darktableのカラーキャリブレーションは、ホワイトバランスの拡張モジュールです。ホワイトバランスは、daylightを基本に、色温度を変化させることで、色を調整します。
カラーキャリブレーションは、daylightと黒体を基本にしています。daylightは短波放射、黒体は、長波放射になるはずです。
晴れの日は、daylightが卓越していますから、ホワイトバランスとカラーキャリブレーションに差はでないはずです。差が出るとしたら、曇りの日になります。
下向き短波放射(雲の間を通過した日光)
上向き短波放射(地面で反射した日光)
下向き長波放射(雲の熱による放射)
上向き長波放射(地面の熱による放射)
つまり、晴れ日に比べると、雲による長波放射がある点が大きく異なります。長波放射は黒体のモデルに対応しますから、長波放射の効果が大きければ、ホワイトバランスとカラーキャリブレーションに差が出るはずです。
写真1と写真2は、池の写真です。左が、ホワイトバランス、右がカラーキャリブレーションです。この2つのカラーキャリブレーションは、黒体が選択されています。しかし、色については、ホワイトバランスとほとんど差がありません。水面は反射率が低いので、上向き短波放射はほとんどありません。また、水温が低いので、上向き長波放射も少ないはずです。残りは、下向きの放射だけになります。 カラーキャリブレーションと、ホワイトバランスに差がないということは、下向きの長波放射の影響は小さいことになります。
写真3は、地面が芝生です。写真3では、カラーキャリブレーションと、ホワイトバランスの色合いは、異なっています。この差は、上向き放射、特に、長波の上向き放射が効いていると思われます。
以上のように、曇りの日は、熱収支を考えると、ホワイトバランスではなく、カラーキャリブレーションを使った方が良い場合が抽出できます。