ウクライナと死の商人のビジネス

ウクライナ戦争が、死の商人のビジネスに与える影響は大きいと思われます)

 

ウクライナの戦争は、膠着状態です。

 

ウクライナは制空権を確保していませんが、ロシアも、戦闘機の優位にもかかわらず制空権を確保できていません。多くの攻撃は、ウクライナ国外または、国境付近の占領地域からのミサイル攻撃によっています。

 

湾岸戦争以降、戦争は、武器の実践での性能をしめす展示場にもなりましたが、今回は、トルコのドローンの画像を除けば、武器の性能を示す写真は少なく、被災したあとの被害の写真が主体です。理由のひとつは、攻撃側がロシアで、守勢がウクライナのためです。

それ以外には、使われている武器が古いこと、武器の提供の利用状況の情報を公開しないことが条件づけられている可能性があります。

 

状況から判断するとロシアのミサイルは、センサーデータとAIを使ったピンポイント攻撃をする能力がなさそうです。

 

ロシアのミサイルの民間施設への攻撃は、意図的に照準を民間施設に合わせている場合とミサイルの性能が悪いための誤爆の場合が考えられます。原因は、絞り込めるわけではなく、この2つが、混在していると思われます。

 

ドローンや対戦車ミサイルの性能は向上しているため、戦車のコストパフォーマンスが悪いことが確認できています。

 

ヘリコプターは、移動速度が遅く、高空を飛べないので、ドローンやミサイルの餌食になりやすいです。とはいえ、道路や橋が分断された状態での移動手段は、ヘリコプターしかありません。ヘリコプターは、攻撃能力は高くはないが、ロジスティックに欠かせない武器と思われます。

 

戦闘機は、両国とも温存していますので、大規模に展開するメリットはないと思われます。





今回の戦争は、周辺諸国が、古い武器をウクライナに提供することで、武器の世代交代が進む側面があります。

 

一部の武器は、更新されないで、他の武器に置き換わる可能性があります。

 

アメリカは、当初は、ウクライナへのミグ戦闘機の提供に積極的でしたが、現在は、消極的です。ポーランドが、ミグ戦闘機を提供して、戦闘機の世代交代を図る案を提案しましたが、却下されています。これは、表向きは、第3次世界大戦を回避するためといっていますが、判断基準は明らかではありません。実のところ、代替機が販売できる見通しが減ったことが本音の可能性もあります。



2017/03/18のCNNは、次のように、伝えています。(一部編集要約)

 

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(CNN) 米陸軍訓練教義コマンドのパーキンス司令官は18日までに、米国の同盟国が地対空ミサイル「パトリオット」を使って市販の小型ドローン(無人機)を撃墜したことを明らかにした。ドローンが約200ドル(約2万2000円)なのに対し、スポーツ用多目的車(SUV)並みの大きさで、音速の5倍の速度で飛行できるパトリオットは約340万ドル(約3億8000万円)だ。

 

パーキンス氏は「米ネット通販大手アマゾンのサイトで200ドルのドローンがパトリオットに対抗できる可能性はなかった」と指摘。ドローン破壊には成功したものの、経済的に妥当な方法ではなかったとジョークを飛ばした。

 

そのうえで「もし自分が敵であれば、米ネット競売大手イーベイでこうした300ドルのドローンを買えるだけ買う。配備されているパトリオット・ミサイルをすべて使い果たさせることができるからだ」とも付け加えた。

 

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2019/10/18のPRESIDENTで、部谷 直亮氏は次のようにいっています。(一部編集要約)

 

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2019年9月18日、サウジアラビア国防省は、自爆ドローン18機と巡航ミサイル7発をミックスした攻撃にあったと発表しました。攻撃の結果、全世界石油供給量の5%に該当するサウジアラビア原油生産量の半分が止まりました。

安価な自爆ドローンを巡航ミサイルにミックスする攻撃は、極めて有効です。自爆ドローンで敵のレーダー網や防空網を潰しつつ、巡航ミサイルで攻撃するという世界初の高度な戦術が採用された可能性があります。

 

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これらを考えると、他国に攻撃を仕掛けないのであれば、戦闘機のパフォーマンスは低く、更新する理由のない可能性があります。

 

状況は、混沌としているので、以下のまとめのコメントが不適切な可能性も高いです。



1)ウクライナ戦争は、古い武器の償却を促進します。

 

これには、3つの側面があります。

 

1-1)古い武器をウクライナに提供することで、買い替えが進みます。

 

1-2)上述のように、武器のタイプが入れ替わる可能性があります。

 

1-3)古いタイプの命中精度の悪い武器は使えない可能性が高くなりました。

 

ロシアが、病院をミサイルで攻撃したことは、「人道に対する罪」になりました。

 

これから、誘導精度の悪いミサイルを使う場合には、「人道に対する罪」をおかすリスクを抱えることになります。

 

つまり、古いタイプの命中精度の悪い武器は持っていても使えないことになります。

 

2)戦争の勝敗を決定するのは、高度IT人材である可能性があります。

 

自爆ドローンと巡航ミサイルをミックスした攻撃では、ミサイルとドローンの協調プログラムの性能がものをいいます。

 

戦果のエビデンスを見て、協調プログラムを修正していく、IT高度人材が、必須です。

 

ウクライナはIT先進国ですから、国内にも「協調プログラムを修正できるIT高度人材」がいます。あるいは、アメリカ在住のIT高度人材が協力している可能性もあります。

 

サイバーセキュリティレベルでは、既に第3次世界大戦に突入しています。

 

制空権には、象徴的な意味はありますが、制空権だけで、第3次世界大戦に突入していないと考えることには、無理があります。



付録:自衛隊の課題

 

10年以上前から、米軍の兵士の採用基準では、知能適正試験が重視されています。これは、武器が、IT化した結果、体力よりも知力を重視することが必要になったためです。後方支援で、協調プログラムを修正するには、体力は意味がなく、知力は必須です。

その結果、兵士の採用試験の合格率は3割程度まで落ち込んでいます。

 

 2019/10/18のPRESIDENTで、部谷 直亮氏は、次のように、指摘しています。(一部編集)

 

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大卒以上の自衛隊幹部(尉官以上)は45.9%しか存在しません(2017年10月末時)。大卒率ほぼ100%のキャリアの国家公務員や米軍の現役幹部の83.8%(15年時)と比べると異常な低さです。これは自衛隊が、諸外国の軍隊の中でも突出して知性を軽視しているためです。

 

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学歴と知力が、直接関係するとは言えませんが、ある程度の相関はあります。

 

「協調プログラムを修正できるIT高度人材」が、自衛隊にいるとは思えません。




2万円の市販ドローン、4億円のパトリオットで撃墜 2017/03/18 CNN

https://www.cnn.co.jp/fringe/35098336.html

 

100億円戦闘機を叩き潰す10万円ドローンとは  2019/10/18 PRESIDENT 部谷 直亮(ひだに・なおあき)

https://president.jp/articles/-/30094?page=1

 

自衛隊幹部が異様な低学歴集団である理由 019/10/10 PRESIDENT 部谷 直亮

https://president.jp/articles/-/26144