オミクロン株とワクチン対策

オミクロン株が、空港で見つかって、政府は、入国の差し止めと、すべての国際線「新たな予約停止を」呼びかけています。

現在の国内の感染者数は、まだ減少傾向ですが、英国や米国の例を見ると、感染者数が減っている時期は、3から4か月で、その後には、再び感染が拡大しています。

これからすると、年明けには、感染が再拡大するシナリオは、十分に考えられます。

ロイターは、7日移動平均の値が、感染拡大のピーク時の何パーセントに当たるかで、感染拡大を判断していますが、現在、90%以上の国が15か国あります。

たとえば、デンマークとドイツは現在が、感染のピークです。

日本の感染拡大対策は、次の3つです。

1)行動制限とマスク、消毒など

2)PCR検査と追跡ソフトによる感染源の特定と隔離

3)ワクチンの接種

2021年8月まで、日本国内では、感染が拡大しました。

3つの対策のうち、1)と2)は、十分な効果が発揮されませんでした。

現在のオミクロン株の感染者の濃厚接触者の対応も、見る限りは、過去から改善しているとは思えません。

ですから、次の感染拡大に対する有効手段は、やはりワクチンになると思われます。

3回目の接種については、少し前に、2回目から8か月をおくというルールが定められましたが、12月1日に、日本医師会長は前倒しを要請しています。

イスラエルは、7月に入って感染者数が拡大し、2021年7月30日より、8月31日まで1,137,804人に対して3回目の接種が行なわれました。

イスラエルの人口は900万人なので、13%が1か月で接種したことになります。その後も、3回目の接種が行なわれます。 9月下旬には、感染者数が減少しはじめ、ロイターによれば、現在の感染者数は、ピーク時の3%です。

日本の8月から10月末までの接種速度は、イスラエルの13%/月より大きいので、今までと同じ速度で、接種できれば、効果が期待できます。

しかし、ここまでは、オミクロン株の効果を考えない検討です。

ビオンテックが、オミクロン株に対応したワクチンの開発に必要な時間を100日と推定しました。 これは、mRNAワクチンでなければできません。

政府は、「国産ワクチン研究の司令塔創設、製造拠点整備も含め5千億円を計上 」しましたが、その効果がでるのは、随分さきで、次の感染拡大には、間に合いません。

2021/09/01の第26回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会の資料を見ると、「コロナワクチン開発の進捗状況(国内開発)」が載っています。 このなかで、主なものについては、「第III相試験を2021年内に開始の意向」と書かれていますので、早ければ、年明けには、国産生産が始まるのかも知れません。 ただし、これは、オミクロン株には対応していません。

ということで、現在は、嵐の前の静けさのような状態です。

しかし、こうした余裕のあるときこそ、シナリオを作成して、ビジョンをもった対応を期待したいところです。