壊れてしまったマザーズ~株式の勉強(7)

2022/02/09の日経新聞に「壊れてしまったマザーズ 『過小値付け』に投資家が反乱」という記事がでています。

 

政府が進める新規株式公開(IPO)の値付けの見直しが、「過小な値付けだ」と問題視する指摘に海外投資家らが強く反発して、日本のIPOから資金を引き揚げており、そのあおりで上場を延期する新興企業が相次いでいるそうです。



米金融引き締め懸念で東証マザーズ指数が大幅に下がり、その後、米ナスダックは反発しているが、マザーズは下がったままになっている、その背景にIPO値付け問題があるそうです。

 

ここで、用語の確認をしておきます。藤原 久敏氏と東海東京証券株式会社の説明を引用します。

 

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これまで上場していなかった企業が、新たに市場に上場する(誰でも自由に株式を売買できるようになる)ことを、IPO(新規株式公開)と言います。この場合、新たに上場する銘柄を、上場前に入手する価格を「公募価格」と言います。そして、上場して取引され、初めて成立する価格を「初値」と言います。



初値は「生まれ値」ともいいます。新規上場銘柄の初値はさまざまな思惑が入り乱れ、予想が難しいものです。一般に初値が上場直前の公募や売出価格(公開価格)を上回れば滑り出しは良好、下回れば投資家に不人気だったと判断されます。公開価格を低く抑えれば、投資家の人気は高まりますが、上場企業の資金調達額は減ってしまいます。反対に、公開価格が企業の実力よりも高ければ、企業は納得しても投資家にそっぽを向かれてしまいます。

 

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2021/04頃から、マザーズは、ナスダックと遊離しています。

2021/11頃からは、マザーズは、急落しています。

 

IPO値付け問題とは以下です。

公取委は、強い立場の主幹事が一方的に適正でない公開価格を設定し、新規上場企業に不利益を与えるのは独禁法の「優越的地位の乱用」に該当する恐れがあると指摘したそうです。

 

具体的に、公正取引委員会のHPを見ると、以下になっています。

 

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調査の趣旨

 

 自社の発行する株式を金融商品取引所に初めて上場する新規株式公開(以下「IPO」という。)は,企業にとって,その知名度や社会的信用力を向上させることや,社内管理体制を充実させ,従業員の士気を向上させるだけでなく,重要な資金調達の手段にもなっている。

 令和3年6月18日に閣議決定された「成長戦略実行計画」では,日本のIPOについて,上場後初めて市場で成立する株価(初値)が,上場時に新規上場会社(IPOを行う企業をいう。以下同じ。)が株式を売り出す価格(公開価格)を大幅に上回っており,公開価格で株式を取得した特定の投資家が差益を得るが,新規上場会社には直接の利益が及ばず,同じ発行株数でより多額の資金調達をし得たはずであったことが指摘されており,こうした点を踏まえ,IPO時の公開価格設定プロセスの在り方について,実態把握を行い,見直しを図ることとされている。また,令和3年11月8日に新しい資本主義実現会議が決定した「緊急提言~未来を切り拓く『新しい資本主義』とその起動に向けて~」においても,同趣旨の指摘がなされている。

 新規上場会社の企業の価値や需要に見合った公開価格が設定されること等により,新規上場会社が,自らの事業を成長させていくために必要な資金を調達しやすくし,市場における成長を促進する環境を整えることは,ひいては我が国の経済全体の活性化につながると考えられ,競争政策上望ましい。

 こうした問題意識の下,公正取引委員会では,初値が公開価格を大幅に上回る要因となり得ると考えられる事項について,競争政策・独占禁止法上の課題の有無を検討するために,公開価格の設定に係る実態,上場のための選択肢の多様性に係る実態及びIPOに係る取引慣行における独占禁止法上の論点について実態把握を行った。

 

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これを見ると、「新しい資本主義」が、社会主義なので、海外投資家らが強く反発して、日本のIPOから資金を引き揚げたようにみえます。

 

会計ニュースコレクターは、「政府が打ち出す政策は、背後にしっかりした専門家であるブレーンがいて、考えているはずだと思いがちですが、本当にそうなのかは、よく点検しないといけないのでしょう」といっています。

 

2022/02/04には、愛知県が、ジブリパークに340億円をだすという話を明らかにしています。年間約180万人の来場を見込んでいるようです。

 

しかし、テーマパークは、民間でサービス供給できるものですから、自治体が関与すべきではありません。名古屋市には、既に、レゴランドがテーマパークとしてあります。

なお、レゴランドの320億円のうち、300億円は名古屋市の出資です。

 

世界の宇宙開発が、民間主導になっていると申し上げましたが、日本は、大きな政府自治体が主導で、時代に逆行しています。

 

大きな政府は本来は、高負担、高福祉ですから、消費税をあげて、社会保障を手厚くすることが基本です。

 

日本の場合には、国債発行で、負担を先送りして、なおかつ、社会保障の歳出を削減して、テーマパークに投資していますので、先が思いやられます。



参考データ

 

東京ディズニーランド+シー2016 3000万人 73ha 7000億円

ユニバーサルスタジオジャパン 1400万人 35ha 2150億円

ジブリパーク 180万人 7.1 ha 340億円

レゴランド 200万人目標 9.1ha 約320億円(第1期)

 

名古屋港水族館 200万人

名古屋市科学博物館 140万人

東山動物園 250万人

 

1㎡辺りの人数

ディズニーランド+シー24.3人/㎡。

USJ 35.6人/㎡。

レゴランド21.9人/㎡。

ジブリパーク25.3人/㎡

 

【第10回】IPO(新規株式公開)は、絶対に儲かるのか?    藤原FP事務所代表藤原 久敏 

https://www.asahi.com/ads/start/articles/00251/

 

第4章 IPO における価格形成

https://www.jsri.or.jp/publish/general/pdf/g23/04.pdf

 

初値(はつね)乙女のお財布は、東海東京証券株式会社

https://www.tokaitokyo.co.jp/otome/investment/glossary/detail_ha010.html

 

壊れてしまったマザーズ  ナウティスニュース

https://nowtice.net/news/2299089/

 

「壊れてしまったマザーズ 「過小値付け」に投資家反発(日経より)」2022/02/10 会計ニュースコレクター

https://ivory.ap.teacup.com/kaikeinews/17963.html

 

「新規上場、過小値付け「優越地位乱用も」 公取委が報告(日経より)」  2022/01/30 会計ニュースコレクター

https://ivory.ap.teacup.com/kaikeinews/17915.html

 

(令和4年1月28日)新規株式公開(IPO)における公開価格設定プロセス等に関する実態把握について 2022/01/28 公正取引委員会

https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2022/jan/220128_IPO.html

 

ジブリパーク整備事業の概要

https://www.pref.aichi.jp/uploaded/life/271598_953576_misc.pdf

 

ジブリパークの事業費340億円 来場、年180万人見込む 2022/02/04 日経新聞

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO55242800U0A200C2L91000/

 

ジブリパークの総事業費は約340億円と判明!2022/02/05 ジブリのせかい

https://ghibli.jpn.org/news/ghibli-park-25/