検査数と実効再生産数の課題~コロナウイルスのデータサイエンス(243)

この記事は、昨日、作成して、中断したものを再開して作成しましたので、最新のデータが、1日古くなっていますが、大勢に影響しないので、掲載します。

課題は、オミクロン株の拡大をどうみるかです。

図1は、東京都の実効再生産数です。翌21日の値は2.28で、少し下がっていますが、大勢はかわりません。

2022/01/20 全国2.29 東京都2.49 2022/01/21 全国2.15 東京都2.28

図2は、東京都のPCR検査数ですが、頭打ちです。

東京都のデータでは、PCR検査数が頭打ちで、実効再生産数のパターンに反映しているように見えます。

図は、出していませんが、全国のデータでも同じ傾向が見られます。

実効拡大再生産数の計算式は「(直近7日間の新規陽性者数/その前7日間の新規陽性者数)^(平均世代時間/報告間隔)」です。平均世代時間は5日、報告間隔は7日と仮定しています。リアルタイム性を重視して流行動態を把握するため、報告日ベースによる簡易的な計算式を用いています。

つまり、実効拡大再生産数のデータには、PCR検査数の変化に伴う変動は補正されていないことになります。

図3は、検査の陽性者数ですが、検査数が増えれば陽性者数は増えます。図2と比べると、その影響があるように見えます。

発病率が一定であれば、感染者数よりも、入院患者数のデータの方が信頼できます。 もちろん、デルタ株が、オミクロン株になると、発病率が変化してしまいますが、流行の主なウイルス株が交代しなければ、発病率に大きな変化はないと考えられます。

そこで、図4に、東京都の入院患者数の1週間前との日を示します。

この図を見ると、増加傾向は、赤線で示すように、12月には既に、始まっています。

一方、図2のPCRの検査人数をみると、12月が検査数が減少しています。

図1の実効拡大再生産数をみると、12月に入ると、緩やかですが、実効再生産数が増加してます。

羽田空港で、最初のオミクロン株が確認されたのは、12月7日です。

12月の最初から、オミクロン株の感染拡大が始まっていたと思われます。

PCR検査数の影響を排除するには、入院患者数に注目する方法も有効化もしれません。

また、検査数が多いはずの、抗体検査については、全く、統計があがっていないように見えます。

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図1 東京都の実効性再生産数(東洋経済による)

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図2 東京都のPCR検査人数(東洋経済による)

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図3 東京都の検査陽性者数(東洋経済による)

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図4 東京都の入院患者増加比率