1)トーンイコライザー
HDR DNG画像にトーンイコライザーを使う場合には、2種類の問題があります。
写真1は、その説明です。
第1は、縦の赤い矢印で示した入力のダイナミックレンジが、最大でも、8EVしかとれない点です。
これについては、フィルミックRGBで対応するか、トーンイコライザーにパラメトリックマスクを併用する方法を提案してきました。
第2は、写真1の横の赤い矢印で示した露光の修正レンジで、ー2から+2まで、4EVしかありません。
露光モジュールも、露光の修正レンはー2から+2までの4EVしかありませんが、補正値を直接、キーボードから数字で入録すれば、ー2から+2の範囲外の補正も可能です。
一方、トーンイコライザーでも、写真2のように、キーボードから数字を入力することはできますが、この数字は、スライダーには、反映されません。
つまり、トーンイコライザーでは、露光の調整レンジを拡張することはできません。
写真3はサンプル画像です。看板に明暗の影があって文字を読みにくくしています。
この明暗をできるだけ平滑化することが課題です。
写真4は、通常の方法で、トーンイコライザーをつかっています。
この方法では、+2EVまでしか調整できません。
写真5では、トーンイコライザーの新しいインスタンスをつかっています。
このインスタンスでも、+2EVまで調整できますので、最初のインスタンスを合わせれば、+4EVまで調整が可能になります。
これが、今回の問題解決法です。
計算上はインスタンスを追加する毎に、+2EVだけ、調整の幅が拡がるはずです。
つまり、トーンイコライザーのインスタンスを3つ、4つと増やして使うこともできます。
しかし、この方法は、実際に試すと上手くいきません。
これは、ゾーンを分けるときのバンドマスクがインスタンス毎に異なるためと思われます。
トーンイコライザのインスタンスが2つの場合でも、バンドマスクがインスタンス毎に異なるために生じる画像の劣化があります。インスタンスを3つ以上にすると、この劣化が目立ちます。トーンイコライザーの複数のインスタンスを使う場合、バンドマスクを揃えた方が、画像の劣化は少なくなります。しかし、バンドマスクのパラメータを保存したり呼び出したりする機能はないので、今のところ、マニュアルで、バンドマスクの数字を揃えるしか方法がありません。ところが、実際に数字をそろえると、オレンジ色のエラーが表示されてしまいました。そこで、数字を少しずらしました。
トーンイコライザーではなく、露光を使う場合には、同じマスクを呼びだすことが可能で、エラーにもなりませんが、ゾーンシステムにはなりません。
このあたりは、改善の余地があると思われます。