みずほ銀行のATM障害で、社長や、頭取が減給処分になったそうです。問題は、減給処分とATM障害の再発回避の間には、因果関係がないということです。障害をなくすには、障害の発生原因を取り除く必要があります。しかし、原因究明は、タブーではないでしょうか。結局、システム障害が、再発しない改善方法についての説明はありませんでした。
日本のコロナワクチンの接種率は、途上国以下でした。ということは、どこかに問題があったはずです。悪いところを見つけて直しておけば、次の感染症の拡大時には、再び同じ失敗をしなくて済みます。しかし、現在の日本の組織では、悪いところを指摘すると、社内政治で、不利になります。多くの会社では、社長や管理職ポストと引き換えに、悪いところを見逃しています。間違っていけないのは、悪いところを直すということは、個人を非難することではなく、組織のシステムを改善することです。減給処分は、この点では、最悪の対処です。悪いところを見つけて、改善した人に、報奨金を払う方がずっとましです。DXは、組織のシステム改善の典型例ですから、DXが進まないことは、悪いところを直す組織マネジメントができていないことが原因です。つまり、ワクチン接種が遅れたことと、省庁のDXが進まないことは、同じ悪いところが直せない組織マネジメントに原因がある可能性が高いです。原因が、そうであれば、デジタル庁に効果はありません。そもそも、DXが進まない原因究明を放置して、デジタル庁を作るのは、悪いところを直さないで済まそうとする発想です。体に悪いものを目いっぱい食べて、健康ドリンクを飲んで、健康になるような発想です。
世界が、変わっていくのに、日本だけが取り残されている原因がここにあると思います。失われた30年の最大の原因が、ここにあるような気がしてきました。
失われた30年は、サービスも含めた生産現場ですが、取り残されているのは。ほとんどすべての分野です。
写真1は、「Stream Processes A Guide to LivingIn Harmony with Streams 」から引用したストリームのLWDです。流域の環境を保全する基本概念は、ストリームまたは、ストリーム・コリドーであった河川ではありません。日本では、基本概念の変更に取り残されています。
このガイドは次のように述べています。
ストリームクリーニングは、「スナッグアンドクリアリング」と呼ばれることが多く、主に木質の破片(LWD)の除去を指します。 河川の清掃は、1960年代と1970年代に一部の政府機関によって奨励され、さらには施行された慣行でした。 ストリームのスペシャリストは、ストリームのクリーニングが解決策ではなく問題になる場合があることを認識しています。
つまり、「1960年代と1970年代に一部の政府機関によって奨励され、さらには施行された河川の清掃という慣行」は、誤りであるから、現在では、推奨しないとしています。
このように、環境問題でも、日本は、悪い点を認めて、改善をしてこなかった結果、世界から、完全に取り残されています。
ODAでは、1990年代までは、日本の援助額が大きかったので、途上国の担当者は、技術がダメなことはわかっているが、お金を出してくれるので、怒らせないようにしておこうという対応でした。現在は、技術(人)も、お金もないので、ODAはボロボロです。マレーシアは英語ができますから、いち早く、技術マニュアルに、米国の最新成果を取り入れますので、日本より技術は上です。実は、英語も、技術もわからない人が、トップに、近いポストにいるのも日本だけです。
よくマスコミは、(あるいは、大学の技術レベルの研究者も)、最近、論文の数が減ったということを指摘します。しかし、多くの論評は原因については、深入りしていません。特定の問題を解決するのは実体レベルの問題解決です。しかし、問題そのものをピックアップして改善しないとすれば、これはメタレベルの問題解決に原因があることになります。
この問題点を抽出して、解剖することを避ける態度は、外交面でも見られます。結局、このスタンスが、問題を放置することで、解決を困難にしていると思われます。これは、埋没費用の問題ではありませんが、問題を先送りすれば、解決困難になる点では、同じです。今後に、非常に不安を感じる点です。
http://www.urbanwaterslearningnetwork.org/wp-content/uploads/2016/04/chemungstreamguide-1.pdf
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Large woody debris wiki
https://en.wikipedia.org/wiki/Large_woody_debris