EXRとHDR

darktableとデジタル画像処理

darktableのデータをGimpまたは、Kritaと交換する場合には、32ビット不動小数点のEXR形式を使うことがおすすめです。 この場合には、RAWの編集中ファイルの精度を、できるだけ、落とさずに、ファイル交換することが目的です。

この場合の元のRAWデータのダイナミックレンジは、カメラのセンサーの性能によって違いますが、10EVから14EVの間にあると思われます。

一方、EXRフォーマットは、自由度が高く、14EV以上のダイナミックレンジのデータも保存できます。 ここで、HDRの用語の混乱があります。

１）JPEGの1チャンネル8ビットを越える画像データをHDRと呼ぶ場合 ２）複数の画像を合成した特にダイナミックレンジの大きな画像データをHDRと呼ぶ場合 ３）Jpegのように、変換することなしに、ビューワーでみることのデータで、1チャンネル8ビットを越える画像をHDRと呼ぶ場合

以下は、この点に注意して読んでください。

最近では、HDRに対応したディスプレイやＯＳも出てきています。つまり、Jpegよりも、ダイナミックレンジの広い画像を表示することが可能になりつつあります。

darktableでは、Jpeg よりも、ダイナミックレンジの広い画像を内部処理では扱うことができますが、その処理は、画面では確認できないので、画面出力では、1チャンネル8ビットに押さえられています。

ディスプレイのダイナミックレンジが、HDRに対応するようになれば、darktableの処理もHDRで行うべきかもしれません。ただし、その場合には、JPEGとｓRGBに相当するフォーマットの規格統一が必要です。

2年前の2020年に、Richard Butlerさんが、書いた記事の一部を引用します。

この記事は、フルサイズセンサーのカメラが、拡張JPEGに相当するHDR出力を準備しつつあるというものです。

ここで扱っているHDRは、1ショットと思われますが、マルチショットであれば、よりセンサーの小さなカメラでもHDRは可能です。

この記事は、2年前なので、その後に展開は、確認できていません。

しかし、カメラ、OS、ディスプレイが、HDRに対応する時には、RAW現像や、デジタル写真のエコシステムが変わってしまいます。

その世代交代までの時間は、あと2、3年のようにも思われます。

HDRになったときに、レンズの精度など、カメラのセンサー以外の部分のエコシステムも変わると思われます。

少なくとも、sRGBの制約はなくなりますので、レンズの色のレンジは変化するはずです。

そうなると、古いレンズも使えるでしょうが、新しいレンズに比べれは、価格が下がるはずです。

つまり、時代遅れの古いコシステムを安価に仕入れるか、価格に糸目をつけずに、新しいエコシステムに乗り換えるかの選択が必要になります。

今でも、古いデジカメは、中古で、安い価格で手に入りますので、それをつかうという選択はありますが、この次にくるエコシステムの変化は、ガラケーが、スマホになるレベルの違いと思われます。

以下は、Richard Butleさんの記事の引用です。

静止画のHDR

現在、カメラで生成されたJPEGは、標準解像度のディスプレイで表示されることを期待して設計されています。これにより、すべてがフラットで色あせて見えるようになる前、または積極的にトーンマッピングされたHDR画像の超現実的な外観に転じる前に、現実世界のダイナミックレンジのどれだけを表示できるかが制限されます。

これまでのところ、2つのカメラメーカーがさらに進んで、より高性能なディスプレイの登場を利用しようとしているのを見てきました。パナソニックのSシリーズカメラには、HLG規格に基づいた画像を出力できるモードがあります。HDMIを使用してカメラを接続すると、これらのファイルはほとんどのHDRTVで表示できます。HLGフォトモードを使用して撮影された画像は、.hspファイル（HLG標準で定義されている）として出力されます。カメラは、カメラ内のRaw変換を使用して.hspファイルを出力することもできます。

HDRの写真の可能性を活用するために必要なすべての要素がまだ整っているわけではありません キヤノンがHDRTVの機能を利用していることの最初の兆候は、HDMI経由で10ビットディスプレイに接続すると、最近のカメラからRawファイルの高DRプレビューを取得できることです。

しかし、大きなニュースは、EOS-1D X MarkIIIがHDRディスプレイ用に設計された10ビットファイルをHEIF画像形式で出力することです。ソニーは、a7SIIIモデルに同様の機能を追加しました。

HEIFはすでにAppleの電話のHDR画像に使用されています（ただし、まだ、HEIFファイルを開くことはできてもHDRバージョンの画像を表示しないMacコンピューターは使用されていません）。HEIF / HEICは幅広い標準であり、CanonとAppleのファイルは相互に互換性がありませんが、イメージング業界の2人のこのような大規模なプレーヤーが使用すると、サードパーティのソフトウェアがサポートを提供する可能性が大幅に高まります。

HDRディスプレイが写真を展示するための主要な方法になるのを見始めるかもしれません。 キヤノンのHEIFファイルは、ドルビービジョンとHDR10標準の両方で使用されている応答曲線を使用しています。これは、HDRシステム間の互換性を支援するはずですが、SDRシステムとの下位互換性はありません。ソニーのHEIFファイルはパナソニックと同じHLG曲線を使用しているため、両方の長所を提供する必要があります。

HEIF標準には、複数の画像ファイルを含めるオプションが含まれていることに注意してください。相互互換性を維持するために妥協することなく、HDRバージョンとSDRバージョンの両方の画像を配信する方法を提供できる可能性があります。