洞峰公園のサクラと大高正人の美意識

洞峰公園は、つくば市内では、面積では最大規模の公園です。サクラの木もあります。しかし、謎が多いです。洞峰沼は、昔の航空写真を見ると、多角形のプールのような形状をしています。つまり、現在の一見自然地形に見える、この沼の形は、人工的に作ったものです。北条大池、赤塚公園、福岡堰、乙戸沼公園などの桜の名所は、水面近くに、サクラの木を植えて、サクラが水面に移ります。散った花弁は、水面に浮きます。しかし、洞峰公園のサクラの木は、洞峰沼に面した場所には、植えられていません。植えることは可能であったはずなので、意図的に外していると思われます。洞峰公園通りのサクラの木は並木になっています。赤塚公園のサクラは並木にはなっていませんが、池の周辺に集中して植えられています。洞峰公園のサクラの木は、分散しています。サクラだけでなく、竹も紅葉も少しずつ植えられています。洞峰公園は、市内では、最大面積の公園ですから、サクラ並木をつくることはできたはずです。洞峰公園は、学園都市移転に伴って建設された公園では、最古の公園です。設計の自由度は、大きかったはずです。つまり、設計者の大高は、サクラ並木を避けたのです。しかし、サクラの木を拒絶してはいません。そうすると、現在の一見不可解に見えるサクラの木の配置には、大高の明確な意図があったと思われます。

大高正人は、1976年に新都市記念館を完成します。その後、1980年に体育館を完成します。洞峰公園の開園は、体育館のできた1980年です。

今回、サクラの木を探しながら、洞峰公園内を歩いて、どうやら、自分が、大高の設計意図を読み違えていたことに気づきました。例えば、研究学園都市移転に伴って建設された、最古の建築である研究学園都市記念館は、このブログで、過去に紹介しています。注1)それは、研究学園都市記念館に近づいて、カメラのフレームに最大に写る記念館をセットし、次に、アングルを変えて、ベストな向きを探すという方法でした。多くの建築は、この方法で、それなりに撮影できます。しかし、研究学園都市記念館は、うまくいきませんでした。

写真1は、洞峰沼です。左に研究学園都市記念館が、中央奥に、木に半分隠れて、体育館が見えます。非常に、バランスのよい構図です。

大高のもっていた美意識は、他の建築家とは違うように思われます。

写真1のように遠目でみれば、研究学園都市記念館を含めて、ほほ完全なバランスの風景になります。しかし、近づくと、綺麗な風景は蜃気楼のように消えてしまいます。

最近、風景を撮影するときに、この大高の美意識でみなおすと、気づかなかったアングルが見つかることが多くあります。

恐らく、洞峰沼の水辺に、サクラ並木を配置するなどということは、この美意識が許さなかったのではないかと推測しています。

 

注1:

https://computer-philosopher.hatenablog.com/entry/2020/05/17/000000

https://computer-philosopher.hatenablog.com/entry/2020/08/21/000000

https://computer-philosopher.hatenablog.com/entry/2020/11/27/000000

 

 

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写真1 洞峰沼