2)手順2/5 補正ブラシツールで部分的な補正
アドビシステムズの説明は以下の通りです。
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ツールストリップで補正ブラシツールを選択し、写真左側を部分的に補正します。
濡れている岩の表情を出すため「露光量」「コントラスト」「ハイライト」の微調整を行います。川の流れは「色温度」を低くして青みを出し、「露光量」「コントラスト」で微調整します。
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説明に混乱があるので、整理します。
まず、露光は、RGBの値に、係数をかけるだけなので、一番劣化の少ない画像編集です。
RAW現像ソフトの編集法の名前はフィルムの現像の連想から来ているので、異なったソフトでは、同じ名称の編集が異なった処理を表すことがあります。例えば、Lightroomは、Lab色空間を前提としていますが、darktableはRGB色空間を前提としていますので、色の処理は一致しません。
とはいえ、露光については、どのソフトでも処理は一致しています。
そこで、まず、露光の問題を整理します。
また、上記の編集は、画像の左側の暗い部分にマスクをかけて、その部分を編集しています。
2-1)露光の部分編集とゾーンシステム
株式会社XICO(ヒーコ)さんの説明をみると、Lightroomでは、マスクを使って部分的に露光を変えるようです。今回は、この問題を整理しておきます。
darktableには、トーンイコライザーというゾーンシステムを実現する非常に強力なモジュールがあります。darktableでも、Lightroomと同じように、マスクを使って部分的に露光を変えることもできます。ただし、ゾーンシステムで対応可能であれば、部分的なマスクを使う必要はないと思います。
ヒーコさんの例では、女性の顔の部分の露光を上げる例がのっています。
SIGNATURE EDITSから、ヒーコさんの女性の画像に近い画像を探して来ました。
写真1が、その画像です。
ここで、トーンコライザーモジュールを立ち上げます。
そして、写真1のように、女性の顔の部分にマウスポインターを置きます。
マウスのロールボタンを回してポインターの部分のゾーンの露光を上げます。
写真2の右が、トーンイコライザーの効果で、左が元の画像です。
女性の顔の部分が明るくなっているのはもちろんですが、ゾーンシステムをつかっているため画像全体が自然な仕上がりになります。
次に、Lightroomと同じように、マスクを使って部分的に露光を変えてみます。
露光モジュールの新しいインスタンスを作ります。この新しいインスタンスに、顔の部分に円形の描画マスクを設定します。露光の変化が緩やかになるように、フェザーを大き目に設定しています。
写真4の左側が、マスクを使って部分的に露光を変えた場合で、右側が、トーンイコライザーを使った場合です。この場合では、明らかに、トーンイコライザーを使ったゾーンシステムに軍配があがります。
顔のまわりのマスクの大きさを変えたり、フェザーの大きさを変えれば、不自然さは減少できると思われますが、その試行錯誤には、時間がかかります。トーンイコライザーを使ったゾーンシステムで問題がない場合には、マスクは使わない方が簡単で、自然な仕上がりが得られます。
トーンイコライザーは、バンドパスフィルタ―のパラメータをかえても上手くいかないこともあります。逆光が余りに強すぎる場合には、無理がくることが多いです。こうした場合には、描画マスクを使いますが、多くの場合は、ゾーンシステムで十分です。
なお、以下の風景写真のサンプルでは、アドビシステムズの方法をトレースするために、描画フィルタ―を使います。
知っておきたいLightroomのツールを使ったポートレートと風景写真のレタッチ術 #AdobeStock 2020/04/10 株式会社XICO(ヒーコ)
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