水と緑の里公園(1)(土浦市)~つくば市とその周辺の風景写真案内(608)

水と緑の里公園(1)(土浦市

水と緑の里公園は、非常に特異な公園です。

2021年11月末に、撮影にいった時には、駐車場と架橋の工事中でした。「水と緑の里公園(1)」と番号を振った訳は、工事完成後に、再度紹介する予定のためです。

経緯

ここには合計で約1.1haの3つの池があり、個人が占用許可を得て養魚場や釣り堀を経営していました。 廃業に伴い、国が、2004年3月に取得し、土浦市が管理していました。

ため池は道路法や河川法などの適用を受けない法定外公共物で、地方分権一括法により利用価値があると市町村が判断した場合は国から譲与されます。

公園用地は、2005年3月に国から、土浦市に、無償譲渡されました。 土浦市は、廃業の予定がわかった時点で、親水公園として整備する計画を立てていました。

当初計画は、以下です。


 市は2002年度にかけて基本構想と基本計画を策定。池1.1haに隣接の民有地を含めた1.4haを対象に、小川のせせらぎのある親水空間や農家造りの建物を整備する。池の一部は埋め立てて広場とするほか、現在は水深が2.5mと深いため、1m 程度に浅くする。

 広場には遊具を設置するほか、周囲には既存の木を活用するなどして桜の名所にする。公園の外側には森林や谷津田が残っているため、農家造りの建物と一体的な景観になる。

 市では茶道が盛んなことから市議会でも茶室の整備の要望が出されていたが、農家の建物を茶室として活用することができるようにする考えだ。


これを受けて、2003年8月に都市計画審議会に諮った後、2004年3月から2010年3月末までの事業認可を取得して、2005年度中に造成に着工する予定でした。

「釣りを愛好する会」が、832名の署名を集めて、「水と緑の里公園に釣り場の設置を求める(請願)」(公営釣り場設置請願)を提出します。議員6名の協力を得て、2004年度3月議会(2005年3月議会)の本会議で、公営釣り場設置が、全員賛成で採択されます。

2005年に、池の周りに約1.5mの高さで、208mに渡ってフェンスを設置、安全性を確保。園路やベンチを設置、芝生を張り、植栽も行い、部分開園しています。

利用時間は、午前9時〜午後4時で、ルアー禁止です。

問題点

釣り堀を残すこと自体には、請願があり、議会で支持されましたので、問題はありません。しかし、次の2点で、問題があります。

1)市が、釣り堀を無料で経営することは、民業圧迫です。釣り堀は、公共財ではありませんので、自治体が整備すべき対象ではありません。公園の一部で釣りができるケースは多いですが、ここ以外に、釣り堀だけの公園がないことは、公共経済学の理論にあっています。最低限、釣りをするような長時間滞在者からは、駐車料金をとるなど工夫すべきです。

2)WEBをみれば、わかりますが、遊具が全くなかったという記事もあります。現状は、釣り堀だけで、釣り客以外の一般の人が楽しめる施設はゼロです。これは、都市公園の整備計画としては、あまりに、いびつです。池は3つありますが、現在は、全て、釣り堀です。全ての釣り堀の池を残す必要はなかったと考えられます。

例えば、土浦市の乙戸沼公園には、遊具もあります。水鳥が生息しているため、池は、釣りの禁止エリアと釣りの許可エリアに分かれています。

撮影時には、水と緑の里公園では、水鳥を見かけませんでした。つまり、水と緑の里公園は、非常にいびつな生態系で、生物多様性に対する配慮がありません。

さて、水と緑の里公園は、現在、工事中ですので、工事完了後、これらの問題点が解消されたかをチェックしたいと思います。

写真

写真を3枚掲載します。

写真2には、工事車両が写っています。

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写真1 水と緑の里公園

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写真2 水と緑の里公園

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写真3 水と緑の里公園