(内閣支持率と選挙の間の相関は低いと思われます)
9月27日に国葬が行われました。
世論調査では、反対が、賛成を上回っていました。
2021年に行われた東京オリンピックでも、世論調査では、反対が、賛成を上回っていました。
ここで取り上げたいのは、賛成がよいか、反対が良いかという問題ではありません。
民主主義で、選挙で選ばれた内閣が政治をする場合、反対が、賛成を上回るというねじれ現象が発生する確率は低いはずです。
ところが、ねじれ現象が頻発しています。
2022年2月23日の毎日新聞・埼玉大調査によると女性天皇について、次の結果が得られています。
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天皇の皇位継承について「男子がいない場合のみ、女子の継承を認めるべきだ」(41%)と「男女にかかわらず、天皇の第1子の継承を優先すべきだ」(35%)を合わせて回答者の7割超が女性天皇を容認。「男子の継承を維持すべきだ」は10%にとどまった。
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女性天皇に関する調査は、複数行われていますが、どの調査でも、女性天皇の容認が50%を越えています。
調査によって、賛否が分かれるのであれば、女性天皇の容認の検討を進めるのはわかりますが、どの調査でも、女性天皇の容認が50%を越えているのであれば、内閣は、法改正をして、女性天皇の容認するはずです。なぜなら、そうしないと、次の選挙で勝てないからです。
2022年9月8日、イギリス・英連邦王国のエリザベス2世が崩御したため、デンマークのマルグレーテ2世は世界でただ1人の女性君主(女王)となりました。マルグレーテ2世は、出生時点では王位継承権はありませんでしたが、法改正により継承権を得て、父王の崩御に伴い1972年に即位しました。 マルグレーテ女王の在位中、君主の人気は常に80%を超えています。
これが、普通の民主主義国家の対応です。
リアルタイム内閣支持率というHPがあります。これは、サンプル数が少なく、サンプルにバイアスがかかっていますので、支持率の数字はあてになりません。ただ、ほぼ同じ集団をサンプリングしているので、支持率のアップダウンをみるには使えると思っています。
マスコミは、新聞などの調査による内閣支持率が30%をきると、過去の例からすると、政権維持が難しくなるといいます。
しかし、大統領と異なり、総理大臣は、直接選挙で選ばれる訳ではありません。内閣支持率が30%をきると与党のなかで、総理大臣を変えるべきだという声が強くなります。とはいえ、内閣支持率は、与党の選挙の当選議員数とは直接の関係はありません。
選挙で、与党に投票した人のアンケートをみると、与党を積極的に支持したというより、野党があてにならないので、消去法で投票した人が多くなっています。
つまり、受け皿政党がないので、与党に投票した人が多いため、ねじれ現象が頻発していると考えることができます。
この仮説が正しいとすると、受け皿政党が出て来るまでは、内閣支持率が下がっても、与党は、選挙には勝てることになります。
イタリアでは、2022年9月25日執行の総選挙では「イタリアの同胞」が第一党となり、ジョルジャ・メローニ党首(45)がイタリア初の女性首相になる見通しです。
受け皿政党がない状態は、安定状態ではないので、今後日本でも、「イタリアの同胞」のような受け皿政党が出来る、あるいは、現在の野党の一部が、受け皿政党に変容すれば、内閣支持率が、選挙に反映されるようになると思われます。
その時点で、女性天皇を認める法改正がなされると思います。
なお、日本の場合、俗に、「政官財」のトライアングルと言われるように、政治家(与党)と官僚と財界の一部が利権構造をつくっています。これは、イノベーションの障害でもあります。野党が政権をとった場合の最大の課題は、利権構造の改変です。企業の倒産のように、全員を入れ替えるか、組織が残る場合は、ロードマップをつくって、徐々に納得できる着地点への誘導路を提示していくしか方法がありません。民主党政権は、この点が完全に無策で、漂流してしまいました。
選挙で負ければ、政治家は入れ替わります。売り上げが落ちて倒産すれば、企業は入れ替わります。一番難しい、そして、これから最大の課題になるのは官僚組織の改変です。政権が入れかわることを前提としたアメリカでは、回転ドア方式と呼ばれるように、官僚のトップは、政治家と連動して入れ替わっています。政権交代を前提とすれば、このレベルの組織改革が必要になると思われます。
引用文献
リアルタイム内閣支持率
https://内閣支持率.realtime-chart.info/
女性天皇、7割超が容認 「女系」も5割 毎日新聞・埼玉大調査 2022/02/23 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20220223/k00/00m/010/047000c