Android社買収の補足
前回、2021年に、日立製作所が、約1兆円で、パナソニックが、約8633億円で、米国のソフトウェア会社を買収し、一方、Googleは、2005年に、 Android社を、5億5000万円で、買収したと説明しました。
舌足らずであったので、2点補足しておきます。
リスクの計算
Googleは、2005年に、 Android社を、5億5000万円で、買収しましたが、これは、ベンチャーの買収なので、リスクを伴います。
買収が物になる確率が10%であれば、買収金額は、10倍の55億円と考える必要があります。
1%であれば、100倍の550億円になります。
一方、日立製作所とパナソニックは、物になる確率を10%として、買収しているとは、思えません。
これから、日立製作所とパナソニックが買収したソフトウェア会社が、 Android社のように、大化けすることは期待していないことがわかります。
時間の価値
Googleは、Android社を、2005年に、買収しています。
2005年に、アップルのスティーブ・ジョブズがiPhoneの計画を始めています。
iOSは2007年1月9日のMacworld Conference & ExpoでiPhoneとともに発表され、2007年6月にリリースされています。
2007年11月5日に、 Androidは、無償OSとして、配布が開始され、2008年10月からは対応する携帯電話が多数販売されています。
アップルに遅れること、OSは5か月、スマホは、1年半です。
Googleにも、優秀なプログラマはいますから、スマホのOSを自社開発ができた可能性はあります。
しかし、その場合には、ISOに対抗するOSの発表は、更に遅れていたでしょう。
これは、IT業界では、致命的エラーになる可能性があります。
つまり、Googleは、5億5000万円で、2年間の時間を買ったとみなすこともできます。
こう考えると、トヨタの自動車OSのアイリーンの開発が気になります。
時系列で、ファクトをひろうと次になります。
2021年1月29日、にトヨタは、ウーブン・シティや自動運転車の開発などを担うグループ会社「ウーブン・プラネット・ホールディングス」を発足し、CEOに、元スタンフォード大の博士で、Googleで、エンジニアリングディレクターを務めていたジェームス・カフナー氏を引き抜いてきています。
2021年3月に、ウーブン・プラネットは、投資ファンド・ウーブン・キャピタルの第1号案件としてNuroに出資しています。Nuroは、Googleで自動運転技術を開発していた技術者らが2016年に創業した企業で、荷物を運ぶ配送向けの自動運転技術を開発しています。
2021年04月27日に、ウーブン・プラネットは、配車サービスを展開する米・リフト社の自動運転部門のLevel5の買収を発表しています。買収完了は、7月20日です。
2021年6月17日に、ウーブン・キャピタルは、フリート事業へプラットフォームを提供する、米国のRidecellに出資しています。
2021年8月18日ウーブン・プラネットは、次世代道路情報解析に強みを持つ米国・カーメラを買収しています。
2021年9月28日には、ウーブン・プラネットは、自動車向けオペレーティングシステム(OS)開発の米国・レノボモーターズを買収しています。
トヨタも、ジェームス・カフナー氏のウーブン・プラネットでは、お金で時間を買っているように見えます。
ビジネスは、毎月変化していて、変化速度は、大きいです。
これは、待っていれば給与があがる年功型賃金とは、対極の世界です。
2021年10月31日の衆議院選挙では、トヨタ労組は、候補を擁立しませんでした。
ウーブン・プラネット(ソフトウェア開発会社)がトヨタの主体になれば、トヨタは、生き残りますが、トヨタ労組はなくなるでしょう。トヨタ労組の候補を擁立断念には、ウーブン・プラネット・ショックが、あった可能性も考えられます。