撮影するために開発されました。

 

現在のトップブランドは中国のドローンメーカーのDIJです。2番手、3番手も中国のメーカーです。後発メーカーは、DIJより安価な製品を投入しています。安価な製品の耐久性はあまり高くなく、酷使した場合、1年程度で性能劣化が起こるようです。一方、日本のメーカーは、売れる製品をつくる競争力がありません。

 

日本のカメラメーカーは、フルサイズセンサーのカメラの品揃えを広げて利益を出しています。しかし、WEB(パソコンの画面)でみるのであれば、フルサイズのメリットはほとんどありません。

 

YouTubeで見るように、現在の映像の中心は、WEBで見る動画です。

 

ここに注目すると、日本のカメラメーカーの技術優位は消滅しています。

 

4)中国製カメラの性能

 

最近では、中国の軍事力が伸びているので、日本も対抗上、軍事力を強化するために、予算を増やすべきであるという議論が盛んです。

 

しかし、最近の戦争の中心は、ドローンになっています。

 

価格競争力のある日本製のドローンはありませんし、よいジンバルをつくる技術もありませんので、予算を増やせば軍事力問題が解決するというレベルではなくなっていると思われます。

 

暗い所で、カメラを使うためには、ストロボは、有効な機材です。日本のカメラメーカーの純正ストロボは、中国製の互換ストロボの4倍くらい高価です。日本メーカーのストロボもMade in Japanではありませんから、中国製の互換ストロボと同じ価格帯の製品も出すべきと思いますが、出ていませんので、アマチュアカメラマンは、ほほ全員が、中国製の互換ストロボをつかっていると思われます。互換ストロボの性能は、初期の製品には問題も多かったようですが、最近は、品質が改善され、拡大の問題のないレベルの製品を出している会社もあります。

 

互換ストロボの次には、中国製のカメラが出てくる可能性があります。

 

レンズやジンバルの性能をみれば、これから出て来る中国製のカメラの性能は、パソコンと同じように、日本製に見劣りしないようになってくる可能性が高いと思われます。

 

引用文献



日本人は今の貿易赤字がいかに深刻かを知らない 2022/11/13 東洋経済 野口 悠紀雄

https://toyokeizai.net/list/author/%E9%87%8E%E5%8F%A3_%E6%82%A0%E7%B4%80%E9%9B%84

 

中国政府が世界各国からデータを入手する3つの手法とは..2022/11/14 Newsweek 一田和樹

https://www.newsweekjapan.jp/ichida/2022/11/3-2.php

 

LEICA DG SUMMILUX 9mm/F1.7 ASPH. 徹底レビュー 完全版

https://asobinet.com/full-review-leica-dg-summilux-9mm-f1-7-asph/

 

【2022年】カメラ用ジンバル・スタビライザーのおすすめ人気ランキング18選

 

https://my-best.com/879

 

ブレを防ぐおすすめのジンバル7選!動画撮影に最適な商品を紹介

 

https://goopass.jp/magazine/osusume_gimbal/

 

一眼レフ・ミラーレス用ジンバルおすすめ7選|3軸スタビライザーを比較

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