オリンピックがあったので、関心が東京都に集中しがちでしたが、8月9日時点で、人口当たりの感染者数の多い都道府県を並べると、沖縄県、東京都、大阪府、神奈川県になります。これは、7日平均です。8月9日のデータでは、神奈川県、沖縄県、東京都、大阪府になります。
東京都 人口1396万人 感染者2884人 100万人当 207人
大阪府 人口882.3万人 感染者995人 100万人当 113人
神奈川県 人口905.8万人 感染者2166人 100万人当 239人
沖縄県 人口145.7万人 感染者332人 100万人当 228人
つまり、沖縄県と神奈川県が、現時点では、もっとも、問題の自治体になります。
沖縄県
沖縄県の人口当たり感染者数は、東京都と大きな差はありませんが、東京都の医療水準は、平均より高いので、相対的には、沖縄県の置かれている状況は厳しいものがあります。
20201/08/09の沖縄タイムズは、「なし崩し的に入院制限が進む」といっていますが、沖縄県の感染症関連情報を見ると、入院中が、606人、宿泊療養中が267人、自宅療養中が1971人に対して、入院・療養等調整中が、1815人います。これは、療養中4735人中38%になります。
比較のために、神奈川県のデータを表2に示しますが、神奈川県には、「入院・療養等調整中」はありません。
沖縄県の「入院・療養等調整中」には、入院したくとも、入院できない人が含まれていると思われます。
神奈川県
8月9日の人口100万人あたりの感染者数で、神奈川県は、東京都、沖縄県を越えて、トップでした。感染者数の日変動は大きいので、1日の値に、あまり意味はありません。しかし、7日平均の陽性率で、26.39%(8月4日)で、トップで、こちらは、異常な高さです。図1に、神奈川県の陽性率を示しますが、平均する前の陽性率の変動が大きい点に特徴があります。
図2に比較のために、東京都の陽性率のデータを示しますが、東京都の場合には、平均する前の日毎の陽性率のばらつきは、神奈川県程大きくはありません。両県とも検査数が減少すると陽性率が上がる傾向がある点は共通ですが、神奈川県の変動幅は大きいです。例えば、8月1日の検査数は、1798まで減りますが、この日の陽性率は69.91で、3分の2を越え、ほぼ、70%です。神奈川県の検査数は、東京都の3分の1くらいで、その分、ばらつきは大きくなりますが、検査した人の7割が陽性という値は、信じがたいです。また、8月1日の値が、平均の引き上げをしていますが、8月4日の平均前の陽性率は、26.42%なので、この値は、7日平均の 26.39%に近く、陽性率は25%を超えていると思われます。
東京都の場合は、検査の陽性者数と感染者数は一致しませんが、神奈川県の場合には、この2種類のデータは完全に一致します。つまり、異質なデータです。コロナウイルスの拡大から1年半が過ぎていますので、都道府県によるデータの質の違いは、解消されているとばかり思っていたので、これには、驚きました。
さて、データの質の違いはあるのですが、補正の方法がわからないので、とりあえず、無視して、陽性率のばらつきの差を考えると、「神奈川県の検査数が、実際の感染者数に対して、圧倒的に不足している」ことが原因ではないでしょうか。
まとめ
沖縄県は、感染拡大による医療崩壊については、もっとも、厳しいので、他の都道府県も、まずは、沖縄県の問題を分析して、対策を考えるべきです。最大の問題は、病床が確保できないため、「入院・療養等調整中」の療養中の人が発生している点です。この原因について、次回のデータサイエンスの記事で検討します。また、その記事でも、言及しますが、筆者は、感染拡大のリスク評価には、陽性率の増加速度が、もっとも使える指標ではないかと考えています。この点では、神奈川県は、危険水域に入っています。
東京都は、陽性率は高いですが、増加速度は、神奈川県より、低いです。また、感染者数は増加していますが、最近の増加率は、1週間前の1.3倍で、かなり、ゆっくりになってきています。
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