コロナから復興する思考法~帰納法と演繹法をめぐる考察(4)

コロナから復興する思考法

Googleのコロナの予測モデルは、毎日、更新されています。予測の変動の幅も大きいので、週末にまとめて、紹介したいと思います。

以前、津波の被災調査をしたことがあるのですが、つらい人を毎日見続けると、調査する人間も落ち込んできます。

コロナウィルスについても、明るいニュースはなく、毎日暗いニュースばかりなので、毎日、これを見たり、聞いたりしていると段々と気分が落ち込んできます。

これでは、頭が動かなくなり、生産性が落ちてしまいます。そこで、今回は、コロナウィルスのプラスの面を考えてみます。これも、演繹的思考のトレーニングです。帰納的思考にはまってしまうと、こうした、思考パターができなくなります。

  • コロナの良さを認める

コロナで、活動が低下しています。おそらく、CO2の排出も減っているはずです。特に、ジェット機の分は大きいです。温暖化を考えるときに、トレンドが無条件に続くと仮定しましすが、これも、帰納的思考の罠にはまっています。生態学的に考えると、ある種(例えば人類)が、無条件に増え続けることはありません。必ず、主役の種の交代が起こります。出生率が下がったり、コロナなどの病気になるのもこうした流れの一部です。温暖化の心配をする前に、人類の数がへってしまうこともあり得ます。生態学で考えれば、格段、不思議ではありません。このように、プラスの面を考えることは、ポストコロナをどう生きるかという思考トレーニングになります。

  • 柵(しがらみ)を断ち切るチャンスと考える

コロナの社会的な大きな影響は、柵(しがらみ)を断ち切るチャンスになっていることです。コロナが一段落したら、また、リモートワークをやめて、もとに戻ることを考える方法と、これは、チャンスだから、、柵(しがらみ)を断ち切って、新しい方法を取り入れようとする方法があります。ここのところ株価が高めですが、資金の運用先がなくなっていることも、その原因ですが、むしろポストコロナの社会(企業)の労働生産性があがることを期待している面もあります。

  • 歴史に学ぶ

歴史に学ぶとすれば、中世のペストと封建制度の崩壊の歴史から学ぶことになると思われます。昨年来、この比較検討は、非常に多く行われています。WEBでググるとかなりの情報量です。

過去の歴史を忠実に追跡している人は、ペストとルネッサンスの間には、100年弱の時間遅れがあると主張しています。しかし、自動車、テレビ、パソコン、スマホの普及速度が次第に短くなったように、IT化の進展によって、社会システムの変化の速度が加速度的に大きくなっています。スマホの普及には10年程度しか、かかっていません。これからすると、ポストコロナの社会システムへの交代は、5年くらいで、起こっても、不思議ではありません。

ポストコロナでは、少なくとも、スマホクラウドへの依存度があがります。これに5Gが入ってきます。たとえば、温暖化についても、現在の政策がわけのわからない補助金のバラマキで、効果があるのか、そのエビデンスのデータをどうして収集するのかのシステム設計がありません。スマホを使えば、利用者が1日にCO2をいくら出したかは、かなりの精度で推定可能です。こうした、CO2の排出に対して、課税するか、CO2の減少に対して減税するなどのシステムをつくれば、人々の行動とCO2の排出をリンクさせることができます。筆者は、CO2至上主義の立場はとらず、生物多様性をより上位に置く立場です。ですから、こうしたスマホCO2システムが良いとは思いませんが、少なくとも、現在のように、成果が全く上がらない、あるいは、成果が上がったかを検証しない補助金主体の政策手段よりも、ましなものを作るには、さほど大きなお金はかからないと思います。

まとめ

コロナで精神的に落ち込むことは馬鹿げています。しかし、現在の政策は、柵のある現行システムを残すために、膨大な税金をつぎ込んでいるだけです。こうした政策は、仮に成功しても、ポストコロナの社会システムでは、半分以上が時代遅れになって、その補助対象の企業はなくなると思われます。フランスやロシアでは、社会を変えるために、人の命が犠牲になる革命を起こしました。しかし、ポストコロナでは、演繹法を有効に使えれば、無血で、社会が変わると思われます。