コロナ対策とデジタル教科書に見る科学技術立国の終わり(2)

デジタル教科書と科学技術レベル

2回目は、デジタル教科書問題です。

デジタル教科書のポイントは、教科書がデジタルかどうかではなく、オンラインをつかって、エリート教育をどう構築していくかにあると申し上げました。まあ、エリート教育ですから、規模を大きくする必要はなく、すでに、どこかで、先行しているはずであるとも申し上げました。

以下は、筆者の不勉強ですが、予想通り、デジタル教科書(オンライン教育)を使ったエリート教育が行われていることがわかりました。これは、氷山の一角で、他にも同じような趣旨のシステムはあると思います。

ただ、ちょっとショックだったのが、デジタル教科書を使ったエリート教育の中心人物が日本人の星 友啓だったことです。

以下は、ダイヤモンドオンラインの星 友啓の紹介記事です。「2020年には全米の大学進学校1位」とありますから、本格的に軌道に乗り始めたのは、ごく最近のことであることがわかります。


スタンフォード大学哲学部で博士号取得後、講師を経て同大学内にオンラインハイスクールを立ち上げるプロジェクトに参加。オンラインにもかかわらず、同校を近年全米トップ10の常連に、2020年には全米の大学進学校1位にまで押し上げる。世界30ヵ国、全米48州から900人の天才児たちを集め、世界屈指の大学から選りすぐりの学術・教育のエキスパートが100人体制でサポート。設立15年目。反転授業を取り入れ、世界トップのクオリティ教育を実現させたことで、アメリカのみならず世界の教育界で大きな注目を集める。


この問題は、世界の大学ランキングにおける日本の大学の位置に直結しますし、日本の科学技術レベルにも直結する問題です。

日本の教育システムは、義務教育、高等学校、大学共に、完全に取り残されています。

バブルのころ、1990年代の初めに、企業は、従来の改善型の技術開発では、途上国の追い上げに勝てない。独創性の技術開発する必要があると考えました。そのためには、研究所を作って、お金を投入しました。しかし、結果は、失われた30年になり、新しい産業は興りませんでした。教育は独創性を高めるために、詰込みはいけないということでゆとり教育を導入して失敗しています。学力の分布は正規分布ではありません。分布に合わせた画一でない教育システムを導入する必要があります。

政府主導で、補助金をばらまいて、温暖化技術を開発するという技術開発に関する発想は、完全に時代遅れです。これでは、バブルのころの技術開発の失敗を繰り返すだけです。

結局は、新しい技術や産業を興すのは人です。人を育てることが全ての基本になければ成功は覚束きません。

 

  • 星 友啓 ダイヤモンドオンライン

https://diamond.jp/ud/authors/5f4c668477656116d0000000

  • 星 友啓

https://tomohirohoshi.com/