ワクチンの不足が問題になっています。
7月10日の朝日新聞には次のような記載があります。
政府は昨年10月、モデルナ社と5千万回分のワクチンの供給契約を締結。当時の厚生労働省の発表では、今年6月末までに4千万回分、9月末までに残り1千万回分の供給を受けることになっていた。実際は6月末の時点で4千万回分の約3分の1の数量しか入っていなかった。
さらに河野氏は、モデルナ社から6月末までの供給量が減らされることを知ったのは「大型連休前くらい」だったことも明かした。職域接種への影響を問われると「まったくないと思う」と述べた。
7月9日の朝日新聞には、「自治体ワクチン接種のペースダウンを要望」とあります。
さて、マスコミの批判は、主に、大臣の発言に集中していますが、大臣の発言の原稿は官僚が作っていますから、問題の半分は、官僚の能力に問題があったと考えることが妥当です。
それはで、どうして官僚が能力不足になるのでしょうか。
この点を集団思考の切り口で考えれば、草野球型組織の問題ではないかと思います。プロ野球型組織と比べてみれば、その特徴は明白です。プロ野球では、成績が悪ければ、2軍に落ちてしまい年俸もさがります。しかし、良い成績が出せれば、1軍にとどまり、年俸も高くなります。一方、草野球では、メンバーの数が少ないですし、下手な人にも、機会を作って参加してもらわないとチームが継続できません。つまり、下手であるから、2軍落ちするとか、首になることはありません。もちろん、下手な人が、いつもエラーばかりしていると、チームはいつも負けてしまいますから、下手な人にも、練習してもらって、レベルをあげる努力はしてもらいます。しかし、レベルアップしたとしても、草野球のチームと、プロ野球のチームでは、どちらが勝つかは、試合をする前からわかっています。
草野球型の組織では、能力の差によって、年俸に差をつけるといった差別はご法度です。
ここで、集団思考という表現をするのは、無条件で、草野球型の組織が正しいという判断が働くことを指します。
例えば、7月10日のワクチン接種証明にかんする読売新聞の記事は、次のようになっています。
運用指針では、証明書の提示で、飲食代金やサービス料金を割り引くなど、利益につながる利用は推奨するが、証明書がなければイベント参加や、就職、入学を拒否するなど、不利益につながる利用は避けるよう呼びかける方向だ。
海外では、接種証明書があれば、入国後の待機期間の短縮や免除を認める国もあることから、政府は、日本人らが円滑に海外渡航できるよう導入を決めた。欧州連合(EU)では7月から、ワクチンパスポートの本格運用が始まり、ワクチン接種者に域内の移動が認められている。
ただ、政府は、様々な理由でワクチン接種を望まない人もいることから、国内の商業施設などでの接種証明書の利用は不当な差別につながりかねないと消極的だった。
この記事では、差別することは悪いという草野球型の組織マネジメントが明白です。
もちろん、差別することが良いとはいいませんが、ワクチンの接種が終わっていない人を入れれば、確実に感染は拡大します。特に、変異株の場合には、感染後も、発症しない期間が長いので、体温測定で、リスクグループを排除できません。つまり、この方法では、ワクチン接種の効果はありますが、接種証明の効果はゼロです。これは、with-withoutを比較する単純な統計計算なので、プロであれば、間違えることはありえません。つまり、このプロトコルは、草野球チームがつくっています。「飲食代金やサービス料金を割り引く」ことと、ウイルス感染の間には因果関係はありません。
草野球型組織が良いという、集団思考は、官僚だけでなく、日本中に、広まって、それが、合理的なコロナ対策を阻害しています。また、国際競争力の低下原因にもなっています。
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【独自】ワクチン証明書、商業施設想定の運用指針作成へ…非接種者への差別回避 2021/07/10 読売新聞
https://news.yahoo.co.jp/articles/aa4c7de7ee164671fcae634aa7a681bd3b441290
https://news.yahoo.co.jp/articles/437314ad4d0ab471decb30e3b58f9c14f8c4dd92
https://news.yahoo.co.jp/articles/b739ecddd38ed168a6296ce2a842b9f3a18dc6d3
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