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カラーキャリブレーションの攻略法 (4)ピッカーの使用例(1)

カラーキャリブレーションの使い方で、恐らく、一番わかりにくい部分は、ピッカーの使い方と思われます。

今回は、実際に使った事例を報告します。

 


線形ブラッドフォード (linear Bradford) CAT空間は、2800 K〜6500Kの昼光および黒体光源に対してより知覚的に正確であることが知られています。 CAT16空間は、青色光などの難しい光源に対してより良い範囲を保持することが知られています。


という説明なので、適応(adaptation)は、まず、線形ブラッドフォード (linear Bradford) CAT空間を使い、問題があれば、 CAT16空間を使うとよいという方針で進みます。

写真1が、線形ブラッドフォード (linear Bradford) CAT空間をセットしたところです。晴れた日の昼間なので、光源(illuminant)は、D(昼光 daylight)光源でよいかと思われます。

写真2は、ピッカーをオンにした状態です。画像全体がサンプリングされます。その結果、、D(昼光 daylight)が自動的に、黒体 black bodyに置き換わっています。画面全体が、黄色くなっています。

写真3は、ピッキングのエリアを白に近いと思われる中央の建物の壁に限定した場合です。画像の黄色がとれて、白がきれいに再現できています。

同じことを別の画像にも適用してみます。

写真4は、画像を読み込んだところです。適応(adaptation)は設定されていません。

写真5では、適応(adaptation)を線形ブラッドフォード (linear Bradford) CAT空間にセットしています。光源(illuminant)が、自動的に、D(昼光 daylight)光源に切り替わっています。これは、画像全体を自動的に評価した結果です。

写真6では、中央の建物の白い壁にピッキングエリアを設定していますが、このエリア設定でピックすると、パラメータを色々変えても無効 invalidになってしまいます。「CAT16空間は、青色光などの難しい光源に対してより良い範囲を保持する」というので、試したのですがダメでした。

写真7では、ピッキングエリアを広げています。ここまで広げると、無効 invalidでは、なくなります。

写真6が、色が鮮やかなのでよい気もしますが、次の説明のように、これは使うべきではないとされています。

以上が、今回の報告です。こんな感じで、使いまわすことが、上達の近道と思います。


カラーパッチの左側には、 CCT (相関色温度)の近似値があります。これは、現在使用されている光源にケルビン単位で最も近い温度です。ほとんどの画像処理ソフトウェアでは、温度と色合いの組み合わせを使用してホワイトバランスを設定するのが通例です。ただし、光源が日光から遠く離れている場合、CCTは不正確で無関係になり、CIE(国際照明委員会)はそのような状況での使用を推奨しません。 CCTの読み取り値は、最も近くに見つかったCCTの一致値を意味します。

  • CCTの後に(昼光 daylight)が続く場合、これは、現在の光源が理想的な昼光スペクトル±0.5%に近いことを意味し、したがってCCTの数値は意味があります。

  • CCTの後に(黒体 black body)が続く場合、これは、現在の光源が理想的な黒体(プランク Planckian)スペクトル±0.5%に近いことを意味し、したがってCCTの数値は意味があります。

  • CCTの後に(無効 invalid)が続く場合、これは、昼光または黒体の光スペクトルから遠すぎるため、CCTの数値が無意味であり、おそらく間違っていることを意味します。

上記の光源検出方法のいずれかを使用すると、プログラムは2つの理想化されたスペクトル(昼光と黒体 daylight and black body)を使用して計算された光源がどこにあるかをチェックし、光源 (illuminant)パラメーターで使用する最も正確なスペクトルモデルを選択します。ユーザーインターフェイスはそれに応じて変更されます。温度スライダーは D(昼光 daylight)Planckian(黒体 black body)に提供され、CCTは意味があります。それ以外の場合は、CIELuv空間の一般的な色相(hue)と彩度(chroma)のスライダーがカスタム(custom)光源用に提供されます。

カスタム(custom)光源から、たとえば、D(昼光 daylight)光源に切り替えると、カスタム光源から最も近いCCTが転送され、昼光モデルによって使用されます。 カスタム光源を使用しているときに(昼光)タグがCCT読み取り値に表示された場合、この変換はほとんど非破壊的(±0.5%)です。同じことが プランク Planckian(黒体 black body)光源にも当てはまります。任意の光源からカスタムへの切り替えは、元の設定に関して100%非破壊的です。 カスタム(custom)から他の光源への切り替えは破壊的であり、CCTの読み取り値が(無効 invalid)としてタグ付けされている場合はおそらく不正確です。


 

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写真1 カラーピッカーの使用例



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写真2 カラーピッカーの使用例

 

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写真3 カラーピッカーの使用例

 

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写真4 カラーピッカーの使用例

 

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写真5 カラーピッカーの使用例

 

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写真6 カラーピッカーの使用例

 

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写真7 カラーピッカーの使用例