CREO(クレオ)
CREOは、筑波研究学園都市中心市街地の商業の核として、国際科学技術博覧会(つくば万博)が開催された1985年(昭和60年)3月に西武百貨店・ジャスコと専門店街で構成される施設として開業しました。西武デパートはブランド力がありますので、土浦市など周辺の百貨店の顧客を吸収して、売り上げを伸ばします。(注1)その後、1993年(平成5年)10月には「MOG」が開業、2005年(平成17年)3月には同年8月のつくばエクスプレス開業に先駆けて「Q't」が開業し、つくばクレオスクエアに発展します。しかし、CREOは、その後、つくばエクスプレス開業によるストロー現象と、百貨店の不振で売り上げが低迷します。
2017年(平成29年)2月28日に、西武筑波店が閉店しました。 2018年(平成30年)1月31日 - 20時にイオンつくば駅前店とクレオ専門店街の全店舗が閉店して、「CREO」は完全閉館になります。
「CREO」は完全閉館のあと、つくば市では、「まちづくり会社に市が出資してクレオ再生を図る」ことが検討されますが、2018年11月5日につくば市としては、「まちづくり会社に市が出資してクレオ再生を図ることはしない」ことを決定します。
写真は、このころのものです。つまり、CREO(クレオ)のうち、イオンつくば駅前店(含む専門店街)の部分は取り壊されてありません。これは、西武デパートの部分が6階建てであったのに対して、イオンつくば駅前店(含む専門店街)の部分が2階建てであったためと思われます。
日本エスコンは、駅前開発をトナリエブランドで進めています。最近の大規模再開発では、トナリエ宇都宮を、トナリエブランドとして東日本初、県庁所在地駅前初、都市型商業施設初、また同社最大級の商業施設して、2020年2月1日に展開しています。
つくばの場合も、「エスコンシティつくば」として、「MOG」、「Q’t」、「CREO(旧西武棟)」の低層階を商店街に、「CREO(旧西武棟)」の上層階を貸しオフィスにして、更に、取り壊したイオンつくば駅前店のあとに「 レ・ジェイドつくば」(共同住宅)を建設する計画です。(注2)「エスコンシティつくば」のうち、商業施設等の中心施設は「トナリエつくば」と呼ばれるようです。「MOG」と「Q’t」は現在も営業を続けていますが、「CREO(旧西武棟)」の低層階の商店街については、当初は、2020年末に開業予定を、2021年に延期しています。
ただし、コロナウィルスの影響で、小売り商店の先行きは不透明です。
西武百貨店の売り上げが低迷した理由は主に次の2つと考えられています。
-
つくばエクスプレスの開業によって、都内の大規模百貨店と競合するようになりました。
-
大規模ショッピングモールが周辺にできて、競争が激化しました。つくば市内(イーアスつくば、イオンモール、コストコ)、土浦市(イオンモール)、阿見町(あみプレミアムアウトレット)など。
2.で、距離が近く、規模が最も大きい商業施設が、イーアスつくばです。Right-onが、赤字になり、アメリカ西海岸をイメージしたアパレル&ペット用品ブランド「ノーティドッグ(NAUGHTY DOG)」を2020年8月末で終了、全19店舗を閉店しました。(注3)これを受けて、イーアスのつくばのノーティドッグも、2020年8月23日(日)閉店しています。昨年はそれ以降の閉店はありません。しかし、2021年になって、イーアスつくばは、次のように閉店ラッシュになっています。
また、トナリエ宇都宮でも年末から閉店が続いています。
イーアスつくばの閉店
-
2021.01.15更新 「そじ坊」1月24日(日)閉店のお知らせ
-
2021.01.12更新 「ギャルフィット」1月11日(月・祝)閉店のお知らせ
-
2021.01.07更新 「さくらんぼ」1月17日(日)閉店のお知らせ
-
2021.01.07更新 「ラケル」1月17日(日)閉店のお知らせ
トナリエ宇都宮の閉店
-
2021.01.11 「Bodies(ボディーズ)」2020年12月29日(火)閉店
-
2021.01.11 「新星堂」2021年1月10日(日)閉店
-
2021.01.12 「COLLAGE(コラージュ)」1月11(月)閉店
-
2021.01.12 「LOVE ME(ラブミー)」1月11日(月)閉店
日本の都市計画は、東京中心の沿線鉄道開発と住宅地開発のパターンに縛られています。つくば市は、都市計画の実験場であったので、前世紀には、別の開発パターンの探索が行われてきています。しかし、つくばエクスプレスの開業で、「沿線鉄道開発と住宅地開発のパターン」に完全に、巻き込まれてしまっています。
これからは、ポストコロナウィルスの都市計画が求められるフェーズになっていますので、前向きな提案を期待したいところです。
写真1が、旧西武棟です。
写真2が、旧イオン棟あとです。
注1:
かつて、茨城県内の百貨店は、周辺からの顧客を吸い上げて、売り上げを伸ばす営業が普通でした。水戸市は人口20万人クラスですが、百貨店が7店舗あった時期もあります。現在、茨城県内の百貨店は水戸市内に1店舗あるだけです。
注2:
オフィスフロアは当初は、5,6階を、現在は、4,5,6の3階に拡張したようです。
注3:
Right-onの旧本店ビルは旧西武棟の隣です。これは、既に紹介しています。
旧ライトオン本店ビル~つくば市とその周辺の風景写真案内(109)
https://www.city.tsukuba.lg.jp/jigyosha/machinami/machidukuri/1005098.html
https://www.sangyo-times.jp/article.aspx?ID=6319
-
イーアスつくば
-
ライトオン最終赤字57億円 20年8月期 WWD 2020/10/14
https://www.wwdjapan.com/articles/1135637