水産データの信頼性とPDCA～2030年のヒストリアンとビジョナリスト（12）

前回、水産データの信頼性について述べましたが、その前後にも、他の水産偽装の話題があります。

2022/02/08の熊本日日新聞によれば、アサリの偽装は、2004年から繰り返し行われています。

2021年11月、静岡市の工場で、中国産のワカメを使い、鳴門産と表示した商品を作り、販売した疑いが持たれています。

2022/02/11の読売新聞によれば、中国産ウナギを「国産」と偽装、ふるさと納税返礼品にも選ばれた専門店が破産申請したそうです。

2015年には、中国産アナゴを「日本海産」と偽装しています。

サクラエビも、台湾産の偽装がありました。サクラエビの場合には、漁獲量が減ってしまったので、ものがない状態です。「『森は海の恋人』水の循環研究会」を作って検討しているようですが、資料が少なく、詳細は不明です。

筆者は、「The effects of land use changes on streams and rivers in mediterranean climates」のようなレビューぺーパーの日本語版をみたことがありません。ITにかぎらす、日本の学問レベルは2流の所が増えているように感じています。

問題点を見つけて改善する方法としては、PDCAサイクルがよく知られています。

PDCAは、デミングが提唱したと言われ、そのため、主に日本で使われていると言われています。

PDCAサイクル（PDCA cycle、plan-do-check-act cycle）とは品質管理など業務管理における継続的な改善方法です。Plan（計画）→ Do（実行）→ Check（評価）→ Act（改善）の4段階を繰り返して業務を継続的に改善する方法です。

ただし、問題点を見つけて、改善するという手順は、どこでも行われていますので、あえて、PDCAにこだわることもないと思います。

問題は、アサリの偽装が繰り返されるように、「改善」が機能しない点です。

ヒストリアンで考えれば、歴史は繰り返すのかも知れませんが、それは、進歩に背を向けています。

国交省の建設受注統計の不正も、エラーをカバーするための辻褄合わせだったといわれています。

つまり、チェックで、エラーが見つかったので、対策をするのではなく、エラーにならないように、データを操作したということです。

エラーが訂正されず、温存すれば、経済や、国は崩壊します。

国会答弁でも、「霞が関文学」、「真空切り」、「ご飯論法」が繰りかえされます。

これは、従来の方式を引き継ぐヒストリアンの立場です。ディベートの世界では、トゥールミンロジックを使うことが、公式スールですから、「検討します」、「善処します」という返答は、返答とみなされず、不誠実で、落選ものになります。

つまり、より抽象度の高いレベルで、問題を論ずる必要があります。