CREO(クレオ)~つくば市とその周辺の風景写真案内(290)

CREO(クレオ

CREOは、筑波研究学園都市中心市街地の商業の核として、国際科学技術博覧会(つくば万博)が開催された1985年(昭和60年)3月に西武百貨店ジャスコと専門店街で構成される施設として開業しました。西武デパートはブランド力がありますので、土浦市など周辺の百貨店の顧客を吸収して、売り上げを伸ばします。(注1)その後、1993年(平成5年)10月には「MOG」が開業、2005年(平成17年)3月には同年8月のつくばエクスプレス開業に先駆けて「Q't」が開業し、つくばクレオスクエアに発展します。しかし、CREOは、その後、つくばエクスプレス開業によるストロー現象と、百貨店の不振で売り上げが低迷します。

2017年(平成29年)2月28日に、西武筑波店が閉店しました。 2018年(平成30年)1月31日 - 20時にイオンつくば駅前店とクレオ専門店街の全店舗が閉店して、「CREO」は完全閉館になります。

「CREO」は完全閉館のあと、つくば市では、「まちづくり会社に市が出資してクレオ再生を図る」ことが検討されますが、2018年11月5日につくば市としては、「まちづくり会社に市が出資してクレオ再生を図ることはしない」ことを決定します。

これをうけて、「MOG」と「Q’t」は、2018年12月20日に、「CREO」も2019年3月27日に日本エスコンに売却されます。日本エスコンは「CREO」は旧イオン棟を解体し共同住宅を建設、旧西武棟はリノベーションして利用する方針を示します。2020年夏には旧イオン棟は解体され共同住宅建設が開始されます。旧西武棟もリノベーション作業が進められます。

写真は、このころのものです。つまり、CREO(クレオ)のうち、イオンつくば駅前店(含む専門店街)の部分は取り壊されてありません。これは、西武デパートの部分が6階建てであったのに対して、イオンつくば駅前店(含む専門店街)の部分が2階建てであったためと思われます。

日本エスコンは、駅前開発をトナリエブランドで進めています。最近の大規模再開発では、トナリエ宇都宮を、トナリエブランドとして東日本初、県庁所在地駅前初、都市型商業施設初、また同社最大級の商業施設して、2020年2月1日に展開しています。

つくばの場合も、「エスコンシティつくば」として、「MOG」、「Q’t」、「CREO(旧西武棟)」の低層階を商店街に、「CREO(旧西武棟)」の上層階を貸しオフィスにして、更に、取り壊したイオンつくば駅前店のあとに「 レ・ジェイドつくば」(共同住宅)を建設する計画です。(注2)「エスコンシティつくば」のうち、商業施設等の中心施設は「トナリエつくば」と呼ばれるようです。「MOG」と「Q’t」は現在も営業を続けていますが、「CREO(旧西武棟)」の低層階の商店街については、当初は、2020年末に開業予定を、2021年に延期しています。

ただし、コロナウィルスの影響で、小売り商店の先行きは不透明です。

西武百貨店の売り上げが低迷した理由は主に次の2つと考えられています。

  1. つくばエクスプレスの開業によって、都内の大規模百貨店と競合するようになりました。

  2. 大規模ショッピングモールが周辺にできて、競争が激化しました。つくば市内(イーアスつくば、イオンモールコストコ)、土浦市イオンモール)、阿見町(あみプレミアムアウトレット)など。

2.で、距離が近く、規模が最も大きい商業施設が、イーアスつくばです。Right-onが、赤字になり、アメリカ西海岸をイメージしたアパレル&ペット用品ブランド「ノーティドッグNAUGHTY DOG)」を2020年8月末で終了、全19店舗を閉店しました。(注3)これを受けて、イーアスのつくばのノーティドッグも、2020年8月23日(日)閉店しています。昨年はそれ以降の閉店はありません。しかし、2021年になって、イーアスつくばは、次のように閉店ラッシュになっています。

また、トナリエ宇都宮でも年末から閉店が続いています。

イーアスつくばの閉店

  • 2021.01.15更新  「そじ坊」1月24日(日)閉店のお知らせ

  • 2021.01.12更新  「ギャルフィット」1月11日(月・祝)閉店のお知らせ

  • 2021.01.07更新  「さくらんぼ」1月17日(日)閉店のお知らせ

  • 2021.01.07更新  「ラケル」1月17日(日)閉店のお知らせ

トナリエ宇都宮の閉店

  • 2021.01.11 「Bodies(ボディーズ)」2020年12月29日(火)閉店

  • 2021.01.11 「新星堂」2021年1月10日(日)閉店

  • 2021.01.12 「COLLAGE(コラージュ)」1月11(月)閉店

  • 2021.01.12 「LOVE ME(ラブミー)」1月11日(月)閉店

日本の都市計画は、東京中心の沿線鉄道開発と住宅地開発のパターンに縛られています。つくば市は、都市計画の実験場であったので、前世紀には、別の開発パターンの探索が行われてきています。しかし、つくばエクスプレスの開業で、「沿線鉄道開発と住宅地開発のパターン」に完全に、巻き込まれてしまっています。

これからは、ポストコロナウィルスの都市計画が求められるフェーズになっていますので、前向きな提案を期待したいところです。

写真1が、旧西武棟です。

写真2が、旧イオン棟あとです。

注1:

かつて、茨城県内の百貨店は、周辺からの顧客を吸い上げて、売り上げを伸ばす営業が普通でした。水戸市は人口20万人クラスですが、百貨店が7店舗あった時期もあります。現在、茨城県内の百貨店は水戸市内に1店舗あるだけです。

注2:

オフィスフロアは当初は、5,6階を、現在は、4,5,6の3階に拡張したようです。

注3:

Right-onの旧本店ビルは旧西武棟の隣です。これは、既に紹介しています。

旧ライトオン本店ビル~つくば市とその周辺の風景写真案内(109)

 

https://www.city.tsukuba.lg.jp/jigyosha/machinami/machidukuri/1005098.html

 

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%A4%E3%81%8F%E3%81%B0%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%82%AA%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%82%A8%E3%82%A2

 

  • 第259回 (株)日本エスコン 常務取締役 江頭智彦氏 商業新聞 2020/12/8 つくば駅前で3施設一体開発 総合デベの知見活かし商業展開

https://www.sangyo-times.jp/article.aspx?ID=6319

  • イーアスつくば

https://tsukuba.iias.jp/

  • ライトオン最終赤字57億円 20年8月期 WWD 2020/10/14

https://www.wwdjapan.com/articles/1135637

 

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写真1 旧つくば西武棟(2020年11月)

 

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写真2 旧イオン棟あと(2020年8月)