構図とクロップ(1)3分割法

画像の一部を切り出すのがクロップです。

フイルム時代には、「水平を出す」、「クロップする」のは容易ではなく、「レンズ補正」は不可能でした。デジタルになって、この3つは簡単にできますので、RAW画像編集では、必須と考えます。

風景写真や人物ポートレートのように、対象が動かない場合には、じっくり構図をきめれば良いのですが、ペットのように対象が動き回る場合には、ともかく、ぶれずに、フレームの中に対象にピントを合わせて撮影できれば、撮影は成功です。「水平を出す」、「クロップする」は、RAW現像で行うことになります。また、インスタグラム風の写真では、撮影時は、APS-Cかm4/3の縦横比が、3:2または4:3の写真を、正方形に切り出していますので、ほぼ100%クロップを使っています。

写真1のように、クロップモジュールで、show guideがONになっていると3分割法の補助線が表示されます。写真1では、補助線の交点が犬の両目の間に来るようにクロップの枠を設定しています。

写真2では、補助線の交点が犬の左目に来るようにクロップの枠を設定しています。

3分割法といっても、誘導する視点をどこにおくかで、クロップの枠は変化します。

写真3では、補助線の交点が犬の左目に来るようにクロップの枠を設定しています。

このクロップ枠では、足の部分は切れてしまいます。

写真4では、縦の補助線が犬の左目に来るようにクロップの枠を設定しています。

こうすると、補助線の交点と誘導する視点がはずれますが、犬の全体がフレームに入ります。

一般に、3分割法は、補助線の交点を誘導する視点に一致させる手法と考えられています。

写真4のように、補助線の交点ではなく、補助線を使う方法は、3分割法とは呼ばれません。この場合に、3分割にこだわる必要はないかも知れません。

3分割法は経験則で、理論的なバックははっきりしません。

仮に、「人間の目は、円や正方形を一塊として見る習性があり、そのことが3分割を安定していると感じてる」という仮説をとるのであれば、フィルムと同じ3:2の縦横比では、3分割が安定しますが、m4/3のように、縦横比が4:3の場合には、4分割の方が安定していると感じることになります。

3分割法の交点を「犬の両目に合わせるか、片目に合わせるか」で、クロップ枠は違ってきます。つまり、3分割法はかなりアバウトな方法なので、3分割か、4分割かを詳しく考える意味はありません。3分割法はあくまで目安で、最終的には、「犬の両目に合わせるか、片目に合わせるか」の比較のように、出来上がりを見て、良い方を採用することになります。

とはいえ、短時間に、かなりの枚数の画像をとりあえず水準以上にクロップする場合には、3分割法は大変便利な方法です。

写真5は、3分割線に、吊り橋の中央を合わせてクロップしています。

この写真を見て、日の丸構図と比べてみました。

写真6では、回転と遠近モジュールで画像を画像を左右対称に変換しています。

写真7では、日の丸構図にクロップしています。

写真7には、日の丸構図の問題点が典型的に出ています。

日の丸構図は多くの場合完全に左右対称にはなりません。吊り橋のように、対象が左右対称であることが頭で分かっていると、目は、無意識にそのあらを探してしまいます。

人工物で完全に左右対称な場合には、日の丸構図は避けて、3分割法を利用することが無難です。

 

 

写真1 3分割法

 

 

写真2 3分割法

 

 

写真3 3分割法

 

 

写真4 3分割法

 

 

写真5 3分割法

 

 

写真6 左右対象画像への変換

 

写真7 日の丸構図