歴史的建築を撮影する場合、室内の撮影は、かなり、厳しい条件になります。
一般には、撮影はできても、ストロボは禁止の場合が多くなります。
歴史的建造物の明かりは、ランプですので、電球で復元された場合でも、元のイメージを壊さないように、弱めの電球が使われます。この場合には、主な光源は、窓から入る外の光になりますので、どの部屋を撮影しても、ほぼ、逆光の写真になります。窓の周辺が明るく、白飛びして、その他の部分は、黒飛びしているような写真です。
フィルム時代なら、これは、そういうシーンだということで片づけられています。
ベースカーブを使うRAW現像であれば、マルチショットをとって、HDRに持ちこむ方法もありますが、ワンショットであれば、あきらめています。
フィルミックRGBでは、良し悪しは別にして、ある程度は、対応可能です。
今回は、具体例で、この問題を取り上げます。
写真1は、明治四十四年館の室内です。右上のヒストグラムを見ると、左右ともに切れていますので、白飛びと黒飛びがあることがわかります。
写真2では、フィルミックRGBのルックタブをつかって、ヒストグラムが切れないように、変換カーブを調整しています。こうすると、写真1ではみえなかった写真の暗所がはっきり見えます。
ただし、だからといって、写真2の現像の方が、写真1の現像より、良いかは、別問題です。
写真3は、旧青木家那須別邸の室内です。写真3にも、写真1と同じように、室内に黒いピアノがあります。ここでも、右上のヒストグラムを見ると、左右ともに切れていますので、白飛びと黒飛びがあることがわかります。
写真4は、フィルミックRGBのシーンタブをつかって、ヒストグラムが切れないように、変換カーブを調整しています。こうすると、写真3ではみえなかった写真の暗所がはっきり見えます。
写真5は、フィルミックRGBのシーンタブです。白の相対露出と黒の相対露出を変更することで、ヒストグラムを切れない範囲に収めることができます。この操作は、写真5のように、ダイナミック・レンジ・スケーリングの変更でまとめて行うこともできます。
写真6は、フィルミックRGBのルックタブです。コントラストとラティチュードを変更することで、ヒストグラムを切れない範囲に収めることができます。
写真7は、Jpegの白飛びと黒飛びを表示しています。表示の条件は、アイコンの上で、マウスの右クリックをすえることで、変更できます。
写真8が、写真7と同じ画像を表示しています。
写真9は、写真8の画像のトーンイコライザーの設定です。暗所を中心に露光を上げる設定になっています。
写真10は、写真9のトーンイコライザーの設定をリセットしたものです。黒飛びがひどくなっています。白飛びと黒飛びの制御は、フィルミックRGBとトーンイコライザーをセットで処理することが基本です。
写真11と写真12は、フィルミックRGBのルックタブの赤い四角で示したshadows/highlights balanceスライダーを調整しています。このスライダーを使うと、変換曲線の対称性を崩すことができます。
写真13は、カラーバランスRGBの赤い四角で示したコントラストスライダーを変更しています。黒の強さは、フィルミックRGBのシーンタブで調整する方は調整幅は大きいですが、一部であれば、カラーバランスRGBでも調整できます。
20201/08/8
2021/07/20
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