クラウド・エデュケーションの素材
クラウド・エデュケーションというのは、クラウド・サービスを使った遠隔教育システムの意味です。すでに、素材としては、epub、PDFなどの電子書籍、Jupyter notebookなどの電子ノートブック、R Markdownなどの電子レポート作成システム、 You tubeなどの講義や実験の動画、Zoomなどのオンラインミーティング、カーンアカデミーなど講義動画、到達度評価、弱点補強システム、Ankiroidなどのデジタルフラッシュカード、MoodleやBlackboardなどので、ネットワーク教育システムなど、遠隔教育システムを構成する素材はそろってきています。これらの素材を使いながら、あるいは参考にしながら、クラウド・サービスが、遠隔教育システムを提供するとしたら、どのようなシステムを提供するかを考えることが出発点になります。クラウド・サービスのアマゾンであれば、アマゾン・エデュケーション、Googleであれば、グーグル・エデュケーションが提供されたときに、その中身がどんなものになっているか考えることがスタートです。これには、自分が実際にシステムを組むとしたら、どんなものにしたいかということを想定してみればよいことになります。
クラウドが理解されない問題
想定内容に入る前に、グラウドについて補足しておきます。グラウドの名前が出始めたころ、日本の大手ITメーカーA社の人にクラウドのプレゼンテーションをしてもらったことがあります。その内容は、オフィスにあるコンピュータがITメーカーのコンピュータに置き換わるというとんでもないものでした。クラウドになると今まで、A社が顧客P社、Q社、R社などに売っていた複数台のコンピュータは、ITメーカーA社のコンピュータ1台で済みます。例えば、顧客P社はITメーカーA社からコンピュータを購入し、メンテナンスを依頼していたとします。オフィスで給与計算をしている場合など給料日の前以外は、全く使われていないことが多くなります。このため、顧客P社のCPUの使用率は、10%にも満たないことが普通です。これがクラウドになれば、使った分だけの使用量を支払えばよいわけですから、契約額は10%までは減らせないとしても、20%くらいまでは減らせるはずです。ITメーカーA社はそれを言ってしまうと売り上げが5分の1に減ってしまいますので、クラウドもどきでお茶を濁していたわけです。クラウドが実際に普及したときには、アマゾンが破壊的な低価格を提示して、シェアを取りました。現在、A社を含めて、日本のITメーカーでクラウドビジネスができているところはありません。
アマゾンは、世界一のクラウド・サービス会社です。アマゾンは、小売りもするクラウド・サービス会社です。しかし、クラウド・サービスは目に見えませんので、普通は、ネット通販の小売会社と理解されています。このあたりの事情はデータ・サイエンスに、似ています。統計学は、目の前で見える形で発生した事象は本質ではないと考えます。本質は目に見えないと考えます。例えば、サイコロを振れば、特定の目が出ますが、本質は、おのおのの目の出る確率が1/6であることにあって、今回、どの目がでたかは重要ではありません。しかし、ギャンブルにはまる人が多いのは、こうした目に見えないものを理解することが難しいことを示しています。
スマホも同じです。スマホとガラゲーの違いはデザインにあるのではありません。スマホのアプリの設計者は、スマホは、クラウド空間に漂っているGPS位置情報付きのIPアドレス(または電話番号)であると理解しているはずです。ビッグデータは、クラウド空間に漂っているIPアドレスにリンクされたデータのことです。
ともかく、クラウド・サービスを度外視した、議論が多すぎますが、それらは、取り合っても無駄と思います。
話が長くなったので、続きは次回にします。