筆者の「緊急事態宣言」に対する解釈は、効果を期待してだされたものではなく、あくまで、最後に、ばばを引くことを回避するために出されたというものです。
したがって、これは、そもそも、感染防止を期待したものではなく、感染拡大した場合に、責任をとらないための予防線です。
読売新聞の「【独自】都民の「外出自粛率」どんどん低下、流行前と同程度に…目立つ10~20代 2021/07/09 読売新聞」に対するみんなの意見(2021/07/9 22時頃 115,483票)でも、
「 東京都に4回目となる緊急事態宣言の発令決定、効果はあると思う?」
に対して、「ない」が、「83.3%」になっています。
ですから、だれが、感染拡大を本気に考えるのかという課題は、未解決です。
責任の擦り合いの事態が回避された、だけです。
緊急事態宣言をだした動機が、小池知事が始めたババ抜きを終えることにありますから、そもそも緊急事態宣言の成立要件は考えていません。
そこで、東スポーツの言う事態になっています。
藤井氏は、最大の問題点として「緊急事態宣言というものは、要件が満たされた場合に出されないといけない。今回は要件がこれまでと全く違う段階で出しており、政治家の政治的な目的のために行政を歪めた形になっている。
時事通信が、紹介しているように、1兆円くらいの経済ダメージがあるかもしれません。
Yahooニュース「宣言下での『安心安全な五輪』 菅首相の答えかみ合わず 2021/07/09」が指摘するように、首相の記者会見で納得できた人は多くないと思われます。
首相は、もともと、準備された原稿を読むことが多く、自分の言葉で語らない(=失言が少ない)ことが特徴でした。
しかし、延長で、現在も答弁していると、わかりにくい原因は、答弁の原稿にあることになります。
Wow Koreaは、「『観客動員五輪』に執着するあまり、政治家生命の危機に陥った菅総理」で、次のように書いています。
これまで、菅首相の側近は菅首相に緊急事態宣言の必要性を口にすることができなかったと日本の週刊誌『現代ビジネス』は伝えた。それも外部の人物である新型コロナ対策分科会の尾身茂会長だけが最近、御用知識人の役割を捨てて「五輪を中止せよ」と直言したが、それだけだった。自民党内部ではすでに菅首相の気にさわるようなことをしてはならないというムードが蔓延していたという。
ちょっと、日本のマスコミは、ここまで、踏み込んだ表現はしません。
しかし、首相の最近のTVでの説明を見ていると、明らかに、原稿に十分手が入っていない(=趣旨がわかりにくい)ことは確かなので、「気にさわるような」原稿の訂正がなされていないと説明されれば、うなずけるところがあります。
Yahooニュースの「宣言下での『安心安全な五輪』 菅首相の答えかみ合わず」 のコメント欄は、驚愕の内容で、自民党には投票しないという関連の発言が充満しています。
もちろん、藤崎剛人氏が都議選について「今回の選挙で目立ったのは、42.391%という低投票率だ。これは過去最低の1997年の40.80%に次ぐ低さだった。世代別にみれば、20代が28%と最も低くなっている」と指摘しているように、若年層の投票行動が低いことは事実です。しかし、都議選と緊急事態宣言の間には、変化が生じています。少なくとも、飲食業や小売業の自民党離れは、決定的になっているように思われます。
アエラの「小池百合子知事と尾身茂会長のタッグに五輪無観客で完敗した菅首相の末路」では、次の衆議院選挙では、「菅首相では100議席くらいは減るという声もあります」という話がでて、小池支持の国政出馬待望論につながっています。
しかし、小池知事は、最初にゲームから降りましたが、オリンピック開催推進派であることには変わりません。また、藤崎剛人氏指摘しているように「都民ファースト議員には、崩壊した民主党からの移籍者も多く、連合の推薦を受けた候補者も多かったので、意外と組織的に充実していたという分析も可能」なので、実のところ、「オリンピック開催+緊急事態宣言」に、反対でも、投票できる議員は少ないのかもしれません。
状況は、流動的になっていますが、今のところ、ドイツの緑の党のような新勢力は、出てきているわけではありません。
まとめますと、今回の緊急事態宣言に、感染拡大防止効果はありませんし、政府も期待してないと思われます。なぜか、西村康稔経済再生担当大臣は勘違いをして、フライングしたので、たたかれていますが、ここで、行動制限を強めても、次の効果しか期待できません。
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経済的なダメージを大きくする。
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自民党の支持率がさらに下がる。
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オリンピックに対する反感が強くなる。
結局、ワクチンに期待して、変異株が拡がった場合には、あきらめるというシナリオに変化はないと思われます。緊急事態宣言で、行動制限をかける代わりに、PCR検査を増やして、経路不明率を下げても同じ効果が期待できます。あるいは、スマホの位置情報アプリでもかまいません。しかし、こうした代替手段は、今まで、全く、進めてきませんでした。さらに、過去のデータを見ても、入国審査などの感染防止に、本腰を入れていません。
こうなりますと、問題は、感染拡大ではなく、経済ダメージの回復になっていると思われます。今年も予算に上限がついていないようですが、すでに、金余りの1929年の大恐慌に近い状態になりつあります。
何かが、きっかけで、経済が不安定になるリスクだけが、高くなっています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/6019a336e666ed5e355f8e65e106ff61b9c914da
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消費、1兆円超消失 4度目の緊急宣言 民間試算 2021/07/08 時事通信
https://news.yahoo.co.jp/articles/821a323176be053ef04e34d3c819ef8743d3c25e
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宣言下での「安心安全な五輪」 菅首相の答えかみ合わず 2021/07/09 Yahooニュース
https://news.yahoo.co.jp/articles/694041ff17efde1e85767665323bfe8bdb7b6378/comments
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「観客動員五輪」に執着するあまり、政治家生命の危機に陥った菅総理=韓国報道 2021/07/08 Wow Korea
https://news.yahoo.co.jp/articles/20581ca59973619949c19b50b5131d6537c871f1
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【独自】都民の「外出自粛率」どんどん低下、流行前と同程度に…目立つ10~20代 2021/07/09 読売新聞
https://news.yahoo.co.jp/articles/29430b9e1d5808314d7939d32e50fb10328cb0f1
https://news.yahoo.co.jp/articles/e03a0b628dcf10e1e223493c03b20cd53bf302e6?page=1
https://www.newsweekjapan.jp/fujisaki/2021/07/post-15_1.php
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