大政翼賛会の亡霊

英国のタイムズはオリンピックの中止の可能性を報道し、政府が否定会見をしたようです。しかし、オリンピックの中止の可能性の報道は、英国のタイムズが行ったのであって、日本政府が行ったわけではありませんから、政府が否定できる内容ではありません。これが、行き過ぎると、どこかの国のように、新聞に風刺漫画がでると、暗殺団を送り込むことになります。

政府ができる会見は、オリンピックの実現可能性を示すバックデータを公開して、「これこれのデータに基づけば、中止になる可能は低い」とのべ、英国タイムズの記事の時点よりも、「新しいデータに基づけば、予測は修正されるべきと考えている」という発表です。

エビデンスに基づかない発表をした場合には、その発表は、間違いを修正して、正しいことを伝えようとしたのではなく、政治的に圧力をかけるつもりがあるという意思表示になります。(注1)それは、近隣の社会主義国が頻繁に行っている発表と同質のものです。これに対する反応は、次のようになりましょう。

  • 先進国からは、あの国は、まだ、民主主義には到達していない国なので、そのつもりで、外交を行う必要があると判断されます。

  • 国内からは、政権は大成翼賛会を希望しているのだと理解されます。つまり、周辺の社会主義国とおなじであると理解されます。

前回の戦争のときには、大政翼賛会が結成され、戦線で負けても、それは、敗戦ではなく、転戦であるとされました。戦争に負けるシナリオを口にした場合には、投獄されることを覚悟しなければなりませんでした。今回も状況は似てきています。(注2)

大政翼賛会の亡霊が跋扈していることは事実であると認識すべきです。1990年代に、ウルグアイラウンドで、部分的に、コメを輸入することになったのですが、あの時も、与党も野党もコメは一粒たりとも、輸入しないといきまいていて、プランBを口にすれば、非国民といわれそうな状況で、行政は、全く対策を考えていませんでした。

今回のオリンピックの開催も、似たような状況になっています。プランBを考えないと、プランAが破綻したときには、被害が膨大になってしまいます。

コロナ対策も似たようになっていて、医療崩壊が起きるプランBを想定していません。コロナの封じ込めに失敗(戦線でまけて)しても、失敗(敗戦)ではないとし、今までの政策に間違いがなかったと主張することは、失敗に学んで、改善するつもりがないということですから、失敗したと認めるより、ハイリスクになります。大政翼賛会の亡霊は、このように、恐ろしいものです。

 

注1:

現政権になってから、毎月のように、エビデンスに基づかない会見が繰り返されているので、感覚が劣化してきています。そういえば、昨年の勝負の3週間の結果は、評価されたのでしょうか。ここを、押さえないで、オリンピックができるといっても、発表を信じる国はないでしょう。既に、昨年末に、コロナウィルスが制御できなかった実績があり、問題点の改善がなされなかったのですから。

注2:

民主主義が何かを、定義することには意味がありません。前回の戦争で、大政翼賛会の失敗を繰り返さないことができるかが重要です。