HDR風画像の作成(1)

フィルミックRGBの利用

最近ははやらなくなりましたが、一時期はHDR風画像に人気があり、デジカメには画像をHDR風にするフィルターがついたものが多くなりました。キャノンのEos Kiss Mにも、3枚の画像を使って、HDR画像を作る専用モードがついています。

HDRに限らず、今後のデジカメの本流は大型センサーではなくマルチショットだろうと考えていますが、現時点では、デジカメのマルチショットには、まともなコンテナがありません。

HDR専用モードで連射してカメラ内現像でHDR画像を作ることができます。この場合に、元のRAWファイルが保存されない場合が多いです。また、マルチショットのひとまとまりの画像は、そのまま普通の画像と同じように、シリアルに保存される場合と、新たに、フォルダーを作って、フォルダーの中に保存される場合がありますが、どちらも使いやすいとはいえません。これが、画像処理ソフトのImage J(Fiji)の場合ですと、コンテナの中に複数の画像が保存されます。例えば、CTスキャナのデータは、3次元の物体を一定間隔でスライスした2次元画像の集まりですから、まとめてコンテナに収納して、1ファイルで扱えるようになっています。

おそらく、マルチショットの標準コンテナがないためと思われますが、現状では、darktableもマルチショットに対応しているとはいえません。

というわけで、今回は、1ショットでHDR風の画像に仕上げる方法を検討してみます。

前回申し上げましたように、フィルミックRGBはHDRとは逆に、中間トーンを重視した設計になっていて、フィルミックRGBだけで、HDR風画像は実現できません。しかし、通常のHDR風画像は、ベースカーブを使いますので、暗部のデータが強く圧縮されてしまいます。フィルミックRGBでは、その部分は制御できますので、HDR風に加工するときに、メリットがあるかもしれません。

写真1のように、ルックタブでコントラストとラチチュードを目いっぱい左に振ります。

写真2のように、シーンタブで、白と黒の相対露出スライダーを調整して、ヒストグラムがちょうど収まるように調整します。

HDR風にした、写真3から、写真6は、次の手順で、写真1と写真2の後に行った処理です。

写真1->写真2->写真3

写真1->写真2->写真4

写真1->写真2->写真5

写真1->写真2->写真6

写真3は、トーンイコライザーによるHDR風画像の作成例です。トーンイコライザーモジュールの中のヒストグラムに注意して、データのある部分の露光を変更します。

写真4は、シャドウとハイライトを使ったHDR風画像の作成例です。

写真5と6は、トーンカーブを使ったHDR風画像の作成例です。トーンカーブは微妙な調整で色が変わるので、調整は難しいです。

 

 

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写真1 フイルミックRGB

 

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写真2 フイルミックRGB

 

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写真3 トーンイコライザー

 

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写真4 シャドウとハイライト

 

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写真5 トーンカーブ

 

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写真6 トーンカーブ