総理大臣と大統領の偉さ

京都新聞に「京都府など4都府県の緊急事態宣言の延長が決まった7日夜、菅義偉首相の会見に出席した」記者の記事が載っています。記事の日付は12日ですが、対象となっていたのは7日の会見です。首相の「『安心・安全な大会にするんで懸命に取り組んでほしい』と言った」ことに対して、「『それだけか』。自席で思わず口をついて出た」と書かれています。最後に、「『壊れたテープレコーダーですね』。会見場を出たところで、他紙の記者に声を掛けられた」と書いて締めくくっています。

日本の新聞は、基本的に、総理大臣は偉いというスタンスの報道です。これは、ポストで人間を評価する基準です。もちろん、総理大臣になるには、党の選挙でえらばれる必要があります。しかし、民主主義の基本は、ポスト(身分)ではなく、実績で人を評価するところにあります。総理大臣が偉いのではなく、良い政治をした総理大臣は偉いが、悪い政治をした総理大臣は偉くないという考え方です。これが当たり前にならないとファシズムの再来になり怖いわけです。

もちろん、それを貫くのは容易ではありません。

トランプ前大統領は、ニューズウィークでは、トランプと呼び捨てです。これは、ニューズウィーク民主党よりであるためかもしれませんが、検索したら、オバマ前大統領もオバマと呼び捨てでした。いうまでもなく、大統領は、国民の投票で選ばれています。その点では、内閣総理大臣より、国民の支持を直接受けていると言えます。

トランプ前大統領は、未だに、共和党内では、支持者が多くいます。一方、トランプ前大統領に批判的な議員もいます。最近、共和党では、No.3と言われているリズ・チェイニーは「トランプの『個人崇拝』から距離を置かなければならない。歴史はわれわれを見ている」とのべ、院内総務からは「戦力外通告」をされていますが、批判を止めるつもりはないようです。このままでは、失脚する可能性が高いようです。

京都新聞の記者の本当は、自分で、「壊れたテープレコーダー」と言いたかったのだと思います。それを、他の記者が、『壊れたテープレコーダーですね』と書かなければならないところに、怖さを感じます。

 

  • 「安心・安全な大会にするんで懸命に取り組んで」 首相が五輪目指す選手へ掛けた言葉に「それだけか」 京都新聞 5/12(水)

https://news.yahoo.co.jp/articles/2657c7136fb2a41c9bb8c43e9d052908712c630b

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2021/05/post-96246.php