ランドドスケープデザインの貧困

このブログでは、風景写真を撮影しています。

しかし、美しい風景は少ないですし、更に、大きな問題は、風景を美しくする努力がなされないことです。

それは、どこの自治体のHPをみても、判でおしたように、開発計画がつくられ、ゾーニングがなされ、担当者は、ゾーニングを守るという視点しかないことを見れば、わかります。

違法でない開発計画でも、美しい開発計画と、醜い開発計画があります。違法でなくても、努力目標として、できるだけ美しい景観をつくるというのが、欧米の基本的な視点です。

1960年代に、全国総合開発計画が始まり、それに、合わせて、国土利用計画法がつくられます。しかし、この法律は、ザルで、乱開発を止める効果はなく、地価が異常に上がって、バブル経済になって、はじけます。

日本は、1960年代は、まだ途上国でしたので、開発を優先して、ともかく、豊かになることを、優先していました。その反動は、公害問題が発生して、環境庁がつくられます。

日本が、それれなりの先進国になったのは、1980年代に入ってからです。

1987年(昭和62年)に、総合保養地域整備法(通称リゾート法)ができて、日本中で、リゾート開発が進みます。

1987年は、本来であれば、豊になったのですから、開発優先をやめて、じっくり時間をかけて、環境と景観を整備していくべきフェーズでした。ところが、そでまで、土地ころがしで、利益を得たディベロッパーが、今度は、産業開発から、観光開発に切り替えて、2匹目のドジョウをねらい、それに、合わせて、政治家に献金する構造が生まれました。

1987年は、ランドドスケープデザインが、道を正せる数少ないチャンスであったのですが、道を誤っています。そのDNAは現在も、引き継いでいて、カジノ法案が通っています。

日本では、欧州のランドスケープデザインに類する総合的かつ、広域的な景観計画はありません。

日本で、ランドスケープというと造園計画になってしまいますが、欧米では、個別のランドスケープが重なった地域の景観をさす言葉で、日本には、欧米の意味でのランドスケープはありません。

キーになる概念は、次のようなものです。

Landscape Character Assessment (LCA)

Landscape and Visual Impact Assessment (LVIA)

Guidelines for Landscape and Visual Impact Assessment (GLVIA3)

欧州景観条約(2000)

EUでは、2000年に、フィレンツェ条約が成立します。


欧州評議会の欧州景観条約は、フィレンツェ条約としても知られ、欧州景観のあらゆる側面に専念する最初の国際条約です。これは、締約国の全領域に適用され、自然、農村、都市、および都市周辺地域を対象としています。それは、日常の風景や劣化した風景だけでなく、傑出したものと見なされる可能性のある風景にも関係しています。条約の目的は、すべての景観の保護、管理、計画、および生きている景観の価値に対する認識の向上です。


検索すると、日本では、フィレンツェ条約について、2010年頃までは、紹介記事がありますが、その後は、フィレンツェ条約は、日本とは別の世界という感じで、ほとんど、だれも見ていないようです。

しかし、先進国で、日本のように、開発中心の都市計画システムが、依然として、温存している所はありません。

このままいくと、日本は完全に取り残されます。

廃墟ホテルに、観光庁が最大1億円の解体補助金を出しますが、「廃墟ホテルはバブル崩壊のあおりを受け、1990年代後半から2000年代にかけて倒産したホテルが放置され、廃墟化したもの」が多いです。つまり、総合保養地域整備法が、失敗したツケです。

令和3年7月伊豆山土砂災害も、無謀な開発計画のツケです。

これらは、個別の問題のように見られていますが、フィレンツェ条約をもっていないという共通の問題に根差しています。

ランドスケープインスティテュート

ランドドスケープデザインの貧困を感じたのは、ランドスケープインスティテュート(LSI)の雑誌を見たからです。

2019年以前の雑誌は、landscapeinstitute journal-issues からダウンロードできます。

LSIの活動は、例えば、次のニュースの一部を見ればわかります・


LSIのニュース

  • 新しいLIブリーフィングでは、COP26の結果と景観への影響について説明しています 2021/12/22

    11月にグラスゴーで開催されたCOP26サミットでは、世界の指導者たちが集まり、地球温暖化を制限するという野心と行動の規模を決定しました。 新しいLIポリシーブリーフィングでは、グラスゴー気候協定、英国のネットゼロ戦略、グローバルな適応目標、英国の気候適応ポリシーに関する見出しの成果を取り上げ、特に景観専門家への影響に焦点を当てています。

  • 新しいオンライングリーンインフラストラクチャマッピングツールがリリースされました 2021/12/08

新しいマッピングツールは、40を超えるデータセットからのデータをまとめて、地域の計画当局がグリーンインフラストラクチャを地域の計画作成に組み込むことをサポートすることを目的としています。

  • LIポリシーの更新:2021年環境法 2021/11/16

2019年に最初に導入された環境法は、ついに国王の裁可を受けました。 この信じられないほど重要な法律は、EUの環境フレームワークを見直して置き換えます。 環境長官のジョージ・ユースティスによれば、「地球上で最も野心的な環境プログラム」を提供している。 LIポリシーチームが重要なポイントを確認します。

