極上の焼き芋の焼き方(51)

サツマイモの定温貯蔵処理の効果

ブランドサツマイモは、おおむね次の3段階で、品質保持を図っています。

  1. 畑の選択と栽培方法の管理

  2. キュアリング処理

  3. 定温貯蔵処理(13度)

地元野菜のコーナーで、生産者を選んで、サツマイモを購入すれば、1.は選択できます。また、購入後、3.定温貯蔵は新聞紙にくるんでおけば、湿度の管理を除けば、可能です。しかし、手間がかかりますので、普通は、購入してから、調理する間にサツマイモが痛まないようにするレベルの貯蔵と思われます。甘くなるまで、数か月保存することは、家庭では、容易ではありません。2.キュアリング処理は家庭ではできませんが、サツマイモに大きな傷がついていなければ、問題ないと思われます。

キュアリング処理は、焼き芋の甘さには関係しませんので、1.と3.のみが焼き芋の甘さには関係します。

そこで気になるのは、3.の効果です。ブランドサツマイモは、効果があると宣伝しますが、それは、あくまで、販売促進のためであって、1.が良ければ、3.の影響は小さい可能性もあります。

これを調べるには、1.が同じレベルで、3.が異なるサツマイモを比較すればよいことになりますが、そうした条件のサツマイモは通常は手に入りません。

ポテトかいつかさんは、販売用の店舗をもっていて、1店舗はつくば市内にあります。ポテトかいつかさんの店舗の前を通りかかったところ、店の前にサツマイモが入った箱がおいてあり、生芋をうっていました。このサツマイモは、規格外でおそらく、廃棄処分にするものを袋に詰め放題で安売りしているものです。最近では、流行に後れたファッションを破棄処分にして燃やしたメーカーが、環境に悪い企業であると非難されていますから、廃棄する前に、食べられる部分は食べてもらうことは環境にやさしくよいことと思われます。このサツマイモは、契約栽培の1.はクリアしていますが、ひびが入ったり、折れ曲がって商品価値がないと判断されたものなので、2.と3.の対象にはなっていないはずです。一方、スーパーでは、1.2.3をクリアした紅天使を売っています。

つまり、正規の紅天使と、廃棄用の安売りサツマイモを比較すれば、2.と3.、特に、3.の効果がわかるはずです。

というわけで、安売りのサツマイモと紅天使を焼き芋にして、比較してみました。

比較の結果は、安売りのサツマイモはばらつきが非常に大きいということです。確かに、品質管理をした紅天使は安売りのサツマイモよりは必ずおいしいです。しかし、劇的においしいかといえば、比較対象によります。安売りのサツマイモは玉石混交です。この中のベストのサツマイモと紅天使を比較すると、紅天使が、若干よいという結論になります。しかし、悪い方と比べてしまうと、これは月とすっぽんになります。

というわけで結論です。3.定温貯蔵(13度)はした方が良いですが、劇的に良くなるかといえば、最初のサツマイモの品質を逆転するのは難しいのではないかと思います。つまり、信頼できる生産者のサツマイモは入手できるのであれば、自宅で、新聞紙にくるんで保存しても十分においしい焼き芋ができると思います。もちろん、信頼のできるブランドサツマイモをつかうのであれば、生芋の品質に悩むことはないと思われます。

しかし、市販のサツマイモの品質のばらつきは非常に大きいです。品質管理をしていますから、ポテトかいつかさんの安売りのサツマイモが紅天使よりおいしいことは絶対にありません。しかし、ポテトかいつかさんの安売りのサツマイモの中のできのよいサツマイモより、美味しくない市販のサツマイモは、かなりあると思います。