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検索をしたら、次の3つの単語の意味が違うことがわかりました。
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travel photography
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tourist photography
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tourism photography
旅行写真(travel photography)は旅行に行った時に、撮影する写真です。一方、tourist photographyとtourism photographyは旅行者が撮影する写真または、撮影行為のことを指します。以下では、まとめて、旅行者写真と呼ぶことにします。
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検索してみると、旅行者写真の話題が、旅行写真の10倍以上あります。旅行者写真の話題は次のようなものです。
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インスタグラムなどの写真を観光客誘致に結び付ける方法
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逆に、インスタグラムなどで拡散する写真が、観光地のイメージを左右してしまうので、どのように管理するのか
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旅行者に満足するように写真を撮影してもらうには、どのような工夫が必要か
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など、など
ポストコロナで、これから、旅行者写真はどうなるのか、難しいところと思われます。
そんなことを考えていたら、北海道のケンナの木を思い出しました。有名な写真の素材になったことで、ミズナラの木に観光価値がでるのですが、伐採された事例です。ケンナさんの写真はモノクロです。今の時代に、モノクロ写真にカラー写真にない価値をどのように見出すかは、課題です。答えの一つはアンセル・アダムス以来のダイナミックレンジと中間トーンの表現を追求するものです。
カラーキャリブレーションモジュールに、モノクロを担当するグレータブがあります。今回はこれを使ってモノクロ写真に挑戦してみます。
写真1が、カラーキャリブレーションのグレー(grey)タブです。モノクロ用のプリセットが使えるので、ここではとりあえず一番上のFuji Acros100を使ってみます。
写真2は、デパートのカラー画像です。一見してわかりますが、壁面の大部分に影があり、露光では、立体感が出せないと思われます。
写真3は、デパートのモノクロ画像です。予想した通り、露光による立体感がありません。カラー写真ですと、色合いをみて頭の中で、立体感を再構成して、それなりに、写っている写真とおもってしまいますが、モノクロにすると露光のグラデーションしかなくなるので、いい加減な露光の写真はすぐに、バレます。
写真4は、ホテルの中の教会のカラー写真です。この場合には、前が明るく、後ろが暗いので、順当な露光になっています。
写真5は、ホテルの中の教会のモノクロ写真です。それなりに、見られる写真になっています。カラー写真の場合には、同じ露光でも色が異なると、区別できるので、暗所でもそれなりに何が写っているか判別できます。しかし、モノクロの場合には、暗所はつぶれてしまいます。暗所の露光を上げて、暗所が見えるようにすることは可能ですが、そうすると、露光のコントラストが小さくなって、立体感の弱い写真になってしまいます。ですから、暗所は見えないままにしています。
写真6は、水田地帯のカラー写真です。コンデジで撮影したので、一部、白飛びしていますが、全体は、合格レベルと思っていました。
写真7は、水田地帯のモノクロ写真です。今ひとつよくありません。写真6を、見ると、原因がわかりますが、露光のコントラストが弱いのです。つまり、写真6は、色でごまかしていますが、あまり、良い写真ではありません。なお、中間トーンの再現には、フィルミックRGBモジュールが威力を発揮します。一度、カラーキャリブレーションモジュールで、画像を、モノクロに変換したあとで、再度、フィルミックRGBモジュールで調整すると、目的とする部分の中間トーンをかなりよく再現することができます。
まとめ
モノクロ写真自体で、カラー写真に太刀打ちするのは、難しいと思いますが、カラー画像を、モノクロ画像に変化するとカラー画像の露光の弱点が明確になります。ですから、モノクロ写真にしても、耐えられるカラー画像を撮影することで、撮影の技術が確実に向上するはずです。