今週、英国政府はその主力製品であるネットゼロ戦略を発表し、2050年までに英国全体で温室効果ガスのネットゼロ排出を達成する方法を概説しました。

私たちのセクターにはいくつかの有望な機会がありますが、戦略にはグリーンインフラ投資に関する詳細なポリシーが欠けています、とLIポリシーおよび広報マネージャーのTheoPlowmanは書いています。


とてもでは、ありませんが、日本の都市計画とは、レベルが違いすぎます。これは、先進国の普通のレベルです。

以下には、LSIのHPの一部を示して、今回のブログを終わります。

以下を見ると、日本の自治体の将来ビジョンは、開発ディベロッパーの提灯持ちにすぎないように見えてしまいます。

ランドスケープインスティテュートの概要

ランドスケープインスティテュート(LI)は、ランドスケープ専門家の公認機関です。 これは、景観実践の芸術と科学を促進する教育慈善団体です。

LIの目的は、そのメンバーの活動を通じて、公共の利益のために自然および構築された環境を保護、保護、強化することです。

LIは、ランドスケープサイエンティスト、ランドスケーププランナー、ランドスケープアーキテクト、ランドスケープマネージャー、都市設計者を含むすべてのランドスケープ実践者に専門的な家を提供します。

LIメンバーシップ、および参加するメリットの詳細をご覧ください。

ランドスケープラクティショナーのサポート

ランドスケープの職業は、彼らが取り組んでいるランドスケープと同じくらい多様でダイナミックですが、私たちの焦点は同じままです:すべてのランドスケープ実践者をサポートし、代表することです。

私たちは、アドボカシープログラム、イベント、および多数のネットワーキング活動を通じてメンバーをサポートします。これらの活動の多くは、英国全土の支部を通じて組織されています。

私たちの専門能力開発プログラムは、メンバーが景観実践において最高水準を達成するのに役立ちます。ランドスケープインスティテュート(CMLI)の公認会員は、ランドスケープの教育と実践において最高水準に達した人にのみ授与されます。

CMLIは、見込み客や雇用主に、造園家がその分野で最高であることを伝える卓越性の証です。

景観の専門家を代表する

私たちは政府と協力して、さまざまな政策問題について景観専門家の声が確実に聞こえるようにします。

私たちは景観の専門家を代表しており、国や権限委譲された政府がイニシアチブや戦略を策定しているときに、景観が最重要課題になることを望んでいます。私たちは、住宅、洪水、公衆衛生、持続可能性、農業などのトピックに関する専門家の声です。

景観実践の促進

私たちは、イベントや展示会に加えて、報道機関、放送、デジタルメディアを通じて、造園家が行った素晴らしい仕事を支持しています。

私たちのケーススタディライブラリは、オリンピック公園のような世界規模のプロジェクトから近隣の計画に至るまでの現代的な景観プロジェクトのコレクションです。

LIアワード

景観業界で最大のイベントの1つは、英国および国際的な景観慣行の規模と範囲を祝う毎年恒例の賞です。

自然と構築された環境を保護する

教育慈善団体として、私たちは一般の人々の利益のために景観の利用を促進する現在の考え方と行動を支援します。たとえば、公衆衛生、持続可能性を促進し、気候変動に取り組むイニシアチブを歓迎します。

しかし、私たちの焦点は変わりません。公共の利益のために自然と構築された環境を保護し、強化することです。

私たちは、刺激的な場所の設計と管理を通じて繁栄するコミュニティを作成する景観の実践をサポートします。環境、計画、管理、設計にまたがる景観実践者のスキルは、人間の生活の質を高めることができます。

たとえば、メンバーの仕事は、大気汚染や騒音公害を減らし、場所の収益性と持続可能性を高め、よりリラックスして健康的な空間を楽しむことにつながります。


  • “破綻と夜逃げ”の連鎖…鬼怒川温泉の廃ホテル不法侵入問題 観光庁が最大1億円の解体補助金も市の担当者「1億はちょっと厳しい」 2022/01/10 Ameba News

https://times.abema.tv/articles/-/10011143

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B7%8F%E5%90%88%E4%BF%9D%E9%A4%8A%E5%9C%B0%E5%9F%9F%E6%95%B4%E5%82%99%E6%B3%95

  • 令和3年7月伊豆山土砂災害 wiki

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BB%A4%E5%92%8C3%E5%B9%B47%E6%9C%88%E4%BC%8A%E8%B1%86%E5%B1%B1%E5%9C%9F%E7%A0%82%E7%81%BD%E5%AE%B3

  • European Landscape Convention wiki

https://en.wikipedia.org/wiki/European_Landscape_Convention

  • Landscape and Visual Impact Assessment Designing Buildings Wiki

https://www.designingbuildings.co.uk/wiki/Landscape_and_Visual_Impact_Assessment

  • ヨーロッパ景観条約 The European Landscape Convention, The Florence Convention

Council of Europe Landscape Convention

https://www.coe.int/en/web/landscape

  • National Landscape Strategy Ireland

https://www.gov.ie/en/publication/8a59b-national-landscape-strategy/

  • landscapeinstitute

https://www.landscapeinstitute.org/

  • landscapeinstitute journal-issues

https://www.landscapeinstitute.org/journal-issues/

  • Reviewing Landscape and Visual Impact Assessments (LVIAs) and Landscape and Visual Appraisals (LVAs)

https://landscapewpstorage01.blob.core.windows.net/www-landscapeinstit